第8期障害福祉計画の精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築に係る成果目標の見直しに資する研究

文献情報

文献番号
202517006A
報告書区分
総括
研究課題名
第8期障害福祉計画の精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築に係る成果目標の見直しに資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23GC1011
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
黒田 直明(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 公共精神健康医療研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 隆志(福井県立大学 看護福祉学部)
  • 森山 葉子(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
4,985,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
第8期障害福祉計画の「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」(以下、「にも包括」)構築分野における成果目標・活動指標の見直しに資するため、前2年間の研究成果を基盤として、自治体が実践的に活用できる資材や評価ツールの開発を行った。具体的には、①昨年度開発したロジックモデルの改定および自治体職員向け活用ガイドの作成、②協議の場の運営の質向上に資するチェックリストの開発、③差別・スティグマ低減の達成度を評価するための尺度開発を目的とした。
研究方法
①ロジックモデルを「にも包括」構成要素と照合して改定し、入門編・アドバンス編・事例編からなる活用ガイドを作成した。協議の場チェックリストの中間アウトカムと整合させた。②精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築支援事業の広域アドバイザー19名へのヒアリング調査(倫理委員会承認済)を実施し、212コード・11カテゴリーを抽出・分析した。その結果および厚生労働省担当課・自治体職員研修会での意見を踏まえ、協議の場チェックリスト(市区町村版)を作成した。③国際標準のスティグマ体験評価尺度DISCUSをINDIGOネットワークの手順に準拠して日本語版に翻訳・改訂し(フォーカスグループ、精神科通院中の当事者7名)、さらに簡便な新評価尺度を開発した。両尺度のスコア分布確認のため精神保健福祉手帳所持者を対象にオンライン横断調査(n=353)を実施した。
結果と考察
①ロジックモデルの事業網羅性は十分と確認されたが、「にも包括」構成要素はそのままロジックモデルの中間アウトカムとして配置できないと判断し、研究班で中間アウトカムを再構成した。完成したガイドは、施策の論理構造の共有とコミュニケーション促進をロジックモデル活用の主目的として設計した。②チェックリストは体制・基本情報・地域診断・設計・運営・評価の6フェーズで構成し、コアチームによる対話を通じた振り返りと改善を促す設計とした。両ツールの中間アウトカムを整合させたことで、協議の場でロジックモデルが自然に参照される一体的活用が可能になった。③DISCUS総合スコアの平均は0.84±0.87で、「精神障害があると知っている人たちから」(50.0%)等の場面でスティグマ体験が多く報告され、精神障害をもつ人の差別体験の実態が示された。
結論
ロジックモデル活用ガイドおよび協議の場チェックリストは、3年間の研究成果を自治体が実装できるツールとして具現化したものであり、「にも包括」構築の推進と障害福祉計画の評価指標の実質的機能強化に資するものと考えられる。DISCUS日本語版および簡便評価尺度の整備により、スティグマ低減施策の達成度を自治体が継続的にモニタリングするための基盤が整った。今後は広域アドバイザー等を通じたツールの普及と実装経験の蓄積を進め、第9期計画の指標設計の議論に貢献していく。

公開日・更新日

公開日
2026-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-06-02
更新日
-

文献情報

文献番号
202517006B
報告書区分
総合
研究課題名
第8期障害福祉計画の精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築に係る成果目標の見直しに資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23GC1011
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
黒田 直明(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 公共精神健康医療研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 隆志(福井県立大学 看護福祉学部)
  • 森山 葉子(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
第7期までの障害福祉計画の「にも包括」構築分野の成果目標・活動指標は精神科病院からの退院促進に偏っており、「にも包括」の理念である「誰もが安心して自分らしく暮らせる」ことや「医療・障害福祉・介護・住まい・社会参加・地域の助け合い・普及啓発の包括的確保」に向けた目標・指標が含まれていなかった。また指標値は都道府県単位でしか集計できず、市区町村が計画評価として適時に活用することが困難であった。本研究では、自治体の実態把握、理論的枠組みの整備、実装可能なツールの開発を通じて、市区町村が収集可能なデータや実施可能な調査にもとづいた代替・追加候補となる目標・指標を提案することを目的とした。
研究方法
1年目は全市区町村アンケート・インタビューによる実態把握、国内外の文献レビュー、ASCOT SCT4日本語版の臨床研究、市区町村の相談困難感に関する地域相関研究を実施した。2年目は精神保健医療福祉システムの現状整理、「にも包括」構築推進ロジックモデルの開発、自治体職員フォーカスグループインタビュー、精神障害当事者インタビュー、協議会実態に関する地域相関研究を実施した。3年目はロジックモデルの改定と自治体職員向け活用ガイドの作成、広域アドバイザーへのヒアリングを経た協議の場チェックリストの開発、DISCUS日本語版の作成と簡便評価尺度の開発・オンライン調査を実施した。
結果と考察
実態調査から「成果目標が縁遠い」「活動が十分に指標化されていない」「情報・助言の不足」という3課題を確認した。ASCOT SCT4日本語版は精神障害当事者において十分な信頼性・妥当性を有することが示された。地域相関研究では市区町村設置の保健所があることおよび協議の場を年6回以上開催していることが職員の相談困難感の低さに関連し、協議会活動の推進が「にも包括」の保健分野にも寄与することが示された。開発したロジックモデルは自治体職員・当事者インタビューで高い受容性が確認され、協議会実態の地域相関研究では協議会設置市町村が統合型と部分的連携型に類型化された。最終年度に完成したロジックモデル活用ガイドと協議の場チェックリストは中間アウトカムを整合させた一体的活用が可能な設計とした。スティグマ体験調査では精神障害をもつ人の44.7%が過去12か月に差別体験を報告し、普及啓発施策の評価基盤の必要性が確認された。本研究の成果は、社会保障審議会障害者部会において住民のこころの状態を測るK6スケールや心のサポーター数が第8期計画の成果目標・活動指標候補として検討されるに至った経緯に寄与した。
結論
3年間を通じて、「にも包括」構築に向けた自治体の取り組みを支援するロジックモデル、協議の場チェックリスト、スティグマ評価尺度という実装可能なツール群を整備した。これらの成果は市区町村が主体的に「にも包括」構築の進捗を評価するための基盤を提供するものであり、今後の普及・実装を通じて第9期計画の指標設計の議論に継続して貢献することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2026-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-06-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202517006C

収支報告書

文献番号
202517006Z