関節リウマチに対する生物学的製剤の作用機序、投与方法、治療効果等に関する研究

文献情報

文献番号
201023032A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチに対する生物学的製剤の作用機序、投与方法、治療効果等に関する研究
課題番号
H22-免疫・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
竹内 勤(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小池 隆夫(北海道大学 医学部)
  • 山本 一彦(東京大学 医学部)
  • 山中 寿(東京女子医科大学 医学部)
  • 西本 憲弘(和歌山県立医科大学 医学部)
  • 田中 良哉(産業医科大学 医学部)
  • 石黒 直樹(名古屋大学 医学部)
  • 針谷 正祥(東京医科歯科大学 医学部)
  • 津谷 喜一郎(東京大学 医学部)
  • 井田 弘明(久留米大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢者に多い関節リウマチの治療は、メトトレキサートを初めとする強力な抗リウマチ薬に加えて2003年以降承認された生物学的製剤の導入によって、疾患活動性のコントロールは全体として改善傾向にある。しかし、世界的にエビデンスが集積されている中で、我が国でのエビデンスは乏しい。本研究では、多面的に関節リウマチに対する生物学的製剤の使用に関するエビデンスを構築し、より高い治療目標である日常生活動作の正常化を目指した治療を現実のものとすることを目的とした。
研究方法
◯臨床統計学的アプローチ
臨床研究:トシリズマブ(TCZ)寛解導入後試中止試験、インフリキシマブ(IFX)寛解導入後中止試験、IFX中止後観察研究、エタネルセプト(ETN)治療戦略研究、TCZ治療効果に関する後ろ向き研究、IFX治療効果に関する後ろ向き研究、アバタセプト長期観察研究
安全性の検討:生物学的製剤使用RA患者および、非生物学的製剤使用RA患者情報を中央登録し6ヶ月毎に臨床情報収集。
関節炎評価法の検討:超音波検査による関節炎評価の標準化アルゴリズムを確立。
◯臨床免疫/生化学的アプローチ
効果予測に有望な血清バイオマーカーの探索、効果判定に有用な血清、関節液バイオマーカーの探索、安全性予測/判定予測
◯医療経済学的アプローチ:医療経済学的評価を行い、生物学的製剤中止による費用対効果について検討
結果と考察
本年度は、JESMR試験を初めとする複数の臨床研究のバイオマーカー研究の成果から、生物学的製剤使用の最適な使用方法に関する知見が明らかとなった。
結論
本研究では、発症2年以内の早期患者を対象とした研究者主導多施設共同研究等の臨床研究を行うが、それによって、より高い臨床的寛解、機能的寛解率が得られる治療法を明らかにする事ができる。網羅的遺伝子発現解析などによって標的の異なる生物学的製剤の有効性が高い正確性をもって予測できれば、効率よく適切な症例を選択する事が可能となる。有効性が期待される症例に早期から生物学的製剤を使用し、臨床的寛解のみならず、日常生活にも不自由のない機能的寛解導入率まで高められれば、関節リウマチによる機能障害を最小限にし、かつそれを未然に防ぐ事が可能となる。寛解導入後生物学的製剤を中止する検討を行い、医療経済学的にも有利な治療モデルを構築したい。それが現実のものとなれば、患者のみならず社会全体にとってその利益は計り知れない。

公開日・更新日

公開日
2011-09-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201023032Z