スギ花粉症に対する舌下免疫療法の有効性、効果予測法の確立研究

文献情報

文献番号
201023030A
報告書区分
総括
研究課題名
スギ花粉症に対する舌下免疫療法の有効性、効果予測法の確立研究
課題番号
H21-免疫・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中山 俊憲(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 美孝(千葉大学 大学院医学研究院)
  • 堀口 茂俊(千葉大学 大学院医学研究院)
  • 石井 保之((独)理化学研究所・RCAI アレルギー学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
14,040,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
スギ花粉症に対する舌下免疫療法の有効性を科学的に明らかにし、有効性を示すバイオマーカー、ならびに効果の予測法の確立を目指す。
研究方法
・花粉飛散室を用いて、スギ花粉症患者に花粉曝露試験を行い症状の解析、検討を行った。
・2009年にスギ花粉季節前から飛散終了後まで舌下免疫療法のプラセボ対照比較試験に参加したスギ花粉症患者に、2010年の花粉季節前8週から舌下免疫療法を継続投与し、症状、バイオマーカー、効果予測因子の検討を行った。
・CD69分子の気道炎症反応への影響を明らかにするべく、野生型マウスにTh17依存性の気道炎症を誘導し、抗マウスCD69抗体投与実験を行った。
結果と考察
1、花粉飛散室退室後に多くの患者で鼻閉のみならず、鼻水やくしゃみといった症状がみられ、このような遅発症状は鼻噴霧ステロイドの花粉曝露前の前投薬で強く抑制され。炎症反応の制御が花粉症治療に重要であることが示された。
2、ヒノキ花粉曝露によってスギ花粉症患者ではヒノキIgE抗体の有無に関わらず症状の発現が見られた。ヒノキ抗体測定法、抗原エピトープについてスギ花粉と比較検討の必要性が示された。
3、スギ花粉飛散8週間前から開始するスギ花粉舌下免疫療法は、2シーズン目の検討でも有効性が認められ、季節毎に限った投与でも一定の効果が確認された。バイオマーカーの検討では、血中スギ花粉特異的IgE抗体値・総IgE値の比、Cry j特異的調節性T細胞の誘導、Cry j特異的Th2細胞のクローンサイズの花粉曝露による増加の抑制、が認められた。さらに血中に舌下免疫療法の効果予測因子として複数の遺伝子発現が候補として確認された。
4、慢性・難治性のアレルギー性炎症のモデルとされるNKT細胞依存性の気道炎症モデルでCD69の役割を検討したところ、抗マウスCD69抗体を投与により肺への好中球浸潤などの喘息反応が顕著に抑制されCD69の難治性気道アレルギー病態の関与と抗CD69抗体を用いた治療の意義が示唆された。
結論
花粉曝露室では即時相のみではなく、遅発相の詳細な解析が可能である。スギ花粉エキスの連日舌下免疫療法は年間を通じた投与ではなく花粉飛散季節前8週間から開始する季節毎の治療の有効性も示唆される。バイオマーカー、効果予測因子の検討が進んでいる。また、CD69分子の難治性アレルギー性鼻炎への関与と抗CD69抗体による治療の可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2011-09-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201023030Z