アレルギー疾患の予後改善を目指した自己管理および生活環境改善に資する治療戦略の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201023029A
報告書区分
総括
研究課題名
アレルギー疾患の予後改善を目指した自己管理および生活環境改善に資する治療戦略の確立に関する研究
課題番号
H21-免疫・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
大田 健(帝京大学 医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー学)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 一男(独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
  • 足立 満(昭和大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科)
  • 棟方 充(福島県立医科大学呼吸器内科学講座)
  • 森川 昭廣(社会福祉法人希望の家附属北関東アレルギーセンター)
  • 近藤 直実(岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学)
  • 眞弓 光文(福井大学)
  • 岡本 美孝(千葉大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学)
  • 池澤 善郎(横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科学)
  • 海老澤 元宏(独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部)
  • 山口 正雄(帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
いずれのアレルギー性疾患も増加傾向がみられ、多くの国民を苦しめている。本研究では、各アレルギー疾患の自己管理と個別化医療を目指した早期診断基準と早期治療法の確立を達成し、自己管理と生活環境の整備の方策を具体化して、各疾患の予後を改善することを大きな目的とする。とくに喘息では、『喘息死ゼロ作戦』の指針の作成に続き実行を推進し、究極の予後改善を達成するための戦略を確立する。
研究方法
喘息、花粉症、アトピー性皮膚炎、食物等アレルギーについて症例を集積し、自己管理の実行、アレルゲンの同定とその回避を目指す生活環境改善、早期治療介入について検討する。『喘息死ゼロ作戦』を積極的に推進している地域の作戦内容を検証する。呼気NO (FeNO)の臨床的な有用性を検討する。ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)の効果と遺伝子多型との関連について検討する。アレルゲンの同定法を確立し、生活環境の改善の治療的意義を明らかにする。
結果と考察
喘息では、呼吸器症状とFeNO≧40ppbという基準だけで成人喘息患者の約80%の診断が可能である。また、健常人で一秒量<80%のものでは、経年的な一秒量の低下が大きく、COPDや喘息の発症予備群を検出できることが示された。LTRAの有効性には、LTC4S &#8211;444のSNPの関与を明らかにした。フェノタイプやジェノタイプを基盤とする個別化医療の実現性を示唆している。防ダニシーツの使用と環境調整で寝具のDer1量が15%以下に減量できた症例ではICSの減量、中止が可能で、環境整備の治療的意義を証明した。花粉症では総IgE値、抗ダニIgE値、鼻汁中好酸球の有無がアレルギー性鼻炎発症の予測因子であること、アトピー性皮膚炎ではTARCが重症度に関与すること、食物アレルギーでは乳児期のダニ抗原への暴露と繰り返すRV感染の併存が喘息発症のリスクを高めることが示唆された。『喘息死ゼロ作戦』では、薬剤師との連携の重要性が明らかになり、病診連携とともに病薬連携のシステムを構築することが必要である。
結論
本研究により、各アレルギー疾患の早期診断基準と早期治療法が確立され、自己管理、個別化医療、および生活環境の整備の方策を具体化して推進することにより、各アレルギー疾患の予後の改善および患者のQOLの向上をもたらすことが期待される。とくに喘息では『喘息死ゼロ作戦』の実行を推進するための戦略の確立が期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-09-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201023029Z