新しい制御性T細胞体外増幅法による喘息治療法の開発:ぜん息の治療法の開発及び確立に関する研究

文献情報

文献番号
201023025A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい制御性T細胞体外増幅法による喘息治療法の開発:ぜん息の治療法の開発及び確立に関する研究
課題番号
H21-免疫・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中江 進(東京大学医科学研究所 フロンティア研究拠点・中江グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 斎藤 博久(国立成育医療センター研究所・免疫アレルギー研究部)
  • 奥村 康(順天堂大学大学院医学研究科・アトピー疾患研究センター)
  • 山口 正雄(帝京大学医学部内科学講座・呼吸器・アレルギー)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
様々な疾患の治療に炎症抑制作用をもつ制御性T細胞(Treg)の利用が注目されている。問題は、末梢血中のTreg数は少なく(>2%)、自家移植治療用に充分な細胞の確保が難しい点である。その解決には、体外での効率の良いTreg増幅法の確立が必須である。本研究では、当研究班で確立したインターロイキン33(IL-33)による体外Treg増幅法によるTreg誘導能の効率向上化と喘息の治療におけるTregの効果を実験動物にて検証を行う。
研究方法
IL-33の存在下でマスト細胞とT細胞を共培養することで、Tregを選択的に増幅できる。このTregの増幅に関与が期待される因子の候補をトランスクリプトーム解析などにより挙げ、その因子によるTreg増幅への影響を、その因子の阻害によって明確にする。また、この系で増幅させたTregをマウスに移入し、マウス喘息モデルにおける治療効果を検証する。
結果と考察
T細胞受容体刺激下でTGF-β1によるTreg誘導法は、Tregと活性化T細胞をも誘導する。一方、IL-33によるTreg増幅法では、Tregのみを増幅し、選択性の高い方法であることを確認した。この際、マスト細胞から産生されるIL-2とマスト細胞とT細胞間の細胞間相互作用がTreg誘導に必須であった。また、CD137を含めて複数の副シグナル分子を介した細胞間相互作用が必要であった。今後、リコンビナントIL-2や副シグナル分子の刺激抗体を添加することによって、Tregの誘導効率の向上化が図れる可能性が期待される。

卵白アルブミンによるマウス喘息において、上記方法で誘導し、磁気ビーズにより精製したTregの移入により、肺におけるIL-4レベルの抑制効果が観察されたが、好酸球の浸潤数には影響が見られなかった。磁気ビーズによる精製純度や移入後のTregの生存率、また、移入する時期が結果に影響している可能性が疑われ、さらなる検証を必要とする。
結論
IL-33の存在下でマスト細胞とT細胞の共培養によるTreg増幅法は、従来のTreg誘導法に比べて、誘導効率および選択性に優れていた。そのTregの誘導因子としてIL-2やCD137を同定し、Tregの増幅効率の向上化が期待された。また、本方法で作製したTregが部分的だがマウス喘息の抑制に効果が見られた。

公開日・更新日

公開日
2011-09-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201023025Z