オーラルフレイル対策における口腔機能の維持・向上のための効果的な評価・介入方法の確立の研究

文献情報

文献番号
202515013A
報告書区分
総括
研究課題名
オーラルフレイル対策における口腔機能の維持・向上のための効果的な評価・介入方法の確立の研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24GA2002
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
平野 浩彦(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 荒井 秀典(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 理事長室)
  • 飯島 勝矢(国立大学法人 東京大学 高齢社会総合研究機構/未来ビジョン研究センター)
  • 池邉 一典(大阪大学大学院歯学研究科)
  • 吉田 直美(東京科学大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 岩崎 正則(北海道大学 歯学部)
  • 秋野 憲一(札幌市保健福祉局)
  • 大渕 修一(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター)
  • 植田 拓也(東京都健康長寿医療センター研究所 東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター)
  • 本川 佳子(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム)
  • 枝広 あや子(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 白部 麻樹(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
4,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
口腔機能の軽微な低下であるオーラルフレイルの概念は日本で考案され、2014年に基本的な概念が提唱された。その後、さまざまな検討が行われ、2024年4月1日にオーラルフレイルに関する3学会合同ステートメント(日本老年医学会、日本老年歯科医学会、日本サルコペニア・フレイル学会)が公表された。そのステートメントの中で、オーラルフレイルの位置付けを示した概念図や、オーラルフレイル評価法として「Oral Frailty 5-item Checklist:OF-5」も提示された。この評価法は残存歯数の減少、咀嚼困難感、嚥下困難感、口腔乾燥感、滑舌低下(舌口唇巧緻性低下)から構成され、2つ以上該当でオーラルフレイルとされる。
オーラルフレイル対策は、口腔機能低下の負の連鎖に対して早期に対応することが重要であり、その体制整備は喫緊の課題である。近年では、オーラルフレイル対策の重要性に着目し、歯科口腔保健の条例に当該対策を記載している自治体も増えている。しかしながら、オーラルフレイル評価法を活用した対策が明確になっておらず、オーラルフレイル対策の地域実装は進んでいない。
そこで、①オーラルフレイル評価・結果に基づくトレーニングメニューに関する知見整理、②社会実装(自治体等)モデル検討、③オーラルフレイル対策マニュアル作成、以上3点を本研究のコア事業として実施し、オーラルフレイル対策の適切な評価方法と有効な取組を確立することを本研究事業の目的とした。
研究方法
①オーラルフレイル評価・結果に基づくトレーニングメニューに関する知見整理
令和6年度に実施した、地域で実装可能な口腔機能向上トレーニング等のオーラルフレイル対策および口腔機能向上に関する文献レビューの結果を精査した。また、OF-5を用いたオーラルフレイルの実態を明らかにするため、地域在住高齢者を対象としたコホート調査のデータの検討を行った。
②社会実装(自治体等)モデル検討
令和6年度に実施した3自治体に加え、新たに8自治体(北海道札幌市、東京都世田谷区、東京都東村山市、東京都稲城市、東京都瑞穂町、東京都八丈町、神奈川県平塚市、静岡県島田市)に対してヒアリングを実施した。
③オーラルフレイル対策マニュアル作成
上記事業①②より得られた知見やインタビューにより得られた意見等を基に、オーラルフレイル対策マニュアル(地域で取り組む!オーラルフレイル対策マニュアル)を作成した。
結果と考察
①オーラルフレイル評価・結果に基づくトレーニングメニューに関する知見整理
文献レビューの結果を基に、オーラルフレイル対策マニュアルに掲載する内容を選定した。また、OF-5に基づくオーラルフレイルの1年後の新規発生状況と関連要因を検討した。その結果、1年後のオーラルフレイル新規発生率は14.2%であり、男性17.6%、女性11.9%であった。女性では心疾患の既往に加え、生活満足度や社会的つながりといった心理社会的要因が新規発生に関連し、口腔機能への対応のみならず、全身疾患管理および心理社会的側面を含めた包括的支援の必要性が示唆された。
②社会実装(自治体等)モデル検討
令和6年度に作成したマニュアル案を実際に活用してもらい、修正に向けた意見を収集し、オーラルフレイル対策を地域で実践するうえでの課題等を整理した。その結果、「説明文が多く重要な点が分かりづらい」「図表が小さく文字が判読しづらい」「OF-5の活用場面が分かりづらい」等の意見が得られた。また、「口腔機能向上トレーニングの所要時間を記載してほしい」「オーラルフレイルを初めて学ぶ職員にも理解しやすくしてほしい」といった要望も得られた。
③オーラルフレイル対策マニュアル作成
①②の結果を基に、「地域で取り組む!オーラルフレイル対策マニュアル」を作成した。
結論
オーラルフレイル対策の適切な評価方法と有効な取組を確立することを目的に、介護予防・日常生活支援総合事業や高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施等に携わる行政職員および関連する専門職を対象とした、「地域で取り組む!オーラルフレイル対策マニュアル」を作成した。本マニュアルは、地域保健活動におけるオーラルフレイル対策を推進するための実践的資料として活用されることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2026-05-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-05-26
更新日
-

文献情報

文献番号
202515013B
報告書区分
総合
研究課題名
オーラルフレイル対策における口腔機能の維持・向上のための効果的な評価・介入方法の確立の研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24GA2002
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
平野 浩彦(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 荒井 秀典(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 理事長室)
  • 飯島 勝矢(国立大学法人 東京大学 高齢社会総合研究機構/未来ビジョン研究センター)
  • 池邉 一典(大阪大学大学院歯学研究科)
  • 吉田 直美(東京科学大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 岩崎 正則(北海道大学 歯学部)
  • 秋野 憲一(札幌市保健福祉局)
  • 大渕 修一(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター)
  • 植田 拓也(東京都健康長寿医療センター研究所 東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター)
  • 本川 佳子(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム)
  • 枝広 あや子(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 白部 麻樹(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
口腔機能の軽微な低下であるオーラルフレイルの概念は日本で考案され、2024年4月1日にオーラルフレイルに関する3学会合同ステートメントが公表された。その中で、オーラルフレイル評価法として「Oral Frailty 5-item Checklist:OF-5」も提示された。この評価法は残存歯数の減少、咀嚼困難感、嚥下困難感、口腔乾燥感、滑舌低下(舌口唇巧緻性低下)から構成され、2つ以上該当でオーラルフレイルとされる。
オーラルフレイル対策は、口腔機能低下の負の連鎖に対して早期に対応することが重要であり、その体制整備は喫緊の課題である。近年では、オーラルフレイル対策の重要性に着目し、歯科口腔保健の条例に当該対策を記載している自治体も増えている。しかしながら、オーラルフレイル評価法を活用した対策が明確になっておらず、オーラルフレイル対策の地域実装は進んでいない。
そこで、①オーラルフレイル評価・結果に基づくトレーニングメニューに関する知見整理(以下、知見整理)、②社会実装(自治体等)モデル検討(以下、モデル検討)、③オーラルフレイル対策マニュアル作成(以下、マニュアル作成)、以上3点を本研究のコア事業として実施し、オーラルフレイル対策の適切な評価方法と有効な取組を確立することを目的とした。
研究方法
①知見整理
[1年目]地域で実装可能な口腔機能向上トレーニング等のオーラルフレイル対策および口腔機能向上に関する介入効果を報告した原著論文を和文英文ともに検索を行った。また、OF-5を用いたオーラルフレイルの実態を明らかにするため、OF-5の各質問と口腔機能との関連を検討した。[2年目]文献レビューの結果を基に、オーラルフレイル対策マニュアルに掲載する内容を選定した。また、OF-5を用いたオーラルフレイルの実態を明らかにするため、OF-5に基づくオーラルフレイルの1年後の新規発生状況と関連要因を検討した。
②モデル検討
[1年目] 介護予防・日常生活支援総合事業等でオーラルフレイル対策を実施している3自治体に対してヒアリングを実施し、オーラルフレイル対策を地域実装するうえでの課題等を整理した。[2年目]8自治体に対してヒアリングを実施した。マニュアル案を実際に活用してもらい、修正に向けた意見を収集し、オーラルフレイル対策を地域で実践するうえでの課題等を整理した。
③マニュアル作成
[1年目] オーラルフレイル対策マニュアル案を作成した。[2年目]オーラルフレイル対策マニュアル案の修正を行った。
結果と考察
①知見整理
[1年目]日本語論文が437件、英語論文が493件のうち、レビュー後に採用した研究は日本語論文が4件、英語論文が19件であった。また、OF-5の各質問項目によって、異なる口腔機能との関連が明らかになった。各質問項目に応じた個別のオーラルフレイル対策を検討することの必要性が示唆された。また、OF-5の該当数が多い程、運動器の機能低下、認知機能の低下、うつ病の可能性の該当割合が高いことが明らかになった。[2年目]1年後のオーラルフレイル新規発生率は14.2%であり、男性17.6%、女性11.9%であった。女性では心疾患の既往に加え、生活満足度や社会的つながりといった心理社会的要因が新規発生に関連し、口腔機能への対応のみならず、全身疾患管理および心理社会的側面を含めた包括的支援の必要性が示唆された。
②モデル検討
[1年目]ヒアリングの結果、(1)通いの場に参加しない住民へのアプローチ、(2)口腔機能に対する関心や理解の不足、(3)歯科医療アクセスの制約、(4)オーラルフレイル対策支援人材の不足とその負担の大きさが、共通した課題として抽出された。[2年目]マニュアル案に関して、「説明文が多く重要な点が分かりづらい」「OF-5の活用場面が分かりづらい」等の意見が得られた。また、「口腔機能向上トレーニングの所要時間を記載してほしい」「オーラルフレイルを初めて学ぶ職員にも理解しやすくしてほしい」といった要望も得られた。
③マニュアル作成
[1年目]マニュアル案は、オーラルフレイルの概要、歯科口腔保健活動等の社会背景、OF-5の概説、オーラルフレイル対策に資するトレーニングメニューの紹介で構成した。[2年目]「地域で取り組む!オーラルフレイル対策マニュアル」を作成した。
結論
オーラルフレイル対策の適切な評価方法と有効な取組を確立することを目的に、介護予防・日常生活支援総合事業や高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施等に携わる行政職員および関連する専門職を対象とした、「地域で取り組む!オーラルフレイル対策マニュアル」を作成した。地域保健活動におけるオーラルフレイル対策を推進するための実践的資料として活用されることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2026-05-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-05-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202515013C

成果

専門的・学術的観点からの成果
地域で実践可能な口腔機能向上トレーニング等のオーラルフレイル対策や口腔機能向上に関する介入効果について、文献レビューを行い、エビデンスに基づく口腔機能向上トレーニングを選定した。また、自治体へのヒアリングおよびオーラルフレイルに関する研究成果を基に、「地域で取り組む!オーラルフレイル対策マニュアル」を作成した。本成果は、地域保健活動におけるオーラルフレイル対策の推進に資することが期待される。
臨床的観点からの成果
特記事項なし
ガイドライン等の開発
オーラルフレイル対策の地域実装を推進するため、「地域で取り組む!オーラルフレイル対策マニュアル」を作成した。本マニュアルでは、OF-5を用いた評価方法、口腔機能向上トレーニング、地域における取組事例等を整理し、介護予防・日常生活支援総合事業等に携わる行政職員および関連専門職が活用可能な内容とした。本マニュアルおよび一部イラストはホームページ上で公開しており、地域保健活動における活用および普及が期待される。
その他行政的観点からの成果
「地域で取り組む!オーラルフレイル対策マニュアル」の作成過程において、マニュアル案を自治体に実際に活用してもらい、地域実践上の課題や修正点に関する意見収集を行った。その結果を踏まえ、行政職員および関連専門職が地域保健活動で活用しやすい実践的内容へと改善した。本マニュアルは、既に一部自治体における介護予防・日常生活支援総合事業等で活用されており、今後、オーラルフレイル対策の標準的な取組の普及等に貢献することが期待される。
その他のインパクト
「地域で取り組む!オーラルフレイル対策マニュアル」およびマニュアル内で使用した一部イラストをホームページ上で公開し、プレスリリースを行った。また、マニュアル作成に関する内容は、科学新聞 (2026年5月15日号)に掲載された。その他、学術大会シンポジウムや講演等を通して、普及啓発を進めている。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件
プレスリリース1件、ホームページ1件、新聞1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2026-06-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
202515013Z