関節リューマチに対するアプタマーRNA新薬の開発

文献情報

文献番号
201023024A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リューマチに対するアプタマーRNA新薬の開発
課題番号
H21-免疫・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中村 義一(東京大学 医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 石黒 亮(東京大学 医科学研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
RNAの人工進化法(SELEX)により関節リウマチの原因物質、炎症性サイトカイン等の機能を阻害するRNAアプタマーを取得し、RNA新薬開発を目的とする。アプタマーRNAは、人工進化法により選び抜かれた標的に対する特異的な高親和性分子で、抗体に代わる次世代の高分子医薬である。我々は抗IL-17A RNAアプタマー取得に成功。既に自己免疫疾患モデルを用いたアプタマーの薬効試験を試み、多発性硬化症の動物モデルであるEAE マウスモデルや、GPI (glucose-6-phosphate isomerase)誘導関節炎マウスモデルでアプタマーの投与による発症率の低下と病徴の減少を確認している。
また、最近になってIL-17A/Fヘテロ二量体の存在が提唱されている。我々は、RNAアプタマーを用いたヘテロ二量体の解析法も併せて開発した。
研究方法
1. 抗IL-17Aアプタマーの投与試験
GPI誘導関節炎マウスモデルを用いて、抗IL-17Aアプタマーのin vivo薬効実験を行なう。発症後にアプタマーの投与を開始し、病徴の推移を詳細に解析した。
2. IL-17A/Fヘテロ二量体特異的RNAアプタマーの作出と解析
IL-17A/Fヘテロ二量体特異的なRNAアプタマーを取得するために、SELEXを行った。
結果と考察
1. 関節リウマチのマウスモデルであるGPI誘導関節炎の発症後にアプタマーを投与し、非投与群と比較解析した結果、アプタマー投与群で治癒効果が確認された。当初目標が達成できたと考えられる。
2. 得られたアプタマーの特異性は高く、培養細胞を用いた試験でも、特異的なアンタゴニストとして機能した。近年ヒトやマウス体内ではIL-17A/Fへテロ二量体が大半を占めるという興味深い報告がなされており、解析のための新ツールとしてIL-17A/Fへテロ二量体特異的RNAアプタマーが得られた意味は大きい。
結論
我々が取得した抗IL-17A RNAアプタマーは、関節リウマチや多発性硬化症のマウスモデルで優れた発症阻害効果・治癒効果を示す。今回は、新規にIL-17A/Fへテロ二量体特異的RNAアプタマーを解析ツールとして加えることができた。現在GLP試験のための準備ができつつあり、他に類を見ないような作用機序を持つ高分子医薬品へと昇華させることが可能と考える。

公開日・更新日

公開日
2011-09-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-02-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201023024Z