脳死並びに心停止ドナーにおけるマージナルドナーの有効利用に関する研究

文献情報

文献番号
201023021A
報告書区分
総括
研究課題名
脳死並びに心停止ドナーにおけるマージナルドナーの有効利用に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-022
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
福嶌 教偉(大阪大学大学院医学系研究科 薬理学分子医薬分野)
研究分担者(所属機関)
  • 久志本 成樹(東北大学 高度救急救命センター)
  • 田中 秀治(国士舘大学 スポーツ医科学科)
  • 西山 謹吾(高知日赤病院 救命救急センター)
  • 鹿野 恒(市立札幌病院 救命救急センター)
  • 杉谷 篤(藤田保健衛生大学 臓器移植再生医学講座)
  • 古川 博之(旭川医科大学外科学講座 消化器病態外科学)
  • 中山 恭伸((社)日本臓器移植ネットワーク 東日本支部)
  • 菊池 雅美((社)日本臓器移植ネットワーク 医療本部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
11,316,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在も臓器提供は脳死、心停止ともに非常に少なく、マージナルドナーからの移植は回避できない。また、ドナーとその御家族の提供の意思を尊重すると言う点からも、より多くの臓器の提供を可能にすることは重要である。
我が国では、メディカルコンサルタントによるドナー評価・管理(脳死ドナー103例中86例に福嶌が関与)、スタッフ移植医による最終評価・摘出、摘出ミーティングなどがあり、マージナルドナーがほとんどであるにも関わらず、欧米と遜色のない移植成績を上げている。本研究の目的は、国内外の死体臓器提供の現状を、提供・移植の両サイドから調査・分析し、国レベルのドナー評価・管理システムを構築することである。
研究方法
1)脳死臓器提供全例と心停止後腎臓提供におけるドナー評価、管理、摘出手技、並びに摘出時の呼吸循環管理法と移植成績を調査した(福嶌、杉谷、鹿野、古川、中山、菊池)
2)TPM ADVANCE COURSEを受講しその提供病院へアプローチと臓器提供研修(田中)
3)提供施設にアンケート調査を行い、どのような支援が必要かを調査(久志本)
4) 欧米各国のOPOのリーダーを集めたTransplant Donation Global Leadership Symposiumに参加して、欧米の臓器提供における評価・管理を研修した(福嶌)
5) 脳死臓器提供の評価・管理・摘出手術の呼吸循環管理に関するマニュアルを作成し、メディカルコンサルタント、5類型臓器提供施設を中心に研修会(30回)を行った(約1050名の参加)。

結果と考察
1)脳死臓器提供ではドナー管理の改良により、一人のドナーあたりの提供臓器数を6前後に維持できた。特に肺では移植後の成績も向上した。
2)提供施設にアンケート調査を行い、提供施設に対してどのような支援が必要かを調査した
3)各国の提供に対する考え方、ドナー管理法についての知識を習得した
4)脳死ならびに心停止後ドナーの評価・管理のマニュアルを作成し、研修を行った。この研修に参加した医師の所属する7施設で脳死臓器提供が実施され、活用された。
結論
脳死臓器提供においてはわが国独自のドナー評価・管理システムが有効に働いていると考えられ、さらに欧米のいい面を取り入れていくことが必要と考えられた。
臓器提供施設の支援については、これまで脳死臓器提供の経験のある施設もまだ支援が必要であり、何を支援すべきかを今後検討し、支援体制を構築する必要があると考えられた。
3年の成果を元にドナー評価・管理及び摘出手術中の呼吸循環管理マニュアルを作成し、研修会を行い、実践された。

公開日・更新日

公開日
2011-09-30
更新日
-

文献情報

文献番号
201023021B
報告書区分
総合
研究課題名
脳死並びに心停止ドナーにおけるマージナルドナーの有効利用に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-022
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
福嶌 教偉(大阪大学大学院医学系研究科 薬理学分子医薬分野)
研究分担者(所属機関)
  • 久志本 成樹(東北大学 高度救急救命センター)
  • 田中 秀治(国士舘大学 スポーツ医科学科)
  • 西山 謹吾(高知日赤病院 救命救急センター)
  • 鹿野 恒(市立札幌病院 救命救急センター)
  • 杉谷 篤(藤田保健衛生大学 臓器移植再生医学講座)
  • 古川 博之(旭川医科大学外科学講座 消化器病態外科学)
  • 中山 恭伸((社)日本臓器移植ネットワーク 東日本支部)
  • 菊池 雅美((社)日本臓器移植ネットワーク 医療本部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在も臓器提供は脳死、心停止ともに非常に少なく、マージナルドナーからの移植は回避できない。また、ドナーとその御家族の提供の意思を尊重すると言う点からも、より多くの臓器の提供を可能にすることは重要である。
我が国では、メディカルコンサルタントによるドナー評価・管理(脳死ドナー103例中86例に福嶌が関与)、スタッフ移植医による最終評価・摘出、摘出ミーティングなどがあり、マージナルドナーがほとんどであるにも関わらず、欧米と遜色のない移植成績を上げている。本研究の目的は、国内外の死体臓器提供の現状を、提供・移植の両サイドから調査・分析し、国レベルのドナー評価・管理システムを構築することである。
研究方法
1)国内の脳死臓器提供全例におけるドナー評価、管理、摘出手技、並びに摘出時の呼吸循環管理法と移植成績を調査した。
2)2007、2008年度の心停止後腎臓提供におけるドナー評価、管理、摘出手技、並びに摘出時の呼吸循環管理法と移植成績を調査した。
3)TPM講習会、Transplant Donation Global Leadership Symposiumに参加、欧米の提供施設に訪問し、欧米でのドナーの評価・管理法を検討した
4)提供施設にアンケート調査を行い、提供施設に対してどのような支援が必要かを調査した
5)3年間の成果を分析し、マニュアルを作成し、研修会を行なった。
結果と考察
1)脳死臓器提供ではドナー管理の改良により、一人のドナーあたりの提供臓器数が増えた。特に肺では移植後の成績も向上した。
2)提供施設にアンケート調査を行い、提供施設に対してどのような支援が必要かを調査した(久志本)
3)各国の提供に対する考え方、ドナー管理法についての知識を習得した
4)脳死ならびに心停止後ドナーの評価・管理のマニュアルを作成し、研修を行った(30回、延べ1050名参加)。その方針に沿って、脳死臓器提供7件が実施された。
結論
脳死臓器提供においてはわが国独自のドナー評価・管理システムが有効に働いていると考えられ、さらに欧米のいい面を取り入れていくことが必要と考えられた。
臓器提供施設の支援については、これまで脳死臓器提供の経験のある施設もまだ支援が必要であり、何を支援すべきかを今後検討し、支援体制を構築する必要があると考えられた。
3年の成果を元にしてドナー評価・管理並びに摘出手術時の呼吸循環管理のマニュアルを作成し、30回研修会を行い(参加1050名)、脳死提供事例7件で実践された。

公開日・更新日

公開日
2011-09-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201023021C

成果

専門的・学術的観点からの成果
脳死の病態を解明しながらドナー管理法を検討し、抗利尿ホルモンの投与、血液製剤を主体とする摘出手術中の呼吸循環管理を行なうことにより、一人のドナーあたりの提供臓器数を6臓器にまで増加することができた。これに伴って、ドナー評価・管理を行う医師を養成し、メディカルコンサルタント制度を確立できた。
臨床的観点からの成果
ドナー一人当たりの提供臓器数は6前後(米国3.04)となり、移植後の成績は欧米と遜色なかった(心臓は10年生存率95%で有意に良好であった)。脳死ドナーに積極的に気管支鏡を用いた管理を行うことにより、肺の提供率は有意に増加し、移植後の生存率も有意に向上した。
この成果を元にドナー評価・管理並びに摘出手術の呼吸循環管理のマニュアルを作成し、研修会を行ない(延べ1850名参加)、参加者の所属する17施設で脳死臓器提供が実践された。
ガイドライン等の開発
3年の成果を元に、脳死ドナーにおけるドナー評価・管理並びに摘出手術の呼吸循環管理のマニュアルを作成した。
厚生労働省科学研究費の、臓器提供施設における院内体制整備に関する研究(有賀班)、臓器移植の社会的基盤に関する研究(篠崎班)、日本臓器移植ネットワーク作成の脳死臓器提供の手順書におけるドナー評価・管理並びに摘出手術の呼吸循環管理の基礎となった。
その他行政的観点からの成果
脳死臓器提供数の著しく少ないわが国で、提供臓器数を増加させ、かつ移植後の成績を改善したことは、移植を必要とする多くの患者に貢献できたと考える。
改正法施行後、脳死臓器提供は約6倍に増加しており、新たに脳死臓器提供を経験する施設も急増しており、それらの施設でも円滑に脳死臓器提供が行なうのに、貢献すると考える(すでに研修会に11850名が参加し、参加者の所属する7施設で脳死臓器提供が実践された)。
その他のインパクト
脳神経外科学会、救急学会など臓器提供に関る学会の主催する講演会、研修会、シンポジウムで成果を発表することにより、本成果は普及すると考えられる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
17件
その他論文(英文等)
3件
学会発表(国内学会)
25件
日本脳神経外科学会、日本麻酔科学会、日本救急医学会などで成果を発表した
学会発表(国際学会等)
8件
apanese strategies for maximizing heart and lung donor availabilities他
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
42件
この成果を元に、42回に及ぶ研修会を実施した。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
N Fukushima, M Ono, Y Saiki, et al.
Donor Evaluation and Management System (Medical Consultant System) in Japan: Experience From 200 Consecutive Brain-Dead Organ Donation
Transplant Proc  (2013)
in press

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201023021Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,316,000円
(2)補助金確定額
10,908,499円
差引額 [(1)-(2)]
407,501円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
分担研究者鹿野恒氏が407,700円支出しなかったことと、利息172円あったため

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-