LIFE関連加算算定のために評価・収集される情報を活用した介護業務プロセスの構築と効果検証

文献情報

文献番号
202515002A
報告書区分
総括
研究課題名
LIFE関連加算算定のために評価・収集される情報を活用した介護業務プロセスの構築と効果検証
研究課題名(英字)
-
課題番号
23GA1003
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
島田 裕之(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 荒井 秀典(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 理事長室)
  • 土井 剛彦(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 健康増進研究室)
  • 斎藤 民(国立長寿医療研究センター 老年社会科学研究部)
  • 大寺 祥佑(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)
  • 大浦 智子(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター 科学的介護推進チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
5,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本課題では、介護業務のプロセスを整理し、LIFE(科学的介護情報システム)情報を活用した介護業務プロセスを検討することを目的とした。また、科学的介護情報システム関連加算算定のために収集されるLIFE情報の評価と利活用の可能性を検討することを目指した。
研究方法
LIFE情報を活用した介入プログラムの実施可能性検証は、介護施設に勤務する実践リーダーがLIFE情報を活用した介護計画立案・実施について、教育ツールを用いて理解し、施設職員とともに12週間、高齢者に介護を提供した。教育ツールにはLIFE情報に包含されているアセスメントに加え、介護計画立案に際してのマニュアルが含まれていた。12週間の介護サービス提供の前後に、実践リーダーと施設職員に質問紙調査を行った。実践リーダーと介護施設職員に対する質問紙は、基本情報に加え、介護サービスの提供に対する自己評価(5項目)、LIFE情報を活用した評価に基づく支援(6項目)などで構成され、これらの回答を集計した。
さらに、LIFE情報を用いたBarthel Indexの変化に関連する要因の選定と予測モデル構築についても検討した。解析対象者は2020年4月から2022年3月までの間に65歳以上で要介護度1から5の認定を受け、介護老人保健施設に新規に入所し、科学的介護推進体制加算が算定された35,701名である。リクルート時点と6カ月後のBarthel Indexスコアの差を取ったものを予測対象の指標とした。予測の候補となる変数は科学的介護推進体制加算に関連するLIFE情報、要介護認定情報、介護レセプト情報、及び台帳情報から選定した。まず選定された変数に対して欠測頻度の評価を行った。欠測割合が50%以下の変数に対して多重代入法による欠測補完を行い、それ以上のものは除外した。次にLasso 線形モデルを用いて変数の絞り込みを行った。予測モデル構築にはRandom Forest(RF)を用い、Shapley additive explanations (SHAP)値を算出し、各予測変数の予測への寄与の度合いを評価した。モデルの性能はR2統計量と平均二乗誤差(mean squared error, MSE)を用いて評価した。
結果と考察
介護計画立案と実践を12週間促した結果、介護施設職員においては「介護の仕方を統一して、介護を提供している」、「施設入所者が安心して過ごせるよう、介護を提供している」、「施設入所者のできることを増やす、または維持することを念頭に、介護を提供している」に関して「そう思う・全くそう思う」の回答が増加する傾向が認められた。また、受容性の評価では、実践リーダーと介護施設職員ともに、道徳的であり受容できると回答していた。
 予測モデル構築では、選定された変数における欠測割合は年齢及び性別が約40%、薬剤情報が約50%、既往歴情報を利用したCharlson Comorbidity Indexが90%以上であった。Lasso回帰モデルにより95項目の予測変数が抽出され、それをもとにRFモデルの学習を行った。その結果、Barthel Index改善の予測に大きく寄与した因子として、抗精神病薬処方なし、リハビリマネジメント加算あり、摂取エネルギーが抽出された。一方、Barthel Index悪化の予測に大きく寄与した因子としては、自己負担割合が低い、歯・入れ歯の汚れ、入所前後訪問指導加算なし、全体の食事摂取量が少なめが抽出された。モデル性能はR² 値が0.188、MSE が288.967であった。
結論
本教育ツールを用いた介護提供は職員の受容性も高く、日々の介護で懸念されていたチーム内での情報共有や介護提供の一貫性のなさを解決しうる可能性が示唆された。
 今回構築されたモデルの精度は良好ではなかった。その原因として使用変数が多いことや、既往歴情報など使用できなかった変数が起因している可能性がある。今後はモデルに含める変数を再検討し、対象者や利用サービスを絞ることで、モデルの精度が改善する可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2026-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-05-29
更新日
-

文献情報

文献番号
202515002B
報告書区分
総合
研究課題名
LIFE関連加算算定のために評価・収集される情報を活用した介護業務プロセスの構築と効果検証
研究課題名(英字)
-
課題番号
23GA1003
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
島田 裕之(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 荒井 秀典(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 理事長室)
  • 土井 剛彦(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 健康増進研究室)
  • 斎藤 民(国立長寿医療研究センター 老年社会科学研究部)
  • 大寺 祥佑(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)
  • 大浦 智子(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター 科学的介護推進チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究課題の目的は、介護業務のプロセスを整理し、科学的介護情報システム(LIFE)情報を活用した介護業務プロセスを検討することである。また、LIFE関連加算算定のために収集されるLIFE情報の評価と利活用可能性を検討することを目的とした。
研究方法
研究1)LIFEに関する加算で収集されているデータのうち、介護業務と関連する項目を抽出し、類似項目を集約した。集約した工程を視覚化し、LIFE情報を活用した自立支援介護および重度化予防の介護業務プロセスを検討した。その後、LIFE情報に包含されるアセスメント等をもとに教育ツールを開発した。教育ツールは、feasibility(実行可能性)を検証後、特別養護老人ホーム10施設を対象としたクラスターランダム化比較試験を実施した。
研究2)厚生労働省より取得した「介護保険総合データベース」の定型データセットから対象集団に関するLIFE情報を抽出し、介護業務に関連する項目を選定したリストと基本統計量を照合し、利活用可能性を検討した。1点目として、LIFE情報を用いたBarthel Indexの変化に関連する要因を選定し、予測モデルを構築した。2点目として、科学的介護推進体制加算を算定している介護老人保健施設に新規入所した対象者を対象に、要介護悪化までの時間をアウトカムとした予測モデルを構築し、モデル精度を算出した。なお、結果は厚生労働省より提供を受けた「介護保険総合データベース」の定型データセットを使用し、独自に作成・加工したものである。
結果と考察
研究1)介護業務と関連するLIFE関連加算項目を抽出したところ、延べ239項目であった。排泄・食事工程を視覚化し、介護職員による業務管理の観点を考慮したところ、必ずしもマンツーマン介護を常時提供できるものではなく、マルチタスク下のリスクが認められた。教育ツールを用いた介護計画立案と実践を12週間促した結果、「介護の仕方を統一して、介護を提供している」といった介護提供に対するポジティブな回答が増加する傾向を認めた。受容性の評価では、実践リーダーおよび介護施設職員ともに、道徳的であり受容できると回答していた。また、クラスターランダム化比較試験の結果、Barthel Index改善(10点・5点以上改善)において、介入群は対照群と比較して統計学的有意差は認められなかったが、ベースライン時のBarthel Indexが40点以下の入所者では、介入群は対照群に比べてBarthel Indexが5点以上改善する割合が有意に高かった。
研究2)提供された定型データセットの基本統計量および度数分布表から、LIFE情報には必須項目以外で欠損値が多く存在する傾向が明らかとなった。予測モデル構築では、Barthel Index悪化の予測に寄与した因子として、自己負担割合が低いこと、歯・入れ歯の汚れ、入所前後訪問指導加算なし、全体の食事摂取量が少なめであることが抽出された(モデル性能はR²値0.188、MSE 288.967)。さらに、LIFE情報のみを用いたモデルの予測精度は中程度であった。
結論
研究1)介護の実行プロセスを視覚化した結果、介護場面のリスクが示唆された。教育ツールを用いた介護提供は職員の受容性も高く、介護現場で懸念されていたチーム内での情報共有や介護提供の一貫性の欠如を解決しうる可能性が示唆された。また、本介入は主たる評価指標において全体のアウトカムを有意に改善しなかったが、ベースライン時のBarthel Indexが低い入所者には有益である可能性が示された。
研究2)定型データセットから対象集団を抽出し、LIFE情報の基本統計量の算出および度数分布表の作成を実施した。構築したデータベースを用いたBarthel Index悪化に関するモデルの精度は良好ではなかった。一方、要介護悪化までの時間に関する予測モデルでは、科学的介護推進情報のみを用いたモデルであっても予測精度は中程度を示しており、介護現場における予後予測に有用な可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2026-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-05-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202515002C

収支報告書

文献番号
202515002Z