文献情報
文献番号
201023016A
報告書区分
総括
研究課題名
同種造血幹細胞移植成績の一元化登録と国際間の共有およびドナーとレシピエントのQOLを視野に入れた成績の向上に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-016
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 修一(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 血液内科)
研究分担者(所属機関)
- 鈴木 律朗(名古屋大学医学部 造血細胞移植情報管理・生物統計学)
- 土田 昌宏(茨城県立こども病院)
- 秋山 秀樹(東京都立駒込病院 内科)
- 原 雅道(愛媛県立中央病院)
- 岡本 真一郎(慶應義塾大学 医学部)
- 豊嶋 崇徳(九州大学病院 遺伝子・細胞療法部)
- 浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
- 森尾 友宏(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
- 中尾 眞二(金沢大学 大学院医学系研究科)
- 高橋 聡(東京大学医科学研究所 先端医療研究センター分子療法分野)
- 一戸 辰夫(京都大学医学部附属病院)
- 小川 啓恭(兵庫医科大学 内科学講座 血液内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,544,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
同種造血幹細胞移植成績の一元化登録と国際間の共有およびドナーとレシピエントのQOLを視野に入れた成績の向上をめざす
研究方法
①本邦における造血細胞移植症例の情報の一元化登録システムを確立し、国際間の共有を目指す②小児移植患者の兄弟まで目を向けた援助システムを構築する③HLA不適合移植を母子間免疫寛容と免疫抑制強化の2点でその安全性を評価する④GVHD、TMA、感染症について早期診断、病態把握、治療法を確立する⑤白血病細胞に対するGVL効果を強化する⑥長期生存症例のQOLを評価し、QOL向上も視野に入れた移植法を開発する
結果と考察
TRUMPによる造血細胞移植登録一元化は定着し、成果を挙げている。移植を取り巻く病院の環境整備のためのデータマネージャー、CLS、移植コーディネータなどの整備が急務である。小児の患児兄弟のCLSを通したアプローチの重要性が示された。同種移植独特の問題点である感染症の管理、GVHDの制御、GVLの強化、ドナーの拡大は依然として取り組むべき大きな課題として残っている。ドナーの拡大を目的に血縁HLA不適合移植法を本邦が開発した母子間の免疫学的寛容と免疫抑制強化の2点から確立する。GVHDについてベクロメタゾンを用いた新規治療法の開発研究を行い、その安全性と有効性を確認した。日本が提唱したTMAの概念について、消化器症状を呈し、下部消化管組織検査を行った症例でのTMAの関与について研究を継続した。移植後の感染症のモニタリングを多種類の微生物に対して少量の検体、低価格で行い、早期診断早期治療を可能とする高感度多項目迅速低価格微生物検出システムを開発する。新規急性骨髄性白血病(AML)の腫瘍マーカーを血漿レベルで開発する。臍帯血移植において特にサイトメガロウイルス(CMV)再活性化と予後との関連を検討した。移植後再発の制御も大きな問題であり、移植後の腫瘍免疫強化の研究を白血病関連抗原であるCDK2ペプチド特異的CTLの誘導に焦点を当てて行った。移植後急性腎障害と予後の関連を検討する。患者家族のQOLについても問題提起した。
結論
一元化登録は順調に症例登録が進み、移植前のドナーの権利保護、移植後早期の合併症や再発対策、長期性生存例のQOL調査の研究が多角的に進んでいる。
公開日・更新日
公開日
2011-09-30
更新日
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