移行期成人期における食物アレルギー診療の確立に資する研究

文献情報

文献番号
202512006A
報告書区分
総括
研究課題名
移行期成人期における食物アレルギー診療の確立に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25FE1001
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院)
研究分担者(所属機関)
  • 猪又 直子(昭和医科大学 医学部皮膚科学講座)
  • 今井 孝成(昭和大学)
  • 岡野 光博(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 近藤 康人(藤田医科大学 医学部小児科)
  • 杉浦 至郎(あいち小児保健医療総合センター 保健センター保健室)
  • 鈴木 慎太郎(昭和大学 医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科学部門)
  • 千貫 祐子(島根大学 医学部 皮膚科)
  • 福冨 友馬(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
  • 矢上 晶子(冨高 晶子)(藤田医科大学 医学部総合アレルギー科)
  • 伊藤 浩明(あいち小児保健医療総合センター 総合診療科部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫・アレルギー疾患政策研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和9(2027)年度
研究費
3,470,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者交替 伊藤浩明(令和7年4月1日~7年11月26日) →杉浦至郎(令和7年11月27日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、成人食物アレルギー患者の増加が報告されている。2024年度の厚生労働科学研究による調査では、特定の食物摂取後にアレルギー症状を認める20〜54歳の割合は15.6%であり、2011年度調査(12.0%)と比較して増加傾向が示された。一方、成人食物アレルギー診療を実施している医療機関は限られており、移行期・成人期患者の医療アクセス体制は十分とは言えない。また、2020年度に「食物経口負荷試験の手引き」が作成・普及されたものの、その後の安全性改善状況は十分に検証されていない。本研究班は移行期成人期における食物アレルギーの実態を調査し、解決すべき課題を明らかにした上で、診療の質の向上および均てん化を目指すことを目的とした。
研究方法
3年計画の1年目にあたる2025年度は、(1)「成人食物アレルギー患者診療可能 医師・医療機関リスト」の作成・公開、(2)「食物経口負荷試験(Oral food challenge: OFC)実施施設リスト」の作成・公開、(3)OFCおよび運動誘発試験の実施方法および重篤な有害事象に関する調査の3課題に取り組んだ。
(1)「医師・医療機関リスト」の作成では、日本アレルギー学会の専門医・指導医のうちメール配信可能な4,825名を対象に、Web上のアンケートフォームで医療機関名、診療科、所在地、実施可能な検査・診療内容、受診方法等を調査し、情報公開の同意を得た上で食物アレルギー研究会ホームページに掲載した。(2)「OFC実施施設リスト」の作成では日本小児科学会基幹施設・連携施設に加え、移行期・成人期の診療体制整備の観点から日本アレルギー学会アレルギー専門医教育研修施設を新たに対象に加え、施設規模、外来・入院OFC実施の有無と年間症例数等を郵送・Webアンケートで調査した。(3)「OFCおよび運動誘発試験の実施方法および重篤な有害事象に関する調査」では、(2)と同じ施設を対象に実施し、一次調査でOFCおよび運動誘発試験の年間実施件数、陽性件数、グレード3症例数等をWebアンケートで収集し、グレード3症例を経験した施設には二次調査として患者の臨床情報を収集した。
結果と考察
「医師・医療機関リスト」には計706名の登録を得た。診療科別では内科315名、小児科249名、皮膚科104名、耳鼻咽喉科38名で、診療科別の登録率は皮膚科(21.5%)が最も高かった。登録者は全国47都道府県に分布したが、東京都・神奈川県・大阪府等の大都市圏への集中が認められた。OFCは小児科(68.3%)と内科(12.7%)の実施率に大きな差があり、経口免疫療法の導入は全体で20.5%にとどまった。本リストは2025年7月30日に食物アレルギー研究会ホームページで一般公開し、アレルギーポータルにリンクした。(2)「OFC実施施設リスト」では、1,386施設に調査協力を依頼し643施設から回答を得て、455施設でOFCの実施を確認した。OFC実施施設数は調査開始(2008年度245施設)以来増加傾向にあり、食物アレルギー診療への取り組みが進んでいることが示された。本リストも食物アレルギー研究会ホームページで公開し、アレルギーポータルにリンクしている。(3)「OFCおよび運動誘発試験の実施方法および重篤な有害事象に関する調査」では、1,383施設への一次調査で568施設(41.1%)から回答を得た。グレード3症例を経験した施設の割合が前回調査の51.3%から36.8%へ、グレード3症例の割合も全抗原で1.9%から1.0%へと低下し、「食物経口負荷試験の手引き」をはじめとする安全性向上への取り組みが一定の効果を上げていることが示唆された。一方、カシューナッツ(3.3%)やクルミ(2.1%)等の木の実類では他抗原と比較してグレード3症例の割合が高く、これらの抗原に対するOFC適応やOFC方法のさらなる検討が必要と考えられた。
結論
2025年度は、移行期成人期の食物アレルギー診療基盤整備として「成人食物アレルギー患者診療可能 医師・医療機関リスト」(706名登録)および「食物経口負荷試験実施施設リスト」(455施設)を作成・公開した。また、OFCおよび運動誘発試験の安全性に関する全国調査により、「食物経口負荷試験の手引き」を中心とした安全性向上への取り組みが効果を上げていることを確認した一方、カシューナッツ等の木の実類におけるさらなる対策の必要性、および成人診療科におけるOFCおよび経口免疫療法の実施体制整備の必要性が明らかとなった。2026年度は本年度の結果をふまえ、リストの更新、小児期発症の成人食物アレルギーの実態調査、各種手引きの改訂を実施する予定である。

公開日・更新日

公開日
2026-10-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-10-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
202512006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,500,000円
(2)補助金確定額
4,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 1,990,800円
旅費 190,543円
その他 1,288,657円
間接経費 1,030,000円
合計 4,500,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2026-10-27
更新日
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