ユビキタス・インターネットを活用したアレルギー疾患の自己管理および生活環境改善支援システム、遠隔教育システム、患者登録・長期観察システムに関する研究

文献情報

文献番号
201023010A
報告書区分
総括
研究課題名
ユビキタス・インターネットを活用したアレルギー疾患の自己管理および生活環境改善支援システム、遠隔教育システム、患者登録・長期観察システムに関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-010
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
須甲 松信(東京芸術大学 保健管理センター)
研究分担者(所属機関)
  • 木内 貴弘(東京大学医学部附属病院大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)研究センター)
  • 朝比奈 昭彦(国立病院機構相模原病院 皮膚科)
  • 海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院臨床研究センター アレルギー性疾患研究部)
  • 大矢 幸弘(国立成育医療研究センター内科系専門診療部アレルギー科)
  • 久保 千春(九州大学病院)
  • 中川 秀己(東京慈恵会医科大学皮膚科学講座)
  • 永田 真(埼玉医科大学 医学部呼吸器内科)
  • 中村 陽一(横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンター)
  • 灰田 美知子(半蔵門病院)
  • 森 晶夫(国立病院機構相模原病院臨床研究センター先端技術開発研究部)
  • 森川 昭廣(社会福祉法人希望の家附属北関東アレルギー研究所)
  • 山下 直美(武蔵野大学薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
25,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アレルギー患者の自己管理の実態調査を行い、患者の治療アドヒアランスを向上させる目的で、アドヒアランス調査票と心理学的行動変容プログラムを開発する。また、インターネットを活用して自己管理法の体得と実行支援を行なう。
研究方法
(1)全国のアレルギー市民公開講座の出席者に自己管理の認知度、実行度に関する調査を行なった。(2)簡便なアドヒアランス調査票を考案し、Trans-theoretical modelのstage分類に従い、アドヒアランス向上のための心理学的行動変容プログラムを開発し、喘息用マニュアル本を作り臨床応用した。(3)自己管理を支援するためWebおよび携帯ネットで使用するアレルギー電子日誌モニタリングシステムを開発し、臨床試験を行なった。(4)自己管理法を習得するための動画配信による遠隔教育システム(e-ラーニングhttp://ael.moovii.jp)用の番組制作を行なった。(5)患者登録・長期観察システムを利用し、患者の長期QOLに対するガイドライン治療の有用性に関する前向き調査を行なった。
結果と考察
(1)アレルギー患者1,662名の8割が自己管理の重要性を認識していたが、実行度は半数以上で低かった(VAS60%以下)(2)本邦に適したアドヒアランス調査票と喘息アドヒアレンス改善の行動変容プログラムは、成人と小児喘息患者のアドヒアランス向上と維持に有用であった。(3)アレルギー電子日誌モニタリングシステムと助言メール機能は、自己管理の実行度を向上させ、アドヒアランスとQOLの改善に有用であった。(4)コメディカルおよび患者向け遠隔教育システムの番組の充実と喘息指導用小冊子の配布は利用者に好評であった。(5)患者登録・長期QOL観察システムの実証試験では、成人、小児喘息患者946名が登録され、ガイドライン治療継続1年後に患者QOLの有意な向上が記録された。
結論
アレルギー患者の自己管理の実行度が低いのでそれを向上するためには、行動変容プログラムの普及と患者の教育・学習のためのインターネット環境の充実、周囲の医療従事者の啓発が有効と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

文献情報

文献番号
201023010B
報告書区分
総合
研究課題名
ユビキタス・インターネットを活用したアレルギー疾患の自己管理および生活環境改善支援システム、遠隔教育システム、患者登録・長期観察システムに関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-010
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
須甲 松信(東京芸術大学 保健管理センター)
研究分担者(所属機関)
  • 木内 貴弘(東京大学医学部附属大学病院医療情報ネットワーク研究センター)
  • 朝比奈 昭彦(国立病院機構相模原病院 皮膚科)
  • 海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院臨床研究センター アレルギー性疾患研究部)
  • 大久保 公裕(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
  • 大矢 幸弘(国立成育医療センター 内科系専門診療部)
  • 岡田 千春(国立病院機構本部 医療部)
  • 岡本 美孝(千葉大学 医学部)
  • 久保 千春(九州大学病院)
  • 高橋 裕子(奈良女子大学 保健管理センター)
  • 田中 裕士(札幌医科大学 医学部)
  • 谷口 正実(国立病院機構相模原病院臨床研究センター 気管支喘息研究室)
  • 土肥 眞(東京大学医学部附属病院)
  • 中川 秀己(京慈恵会医科大学 皮膚科学講座)
  • 永田 真(埼玉医科大学 医学部)
  • 中村 陽一(横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンター)
  • 灰田 美知子(半蔵門病院 )
  • 長谷川 眞紀(国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
  • 松山 剛(東邦大学医療センター佐倉病院)
  • 本島 新司(亀田総合病院)
  • 森 晶夫(国立病院機構相模原病院臨床研究センター 先端技術開発研究部)
  • 森川 昭廣(社会福祉法人希望の家附属北関東アレルギー研究所)
  • 山内 広平(岩手医科大学 医学部)
  • 山下 直美(武蔵野大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日常生活の必需インフラとなっているインターネットを最大限活用してアレルギー患者の自己管理・生活習慣改善に向けた行動変容を促し、QOLの維持・向上を図ることを主眼とした。
研究方法
(1)全国のアレルギー患者を対象に自己管理に関する実態調査を実施した。(2)自己管理に重要なアドヒアレンス調査のための簡便な問診票とアドヒアランス改善のための行動変容プログラムを考案し、その喘息用マニュアル本を制作して、臨床応用した。(3)インターネット上のエビデンスのあるQ&Aを表示する新しい検索法を開発・公開した。Webおよび携帯ネットで使用するアレルギー電子日誌モニタリングシステムを構築し、自己管理の支援に有用かどうかの実証試験を行なった。(4)コメディカルおよび患者向けの動画配信による遠隔教育システムを構築し、喘息ガイドライン概要小冊子を作成し全国の5万か所の薬局に配布した。(5)地域の医療機関が共有できる患者登録・長期QOL観察システムを構築した。
結果と考察
(1)アレルギー患者1,662名の8割のアレルギー患者が自己管理の重要性を認識していたが、実行度は半数以上で低かった(VAS60%以下)。
(2)本邦に適した簡便なアドヒアランス評価票が作成され、そのstageに合わせたアレルギー患者用心理学的行動変容プログラムを作成し、その指導マニュアル小冊子を発行し、成人、小児喘息患者のアドヒアランス向上に有用であった。
(3)新アレルギーQ&A検索法の利用は2万件を超えている。インターネット喘息モニタリングシステムと助言メールの実証試験の結果、患者の自己管理の向上が得られた。
携帯ネットの普及とともにこのシステムの利用が増加すると考えられる。
(4)本邦初の動画配信によるアレルギー遠隔教育(http://ael.moovii.jp)は、アレルギー啓発の上で高い評価を得、患者の自己管理の教育、学習に有用と考えられる。
(5)患者登録・長期観察システムには、成人喘息/小児喘息患者946名の登録があり、ガイドライン治療継続1年後、患者のQOLは有意な向上が記録された。患者の長期観察に有用なシステムであることが確認できたので、今後は長期にわたるガイドライン治療の正当性を検証していきたい。
結論
アレルギーの自己管理を高めるには、患者の教育・学習のためのインターネット環境の充実、周囲の医療従事者の持続的な啓発が大切である。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201023010C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本邦で初めてアレルギー患者の治療アドヒアランス状況を調査する簡便な問診票とその向上のための行動変容プログラムを開発した。アレルギー自己管理支援の目的でWebQ&A自然語検索法、喘息/アトピー性皮膚炎のWeb/携帯電子日誌モニタリングシステム、動画によるe‐ラーニングシステムを開発し、一般公開した。地域の診療連携推進を目的にアレルギー患者の登録・QOL長期観察システムを開発し、専門医に利用を公開した。
臨床的観点からの成果
全国のアレルギー患者を対象に、アドヒアランスの実態調査を行なった。1,662名の8割が
自己管理の重要性を認識しながらその半数以上で実行度が悪かった。自己管理を促す行動変容プログラムを患者に適用したところアドヒアランスが改善した。電子日誌モニタリングシステムを患者に利用したところアドヒアランスとQOLが向上した。喘息ガイドライン治療中の喘息患者946名をQOL長期観察システムに登録して、1年間経過追跡したところ有意なQOLの向上が認められ、ガイドラインの有用性が確認された。
ガイドライン等の開発
ガイドラインの有用性は、短期間の治療/QOL改善・維持には認められているが、小児期から生涯にわたるような長期継続の場合のエビデンスはない。この研究で開発された患者登録・QOL長期観察システムはガイドラインの長期有用性の検証に役立つ。コメディカル対象のアレルギー啓発のため、薬剤師のための喘息ガイドライン概要小冊子を全国の5万の薬局に配布した。
その他行政的観点からの成果
アレルギー患者の自己管理を浸透させるためのその全国実態調査を行ない、自己管理を支援するインターネットの様々な手法を開発し、その検証システムも稼働させた。
その他のインパクト
薬剤師を対象としたアレルギーの啓発講演および第60回日本アレルギー学会(2010)市民公開講座をライブ動画配信を行ない、視聴者に好評であった。

発表件数

原著論文(和文)
34件
原著論文(英文等)
64件
その他論文(和文)
83件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
172件
学会発表(国際学会等)
39件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件
e-ラーニング(http://ael.moovii.jp/)、薬剤師のための喘息ガイドライン小冊子配布、コメディカルのための小冊子配布(1000部)

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201023010Z