小児期のリウマチ・膠原病の難治性病態の診断と治療に関する研究

文献情報

文献番号
201023008A
報告書区分
総括
研究課題名
小児期のリウマチ・膠原病の難治性病態の診断と治療に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
横田 俊平(横浜市立大学 医学研究科 発生成育小児医療学)
研究分担者(所属機関)
  • 武井 修治(鹿児島大学 医学部 保健学科)
  • 三好 麻里(兵庫県立こども病院 アレルギー科)
  • 森 雅亮(横浜市立大学 附属市民総合医療センター 小児科)
  • 村田 卓士(大阪医科大学 小児科)
  • 今川 智之(横浜市立大学 附属病院 小児科)
  • 升永 憲治(久留米大学 医学部 感染医学講座)
  • 岩田 直美(あいち小児保健医療総合センター 感染免疫科)
  • 梅林 宏明(宮城県立こども病院 総合診療科)
  • 永井 和重(札幌医科大学 医学部 小児科)
  • 小林 法元(信州大学 医学部 小児科)
  • 金城 紀子(琉球大学医学部 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 小児期リウマチ・膠原病の「難治性病態」につき、全国的な頻度調査を行い、死亡例の主治医・病理医による検討、炎症学的検討により病態を分析し、個々の治療法の是非につき検討、文献検索システムにより難治性病態の診断・治療の臨床経過、治療方法について検討を行う、 診断と治療方法のガイドラインの作成を行うことを研究の目的とした。
研究方法
小児リウマチ・膠原病の難治性病態に関して全国調査を行い、剖検を行った症例を全国的に検索・収集し、その主治医と病理医とを招集して合同検討会を催した。文献検索により希少な難治症例の世界的規模の収集・検討を行った。難治例の診断・治療ガイドライン化の検討を行った。
結果と考察
初年度に行なった全国的な一次調査の結果(410施設、計2,832症例)のうち、難治例・死亡例を有するとの回答があった133 施設に二次調査用紙を依頼した。その結果、73施設(54.9%)から回答を得、計312 症例が報告された。難治症例は、JIA症例が最も多く(184例)、ついでSLE症例(36例)、JDM症例(30例)の順であった。
死亡例は、JIAにおいてMAS、CMV肺炎、間質性肺炎がそれぞれ1例ずつ認められた。SLEの死亡例はなかったが、JDMでは間質性肺炎2例、脂肪織炎1例、不明1例の計4例が報告された。その他の疾患では、血管炎症候群で敗血症の死亡が1例みられた。
平成22年度の重点的研究として、全国調査において難治例、死亡例の頻度が最も高かった若年性皮膚筋炎について取り上げ、臨床面と病理面の両面から詳細な検討を行った。この結果、若年性皮膚筋炎での死因はすべて間質性肺炎であることが判明し、またこれまで考えられていた肺線維化に伴う病態ではなく、むしろ急性呼吸障害(ARDS)に近い病態であることが判明し、今後の治療法の検討にきわめて有用であった。
結論
本研究班では全国調査による小児難治例の収集と診断・治療に関わる問題点の把握と改善、文献検索システムによる世界的な希少難治性病態症例の収集と検討、炎症病態の基礎的検討からの治療法評価など、多角的に解析を行ってきた。全国調査において難治例、死亡例の頻度が最も高かった若年性皮膚筋炎について、臨床面と病理面の両面から詳細な検討を行い、病態が進行期に入ると、抗炎症および免疫抑制治療が奏功することはないことが臨床的に判明した。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-02-15
更新日
-

文献情報

文献番号
201023008B
報告書区分
総合
研究課題名
小児期のリウマチ・膠原病の難治性病態の診断と治療に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
横田 俊平(横浜市立大学 医学研究科 発生成育小児医療学)
研究分担者(所属機関)
  • 武井 修治(鹿児島大学 医学部 保健学科)
  • 三好 麻里(兵庫県立こども病院 アレルギー科)
  • 森 雅亮(横浜市立大学 附属市民総合医療センター 小児科)
  • 村田 卓士(大阪医科大学 小児科)
  • 今川 智之(横浜市立大学 附属病院 小児科)
  • 升永 憲治(久留米大学 医学部 感染医学講座)
  • 岩田 直美(あいち小児保健医療総合センター 感染免疫科)
  • 梅林 宏明(宮城県立こども病院 総合診療科)
  • 永井 和重(札幌医科大学 医学部 小児科)
  • 小林 法元(信州大学 医学部 小児科)
  • 金城 紀子(琉球大学医学部 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 小児期リウマチ・膠原病の「難治性病態」につき、全国的な頻度調査を行い、死亡例の主治医・病理医による検討、炎症学的検討により病態を分析し、個々の治療法の是非につき検討、文献検索システムにより難治性病態の診断・治療の臨床経過、治療方法について検討を行う、 診断と治療方法のガイドラインの作成を行うことを研究の目的とした。
研究方法
小児リウマチ・膠原病の難治性病態に関して全国調査を行い、剖検を行った症例を全国的に検索・収集し、その主治医と病理医とを招集して合同検討会を催した。文献検索により希少な難治症例の世界的規模の収集・検討を行った。難治例の診断・治療ガイドライン化の検討を行った。
結果と考察
初年度に行なった全国的な一次調査の結果(410施設、計2,832症例)のうち、難治例・死亡例を有するとの回答があった133 施設に二次調査用紙を依頼した。その結果、73施設(54.9%)から回答を得、計312 症例が報告された。難治症例は、JIA症例が最も多く(184例)、ついでSLE症例(36例)、JDM症例(30例)の順であった。
死亡例は、JIAにおいてMAS、CMV肺炎、間質性肺炎がそれぞれ1例ずつ認められた。SLEの死亡例はなかったが、JDMでは間質性肺炎2例、脂肪織炎1例、不明1例の計4例が報告された。その他の疾患では、血管炎症候群で敗血症の死亡が1例みられた。
平成22年度の重点的研究として、全国調査において難治例、死亡例の頻度が最も高かった若年性皮膚筋炎について取り上げ、臨床面と病理面の両面から詳細な検討を行った。この結果、若年性皮膚筋炎での死因はすべて間質性肺炎であることが判明し、またこれまで考えられていた肺線維化に伴う病態ではなく、むしろ急性呼吸障害(ARDS)に近い病態であることが判明し、今後の治療法の検討にきわめて有用であった。
結論
本研究班では全国調査による小児難治例の収集と診断・治療に関わる問題点の把握と改善、文献検索システムによる世界的な希少難治性病態症例の収集と検討、炎症病態の基礎的検討からの治療法評価など、多角的に解析を行ってきた。全国調査において難治例、死亡例の頻度が最も高かった若年性皮膚筋炎について、臨床面と病理面の両面から詳細な検討を行い、病態が進行期に入ると、抗炎症および免疫抑制治療が奏功することはないことが臨床的に判明した。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201023008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 小児リウマチ・膠原病の難治性病態の全国調査によりその頻度を把握できたこと、若年性皮膚筋炎に併発する間質性肺炎の病態、病理像について集中的学際的な検討を行うことができたことは特筆に値する。この点についての検討は、国内・国外を通じて本研究が初めてである。
臨床的観点からの成果
 小児リウマチ・膠原病の難治性病態症例の調査研究により、難治症例の全体像を把握することができた。特に、若年性皮膚筋炎の死亡例の報告はこれまでの間質性肺炎とは異なりARDS様病態が原因と判明した。また若年性皮膚筋炎の間質性肺炎併発例について、臨床症状・検査所見・画像所見から種々の重要な特徴を把握することができた。これらの結果は、今後、難治症例の診断と治療にとって有用と考えられた。
ガイドライン等の開発
本研究では、全国調査を通じて、その頻度が明らかになり、剖検例の臨床的、病理学的な検討を行い、診断・治療の共通の問題点から病態形成因子を抽出することができた、さらに文献検索から得た症例の情報から難治性病態の診断・治療の世界的趨性をまとめ、本研究の最終目標とした難治性病態の診断・治療のガイドラインの作成に向け、十分に情報を収集することができた。また難治性若年性特発性関節炎に対する治療法のガイドラインとしてエタネルセプトの使用手引きを作成した。
その他行政的観点からの成果
 診断・治療のガイドライン作成と普及により、リウマチ・膠原病診療の一般医と専門医の診療の分業体制が進む。難治例は専門医の医療に集約化され、子どもたちの医療・福祉の向上につながる。政策的には、診断・治療のガイドラインを「難病指定」などに活用でき、治療の標準化は医療費請求の客観化につながる。
その他のインパクト
 小児リウマチ性疾患における難治症例の治療法として生物学的製剤使用のガイドラインを関連学会に日本語ならびに英語で掲載し、臨床へのフィードバックを行うとともに、これまでほとんど行われなかった、若年性皮膚筋炎の肺病変症例に関して多数例を同時に、かつ小児科医と病理医による検討を行い。これまでに得られなかった知見が判明した。

発表件数

原著論文(和文)
5件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
8件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
横田俊平, 他
若年性特発性関節炎に対する生物学的製剤治療の手引き2009 エタネルセプト
日本小児科学会雑誌  (2009)
原著論文2
Yokota S, Kishimoto T.
Tocilizumab: molecular intervention therapy in children with systemic juvenile idiopathic arthritis.
Expert Rev Clin Immunol.  (2010)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201023008Z