関節リウマチ患者の現状と問題点を解析するための多施設共同疫学研究

文献情報

文献番号
201023007A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチ患者の現状と問題点を解析するための多施設共同疫学研究
課題番号
H20-免疫・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
當間 重人(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター・リウマチ性疾患研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤智太郎(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター・整形外科)
  • 末永康夫(独立行政法人国立病院機構別府医療センター・リウマチ科)
  • 千葉実行(独立行政法人国立病院機構盛岡病院・リウマチ科)
  • 松井利浩(独立行政法人国立病院機構相模原病院・リウマチ科 )
  • 金子敦史(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター・整形外科)
  • 佐伯行彦(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター・臨床研究部)
  • 税所幸一郎(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター・臨床研究部)
  • 吉永泰彦(財団法人倉敷成人病センター・リウマチ膠原病センター)
  • 森 俊仁(独立行政法人国立病院機構相模原病院・整形外科)
  • 杉井章二(東京都立多摩総合医療センター・リウマチ膠原病科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究目的:
本邦における関節リウマチ(RA)患者に関する種々の情報を多施設共同で収集解析し、その現状や問題点を明らかにする。
研究方法
研究方法:
毎年度1回患者情報を収集、2010年度は2009年度分のデータを収集追加した。データの収集管理は独立行政法人国立病院機構本部に設置されている統合サーバを用いている。参加施設は2011年3月現在30施設である。
結果と考察
結果と考察:
1.2010年度は7085人のデータを収集、本邦RA患者約1%の情報である。2.RA患者の疾患活動性を経年的横断的にみて、CRP・ESR・DAS28・mHAQの更なる改善を確認。3.発病2年未満における疾患活動性コントロールが不十分であった。近年提唱されているTreat to Target導入の必要性を裏付ける事実である。4.生物学的製剤の使用頻度はさらに増加し、抗リウマチ薬投与患者のうち、17.1%に用いられていた。5.2003から2009年度へと経年的にRA関連手術の頻度は減少。6.RA関連入院は減少、感染症・間質性肺炎・骨粗鬆症関連入院が減少傾向になく、問題。7.RA患者における結核のSIR(標準化罹病率)は4.21と高く、本邦全体でみた結核罹患率の減少と異なりRA患者の結核罹患率は減少していない。また、全例市販後調査の結果と比較すると、生物学的製剤投与群ではSIRがさらに高くなっていた。8. RAにおける悪性腫瘍全般のSIRはほぼ1.0、悪性リンパ腫の発生率は高く、消化器系癌が少ないことを再確認。さらに女子患者においては膀胱癌のリスクも高いことが再確認された。9.RA関連手術の周術期における創遷延治癒例や感染例に関して、生物学的製剤使用例と非使用例に差異なし。人工関節晩期感染症例5症例のうち2例に生物学的製剤が投与されていた。注意を要する。10.2009度も継続的に平均死亡時年齢は高くなっており、RA患者の生命予後は改善していることが示唆された。死因は感染症が第1位である。11.RA患者一人あたりの抗リウマチ費用は2004年度以降、直線的に増加しており、2009年度は約36万円/年/患者であった。12. 2009年度、RA治療に要した費用(RA治療入院、有害事象入院、抗リウマチ薬費用のみ)は、551,350円/年/患者であり、64.7%を抗リウマチ薬費用が占めていた。
結論
結論:
新規治療法が続々と導入される現在、本データベースは継続的に蓄積されていくべきものであり、本邦におけるRA実状の把握、治療法検証、及び有害事象の測定に極めて有用性の高いデータベースである。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

文献情報

文献番号
201023007B
報告書区分
総合
研究課題名
関節リウマチ患者の現状と問題点を解析するための多施設共同疫学研究
課題番号
H20-免疫・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
當間 重人(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター・リウマチ性疾患研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤智太郎(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター・整形外科)
  • 末永康夫(独立行政法人国立病院機構別府医療センター・リウマチ科)
  • 千葉実行(独立行政法人国立病院機構盛岡病院・リウマチ科 )
  • 松井利浩(独立行政法人国立病院機構相模原病院リウマチ科)
  • 金子敦史(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター・整形外科)
  • 佐伯行彦(独立行政法人国立病院機構大阪南病院臨床研究部)
  • 税所幸一郎(独立行政法人国立病院機構都城病院・整形外科)
  • 吉永泰彦(財団法人倉敷成人病センターリウマチ膠原病センター)
  • 森 俊仁(独立行政法人国立病院機構相模原病院整形外科)
  • 杉井章二(東京都立府中病院リウマチ膠原病科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究目的:
本邦における関節リウマチ(RA)患者に関する種々の情報を多施設共同で収集解析し、その現状や問題点を明らかにする。
研究方法
研究方法:
毎年度1回患者情報を収集、研究期間3年分のデータを収集・追加・解析した。参加施設は2011年3月現在30施設である。
結果と考察
結果と考察:
1.2008年度5543人、2009年度6390人、2010年度は7085人のデータを収集、本邦RA患者約1%の情報。2.経年的CRP・ESR・DAS28・医師VAS・mHAQの改善を確認。3.罹患年数の長い症例では、関節破壊や機能障害の改善が困難。4.発病2年未満における疾患活動性コントロールが不十分。近年提唱されているTreat to Target導入の必要性を裏付ける事実。5.2010年に示されたRA新寛解基準について検証、DAS28ESR寛解者のうち新寛解基準を満たす症例は半分以下。6.生物学的製剤の使用頻度は増加、2009年度現在、抗リウマチ薬投与患者のうち17.1%に投与。7.経年的にRA関連手術の頻度は減少。8.RA関連入院は減少、感染症・間質性肺炎・骨粗鬆症関連入院が減少傾向になく問題。9.RA患者における結核のSIR(標準化罹病率)は4.21と高く、本邦全体でみた結核罹患率の減少と異なりRA患者の結核罹患率は減少していない。全例市販後調査によると生物学的製剤投与群ではSIRがさらに増加、要注意。10. RAにおける悪性腫瘍全般のSIRはほぼ1.0、悪性リンパ腫の発生率は高く、消化器系癌が少ないことを再確認。さらに女子患者においては膀胱癌のリスクも高いことが再確認された11.RA関連手術の周術期における創遷延治癒例や感染例に関して、生物学的製剤使用例と非使用例に差異なし。人工関節晩期感染症例5症例のうち2例に生物学的製剤が投与されていた。注意を要する。12.2009度も継続的に平均死亡時年齢は高くなっており、RA患者の生命予後は改善していることが示唆された。死因は感染症が第1位である。11.RA患者一人あたりの抗リウマチ費用は2004年度以降増加、2009年度は約36万円/年/患者。13. 2009年度、RA治療に要した費用(RA治療入院、有害事象入院、抗リウマチ薬費用のみ)は、551,350円/年/患者、64.7%を抗リウマチ薬費用が占めていた。
結論
結論:
新規治療法が続々と導入される現在、本データベースは継続的に蓄積されていくべきものであり、本邦におけるRA実状の把握、治療法検証、及び有害事象の測定に極めて有用性の高いデータベースである。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201023007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
日本全国多施設共同による多くの患者を対象とした本研究により、日本における関節リウマチの現状あるいは問題点が明らかになっている。生物学的製剤など種々の新規治療薬が続々と治療に導入されている近年、2002年度以降継続されているこのデータベース構築は関節リウマチ治療の検証に極めて有用なものとなっている。
臨床的観点からの成果
治療効果や有害事象の現状など本研究で得られた情報は関係学会、研究会、公開講座などで発表している。ホームページ上でも情報を更新し公開する予定である。これらの情報公開は、治療方針に関する意思決定に際して、医療側・患者側に共有情報を提供するものとして有用である。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
本研究班で収集した本邦関節リウマチ患者情報が、公知申請の参考資料として用いられ、2011年2月、メトトレキサートの上限用量が8mg/週から16mg/週に改正された。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
37件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Matsui T, Kuga Y, et al.,Tohma S.
Comparison of composite disease activity indices for rheumatoid arthritis.
Modern Rheumatology , 21 (2) , 134-143  (2011)
原著論文2
Yasui T, Nishino J, et al.,Tohma S.
Impact of biologics on the prevalence of orthopedic surgery in the National Database of Rheumatic Diseases in Japan.
Modern Rheumatology , 20 (3) , 233-237  (2010)
原著論文3
Nishino J, Tanaka S, et al.,Tohma S.
Prevalence of joint replacement surgery in rheumatoid arthritis patients: cross-sectional analysis in a large observational cohort in Japan.
Modern Rheumatology , 19 (3) , 260-264  (2009)
原著論文4
Tohma S.
Induction of malignant neoplasm
Nippon Rinsho , 65 (7) , 1321-1326  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
2015-06-30

収支報告書

文献番号
201023007Z