アトピー性皮膚炎のかゆみの解明と治療の標準化に関する研究

文献情報

文献番号
201023004A
報告書区分
総括
研究課題名
アトピー性皮膚炎のかゆみの解明と治療の標準化に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
古江 増隆(九州大学大学院医学研究院 皮膚科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 高森 建二(順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院皮膚科学)
  • 相馬 良直(聖マリアンナ医科大学皮膚科学)
  • 秀 道広(広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学)
  • 佐伯 秀久(東京慈恵会医科大学皮膚科学)
  • 菅谷 誠(東京大学大学院医学系研究科皮膚科学)
  • 遠山 正彌(大阪大学大学院連合小児発達学研究科/医学系研究科)
  • 稲垣 直樹(岐阜薬科大学機能分子学大講座薬理学研究室)
  • 大矢 幸弘(国立成育医療研究センター内科系専門診療部アレルギー科)
  • 浜崎 雄平(佐賀大学医学部小児科学)
  • 中村 晃一郎(埼玉医科大学皮膚科)
  • 天谷 雅行(慶應義塾大学医学部皮膚科)
  • 玉利 真由美(理化学研究所ゲノム医科学研究センター呼吸器疾患研究チーム)
  • 野口 恵美子(筑波大学大学院人間総合科学研究科ゲノムサイエンス分野)
  • 古庄 憲浩(九州大学大学院医学研究院感染環境医学)
  • 竹内 聡(九州大学病院皮膚科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、アトピー性皮膚炎の根本的な症状である痒みを臨床的、基礎的、遺伝的に研究し、加えて治療EBMサイトを改訂し標準的治療法を国民に広く普及させることを目的とする。
研究方法
(1)2009年9月までの本症の各種治療、環境因子、民間療法などのEBM報告をまとめた。
(2)かゆみの研究;1)抗アレルギー薬および2)タンニン酸スプレーによる痒み治療、3)ステロイド外用薬の副作用の検討、4)リンパ腫からの痒み因子探索、5)かゆみHPの認知度調査、6-11)マウスとin vitroモデルでの本症の痒みと炎症の機序解明(基礎研究6件)、12―15)AD患者背景情報とゲノム情報から各種遺伝解析を行った。
結果と考察
(1)ホームページを改訂し2010年10月に公表した。
(2)1)痒み改善とQOLの改善の相関、2)抗かゆみタンニン酸スプレーとウェットティッシュの新規開発、3)副腎機能抑制はステロイド外用でなく、重症度とより関連する、4)痒み因子CCL26の発見、5)痒み啓発サイトの浸透度が低いこと、6)タクロリムス外用がIL-17とIgEを低下させ、マウスの掻破行動を抑制する、7)マウスニューロプシンによる神経成長因子発現促進がp75受容体を介して皮膚炎の表皮内神経伸長を起こす、8)神経成長因子誘導性のメタロプロテイネース8が真皮内神経伸長へ関わっている、9)マウスの掻破行動にH1, H2、およびH4受容体が関連している、10)起痒物質のアラキドン酸mRNAが表皮細胞に存在している、11)ラットにおけるセロトニン感受性痒み神経を同定した、ことを確認した。12)スニップスタイピングによる罹患同胞対と症例対照研究においてSMAD3多型と本症との関連の発見とSMAD3-ノックアウトマウスの作成、13)MDC(CCL22)と本症発症との間に有意な相関、14)石垣島コホートでフィラグリン遺伝子変異と本症集団との関連がみられない、15)同コホートでヘリコバクターピロリ菌の感染と本症発症に関連のないことがわかった。
結論
本研究での基礎的、臨床的、疫学的新知見により、アトピー性皮膚炎の痒みと病態の理解や治療はさらに進み、また2010年度版としてのEBMホームページの改訂により標準的治療の普及が推進され、さらなる国民の医療と生活の質の向上に貢献すると思われる。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

文献情報

文献番号
201023004B
報告書区分
総合
研究課題名
アトピー性皮膚炎のかゆみの解明と治療の標準化に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
古江 増隆(九州大学大学院医学研究院 皮膚科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 高森 建二(順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院皮膚科学)
  • 相馬 良直(聖マリアンナ医科大学皮膚科学)
  • 秀 道広(広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学)
  • 佐伯 秀久(東京慈恵会医科大学皮膚科学)
  • 菅谷 誠(東京大学大学院医学系研究科皮膚科学)
  • 遠山 正彌(大阪大学大学院連合小児発達学研究科/医学系研究科)
  • 稲垣 直樹(岐阜薬科大学機能分子学大講座薬理学研究室)
  • 大矢 幸弘(国立成育医療研究センター内科系専門診療部アレルギー科)
  • 浜崎 雄平(佐賀大学医学部小児科学)
  • 中村 晃一郎(埼玉医科大学皮膚科)
  • 天谷 雅行(慶應義塾大学医学部皮膚科)
  • 玉利 真由美(理化学研究所ゲノム医科学研究センター呼吸器疾患研究チーム)
  • 野口 恵美子(筑波大学大学院人間総合科学研究科ゲノムサイエンス分野)
  • 林 純(九州大学大学院医学研究院感染環境医学)
  • 古庄 憲浩(九州大学大学院医学研究院感染環境医学)
  • 竹内 聡(九州大学病院皮膚科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、アトピー性皮膚炎の根本的な症状である痒みを臨床的、基礎的、遺伝疫学的に研究し、加えて治療EBMサイトを改訂し標準的治療法を国民に広く普及させることを目的とする。
研究方法
(1)2009年9月までの本症の各種治療、環境因子、民間療法などのEBM報告をまとめた。
(2)かゆみの研究:1―9)既存の内外用治療薬の抗痒み効果や新規抗痒み薬開発の臨床研究、10-15)マウスやin vitroモデルでの本症の痒みと炎症の機序解明の基礎研究、16―19)AD患者背景情報とゲノム情報から各種遺伝解析を行った。
結果と考察
(1)ホームページを改訂し2010年10月に公表した。
(2)1)タクロリムスのプロアクティブ療法は痒み抑制に有効、2)保湿薬は軽症患者の痒み改善に有効、3)ステロイドのプロアクティブ療法の痒みはIgE値抑制に有効、4、5)抗ヒスタミン薬は疾患重症度とQOLを改善、6)新開発のタンニン酸スプレーは発汗の痒みを抑制、7)副腎機能抑制はステロイド外用とでなくむしろ重症度と関連、8)新規痒み関連因子CCL26の発見、9)痒みHPの認知度がまだ低い、10)タクロリムスはIL-17とIgEを低下させ、マウスの掻破行動を抑制、11)マウスニューロプシンがp75を介した炎症時の表皮内神経伸長を起こす、12)メタロプロテイネース2と8がそれぞれ表皮内と真皮内神経伸長に関与、13)マウスの痒みにヒスタミンヒスタミン1, 2および4受容体が関連、14)起痒物質のアラキドン酸mRNAが表皮細胞に存在、15)ラットでセロトニン感受性痒み神経の同定、を確認した。16)スニップスタイピングによる罹患同胞対と症例対照研究においてSMAD3多型と本症との関連の発見とSMAD3-ノックアウトマウスの作成、17)MDC(CCL22)と本症発症との間に有意な相関、18)石垣島コホートでフィラグリン遺伝子変異と本症集団との関連がみられない、19)同コホートでヘリコバクターピロリ菌の感染と本症発症に関連のないことがわかった。
結論
本研究での基礎的、臨床的、疫学的新知見により、アトピー性皮膚炎の痒みと病態の理解や治療はさらに進み、またEBMホームページの2010年度改訂版により標準的治療の普及と不適切治療の排除が推進され、さらなる国民の医療と生活の質の向上に貢献すると思われる。

公開日・更新日

公開日
2011-09-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201023004C

収支報告書

文献番号
201023004Z