文献情報
文献番号
201022004A
報告書区分
総括
研究課題名
CKD進展予防のための特定健診と特定保健指導のあり方に関する研究
課題番号
H22-腎疾患・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
木村 健二郎(聖マリアンナ医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 渡辺毅(福島県立医科大学 医学部)
- 藤垣嘉秀(浜松医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 腎疾患対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,389,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
CKDは生活習慣の是正によってその発症と進展の予防が期待できる。しかし、特定健診では血清クレアチニンの測定が必須項目でないため、ステージに応じた保健指導が行えない。そこで本研究は、(1)特定健診におけるCKD予防対象の分類基準の策定、(2)CKDステージ別指導内容の確立、(3)健診受診者/保健指導者への教育資材作成を行い、(4)作製した保健指導システムの有効性を検証する、ことを目的に3年間の研究計画を策定した。
研究方法
初年度は研究目的を達成する準備段階として以下の3つを目的とした。
(1)2つの特定健診データベース(58万人と54万人規模)を解析してCKDの実態を明らかにするとともに血清クレアチニン測定の意義を明らかにした。
(2)スポット尿と食生活アンケートから1日食塩摂取量を推測することを試みた。さらに、蓄尿した尿の一部を検査する方法(関東化学、ユリメジャーシステム®)の有用性を検討した。
(3)健診受診者を対象に睡眠時間と尿蛋白陽性の関係を解析した。
(1)2つの特定健診データベース(58万人と54万人規模)を解析してCKDの実態を明らかにするとともに血清クレアチニン測定の意義を明らかにした。
(2)スポット尿と食生活アンケートから1日食塩摂取量を推測することを試みた。さらに、蓄尿した尿の一部を検査する方法(関東化学、ユリメジャーシステム®)の有用性を検討した。
(3)健診受診者を対象に睡眠時間と尿蛋白陽性の関係を解析した。
結果と考察
(1)CKD有病率は11.6 %と16.2%であった。ステージ3, 4, 5のうち尿蛋白陰性者は89.7%であった。したがって、血清クレアチニン値を測定しないと、ステージ3, 4, 5のCKD患者の89.7%を発見できないことになる。以上より、CKDの早期発見と保健指導のためには血清クレアチニン値の測定が必須であることが確認できた。
(2)スポット尿と食生活アンケートからの推定食塩摂取量と実測値の相関係数はそれぞれr=0.47とr=0.35であった。ユリメジャーシステム®を使用した推定食塩摂取量と実測値の相関係数はr = 0.92であった。以上、食塩摂取量の推定にはさらに工夫が必要である。
(3)睡眠時間6時間を基準として尿蛋白陽性のハザード比を求めると、睡眠時間5時間以下において睡眠時間とハザード比の間に逆相関関係を認めた。短時間睡眠が尿蛋白出現の予測因子であることが初めて明らかとなった。
(2)スポット尿と食生活アンケートからの推定食塩摂取量と実測値の相関係数はそれぞれr=0.47とr=0.35であった。ユリメジャーシステム®を使用した推定食塩摂取量と実測値の相関係数はr = 0.92であった。以上、食塩摂取量の推定にはさらに工夫が必要である。
(3)睡眠時間6時間を基準として尿蛋白陽性のハザード比を求めると、睡眠時間5時間以下において睡眠時間とハザード比の間に逆相関関係を認めた。短時間睡眠が尿蛋白出現の予測因子であることが初めて明らかとなった。
結論
1.特定健診受診者のCKDの頻度は11-16 %であった。
2.CKDの早期発見には血清クレアチニン値の測定が必須であった。
3.食塩摂取量の推定にスポット尿や食生活アンケートは有用であるが、まだ、工夫の余地がある。
4.ユリメジャーシステム®により蓄尿の負担は軽減出来る。
6.短時間睡眠はCKDの新たな危険因子である可能性が示された。
2.CKDの早期発見には血清クレアチニン値の測定が必須であった。
3.食塩摂取量の推定にスポット尿や食生活アンケートは有用であるが、まだ、工夫の余地がある。
4.ユリメジャーシステム®により蓄尿の負担は軽減出来る。
6.短時間睡眠はCKDの新たな危険因子である可能性が示された。
公開日・更新日
公開日
2011-09-20
更新日
-