文献情報
文献番号
201021079A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の啓発ならびにリスクファクター低減策としての喫煙率低減を目指した定量的分析に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-循環器・指定-023
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小倉 剛((財)結核予防会大阪府支部)
研究分担者(所属機関)
- 相澤 久道(久留米大学医学部 内科学講座)
- 内村 和広(公益財団法人結核予防会結核研究所)
- 五十嵐 中(東京大学大学院薬学系研究科・医薬政策学、薬剤経済学)
- 福田 敬(東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻、医療経済学)
- 赤沢 学(明治薬科大学 公衆衛生・疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
喫煙による生活習慣病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の早期発見と喫煙率の低減を目指し、1:質問票によるハイリスク(HR)例のスクリーニング効果を検討し、2:禁煙諸施策の禁煙企図への影響度を調査する。
研究方法
1:結核予防会と支部が関連する諸集団の40歳以上を対象に、IPAGのCOPD質問票によりHR例の頻度を調査する。さらに人間ドック健診受診者集団では肺機能検査の1秒率値と対比し、気流制限例<1秒率<70%>に対するこの質問票の感度などを検証し質問票の改訂を図る。2:現喫煙者を対象に、具体的な5つの諸施策とその段階的水準の組み合わせをWeb上に提示し、禁煙企図率に及ぼす影響を定量的に評価する。
結果と考察
1:34施設からの有効回答87,501例中、標準的なカットオフ値17でのHR例の頻度は43.5%で、回答選択肢のうち「高齢者」、「重喫煙者」、「喘鳴あり」で高頻度であった。肺機能検査受検者41,321例中気流制限例の頻度は4.6%で、上記の3選択肢では14%以上となりodds比も高値であった。またHR例中での頻度は9.4%であった。ROC-AUCは0.7494、カットオフ値17での感度は72.7%、特異度66.6%で、カットオフ値14ではそれぞれ86.6%、41.8%となり、他の調査表を用いた成績と比較し、COPDのスクリーニングに利用しうると判断した。我が国の実情とは符号しないBMIの選択肢や選択肢間でHR例の頻度に有意差が見られない選択肢について、種々の修整を行ったが感度の上昇には至らなかった。
2:「タバコ価格の値上げ」、「公共性の高い場所での禁煙規制<罰金>」、「保険による禁煙治療の拡充」、「禁煙治療施設の拡充」、「タバコの箱の警告表示強化」の5因子にそれぞれ2から3段階の水準を設定して組み合わせた13パターンに対し1,103例から回答が得られた。警告強化を除き禁煙企図率への影響がみられ、単一では値上げが最も有効で、罰金導入との組み合わせで値上げ幅を少なくすると企図率の向上に役立つことが定量的に明らかにされた。
2:「タバコ価格の値上げ」、「公共性の高い場所での禁煙規制<罰金>」、「保険による禁煙治療の拡充」、「禁煙治療施設の拡充」、「タバコの箱の警告表示強化」の5因子にそれぞれ2から3段階の水準を設定して組み合わせた13パターンに対し1,103例から回答が得られた。警告強化を除き禁煙企図率への影響がみられ、単一では値上げが最も有効で、罰金導入との組み合わせで値上げ幅を少なくすると企図率の向上に役立つことが定量的に明らかにされた。
結論
集団健診などでIPAG質問票を導入することで要肺機能検査例でもあるHR例のスクリーニングが可能となり、同時に質問票への回答や禁煙諸施策への反応を参照することによって、COPDの予防と早期発見への介入効果が高まると思われた。
公開日・更新日
公開日
2011-06-15
更新日
-