中核都市型医療圏における急性心筋梗塞診療救急体制の実態調査:宮城心筋梗塞対策協議会ネットワークの活用

文献情報

文献番号
201021066A
報告書区分
総括
研究課題名
中核都市型医療圏における急性心筋梗塞診療救急体制の実態調査:宮城心筋梗塞対策協議会ネットワークの活用
課題番号
H22-心筋・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
安田 聡(東北大学大学院医学系研究科 循環器病態学)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 健太(東北大学大学院医学系研究科循環器先端医療開発学)
  • 高橋 潤(東北大学大学院医学系研究科循環器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
18,370,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
宮城心筋梗塞対策協議会は、主要循環器診療施設が参加し県下の急性心筋梗塞症例のほぼ全例を前向きに登録している点、30年に及ぶ長期間の登録である点、を特徴とする臨床疫学研究である。本研究の目的は、中核都市部と農漁村部が混在するモデル地域において、既存のデータベース・を活用して、急性心筋梗塞症の診療・救急体制に関する実態調査を行い、その問題点を明らかにすることにある。
研究方法
前向き登録レジストリ研究.
評価項目:性別、年齢、身長、体重、腹囲、発症年月日・時刻、救急車利用の有無、来院年月日・時刻、時間経過、退院年月日、部位(前壁;下壁・後壁;その他)、最大CPK値、入院時心肺停止、入院時心不全、梗塞前狭心症、危険因子、梗塞タイプ、再梗塞の有無、再灌流療法、入院中の薬物療法、転帰、死亡の原因
結果と考察
急性心筋梗塞症の粗発症率は1979年当時郡部7.3人/100,000人/年に対して都市部12.9人/100,000人/年と都市部でより高頻度であった。一方で1979年当時院内死亡率は都市部12.1%に対して郡部では32.8%と後者で約3倍近く高率であった。この30年間では特に増加しており。この30年間で粗発症率は上昇し、2008年データでは郡部42.1人/100,000人/年が都市部36.2人/100,000人/年を明らかに上回っていた。院内死亡率に関しては郡部8.5% に対して都市部9.2%とむしろ低率であった。しかしながら女性の死亡率は男性の約2倍(女性13.3 vs. 男性7.2%)という結果であった。1998年から2008年までの最近10年間の救急者利用率、primary PCI施行率ともに、郡部(市外)が都市部(市内)を上回っており、近年の院外死亡率の改善に寄与している可能性が示唆された。
結論
宮城県においてもprimaryPCIによる再灌流療法が院内予後の改善に重要な役割を果たしていることが明らかになった。死亡率の更なる改善には、発症から再灌流までの時間を短縮させることが必要である。特に男性の約2倍の死亡率を呈する女性こそPCIの恩恵をうけるべき患者群であるといえる。早期の再灌流療法というゴールに対して、患者自身の遅れ・搬送の遅れが社会的制限因子であると考えられる。受診への啓蒙活動や受診しやすい胸痛外来などの設置、救急搬送システムの更なる整備が求められる。

公開日・更新日

公開日
2011-07-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201021066Z