包括的脳卒中センターの整備に向けた脳卒中の救急医療に関する研究

文献情報

文献番号
201021063A
報告書区分
総括
研究課題名
包括的脳卒中センターの整備に向けた脳卒中の救急医療に関する研究
課題番号
H22-心筋・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
飯原 弘二(独立行政法人国立循環器病研究センター 脳神経外科)
研究分担者(所属機関)
  • 中川原 譲二(中村記念病院 脳神経外科)
  • 小笠原 邦昭(岩手医科大学医学部 脳神経外科)
  • 塩川 芳昭(杏林大学医学部 脳神経外科)
  • 有賀 徹(昭和大学医学部 救急医学講座)
  • 小野 純一(千葉県循環器病センター 脳神経外科)
  • 宮地 茂(名古屋大学大学院医学系研究科 脳病態制御学講座 脳血管内治療学)
  • 永田 泉(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 展開医療科学講座 神経病態制御外科学)
  • 松田 晋哉(産業医科大学医学部 公衆衛生学)
  • 豊田 一則(独立行政法人国立循環器病研究センター 脳血管内科)
  • 嘉田 晃子(独立行政法人国立循環器病研究センター 研究開発基盤センター 先進医療・治験推進部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
超高齢社会を迎え、地域医療が崩壊しつつある本邦にあって、緊急性の高い脳卒中治療については、医療機関の集約化、広域化と医療機関同士の連携強化は避けて通れない。今回の研究は、全国の医療圏を対象に、地理情報システム(GIS: Geographic Information System)とDPCデータとを統合し、脳卒中の救急医療の実態を体系的に調査、俯瞰し、今後の地域の特性に応じた包括的脳卒中医療体制を策定することを目的とする。
研究方法
本邦における脳卒中救急医療体制の問題点の抽出のため、分担研究者から地理的条件の異なる7つのモデル地域における現状と問題点につき報告をうけた。脳卒中診療施設1341施設を対象に、地域の拠点となる包括的脳卒中センターに必要な、専門医の人的資源、医療資源の整備、高度な外科治療の実施件数などをアンケートにて調査した。また、日本脳神経外科学会専門医、日本神経学会専門医を対象として、「脳卒中診療医の勤務状況と疲労度調査」のアンケートを策定した。
結果と考察
各医療圏における脳卒中の救急医療体制の問題点が明らかとなり、都心部と地方における救急搬送の異なる問題点、勤務医の立ち去りにおける医療連携、後方連携の問題が明らかとなった。国立循環器病研究センターに搬送された脳卒中疑い症例の救急搬送情報とDPC情報の様式1との情報の突合では、匿名化した条件でも、85%−90%程度で救急搬送情報と医療機関情報が突合可能であることがわかった。総務省消防庁にあがる各消防本部の搬送情報を使用する上での問題点が明らかとなったが、現在、DPC情報を用いる医療施設調査の手法を脳卒中領域へ応用すべく準備を進めている。「脳卒中の診療施設のアンケート調査」は現在750施設を越える施設から回答をいただいており、「脳卒中診療医の勤務状況と疲労度調査」は平成23年度早々に発送予定である。勤務状況と疲労度を解析することによって、勤務医の燃え尽き、立ち去り型退職を如何に予防できるかについて、貴重な提言ができるものと考えられる。
結論
包括的脳卒中センターの適正な配置を提言するには、現時点での医療機関の人的資源、インフラの整備をもとに、周辺人口、地理的要因や専門医の連携を視野に入れた、全国レベルの脳卒中の救急搬送調査が必須である。次年度以降も脳卒中の救急搬送調査をさらに進めていく予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-07-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201021063Z