急性心筋梗塞、脳卒中の急性期医療におけるデータベースを用いた医療提供の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
201021061A
報告書区分
総括
研究課題名
急性心筋梗塞、脳卒中の急性期医療におけるデータベースを用いた医療提供の在り方に関する研究
課題番号
H20-心筋・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小林 祥泰(島根大学 医学部附属病院 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 峰松一夫(独立行政法人国立循環器病研究センター)
  • 鈴木明文(秋田脳血管研究センター)
  • 棚橋紀夫(埼玉医科大学国際医療センター)
  • 中川原譲二(中村記念病院・脳卒中センター)
  • 橋本洋一郎(熊本市立市民病院)
  • 山口修平(島根大学医学部)
  • 横山広行(独立行政法人国立循環器病研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
13,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳梗塞にもt-PAが認可され、超急性期医療が重要となったが、初期治療効果を上げて医療費を削減するためには心・脳血管疾患拠点病院化が必要である。本研究は拠点病院設置の条件となる医療計画策定に役立つ総合的な心・脳卒中データベースを作成するものである。すでに脳卒中データバンクは全国に普及しているが、これを救急隊の病院前救護から退院後の地域連携パスまで連携できるものに機能拡張する。さらに心・脳血管疾患データを継続的に蓄積可能とするために電子カルテ等からの自動取り込みを実用化する。
研究方法
1)脳卒中データベースに追加したt-PA治療関連項目を活用してt-PA不使用群の問題点を検討する。2)脳卒中データベースと連携可能な救急隊の病院前救護データベースを作成し、実際に複数の地域で運用試行を行い検証する。3)回復期リハ、地域連携パス等との連携データベースを開発し熊本で運用試行を行う。4)心疾患も含めて電子カルテからの自動取り込み汎用ソフトを開発する。5)DPCデータの取り込みの基礎実験を行う。
結果と考察
1)t-PA投与出来なかった2990例中52%が3時間超で禁忌は28%であった。2)病院前脳卒中救護スケール(IPAS)データベースを開発し、出雲消防署と島根大学病院、倉敷消防署と川崎医大病院および大阪消防本部等と国立循環器病センターで数百例規模の運用試行を行い、搬送時間の有意な短縮、救急隊の脳梗塞正診率の有意な向上が確認された。3)回復期リハ、地域連携パス等との連携データベースを開発し、K-STREAM研究を立ち上げている熊本で運用試行を行い、2600例を登録し有用性を確認した。4)心筋梗塞のDPCデータからの自動取り込みソフトを開発し診断精度の妥当性を確認した。電子カルテからの取り込みは複数メーカーで作成し実用化した。5)脳卒中データベースへのDPCの取り込みも可能であることを実際のデータで確認した。
結論
急性期症例の省力化された登録だけでなく、病院前救護における救急隊との情報共有、さらに退院後の地域連携パスまで含めた後方医療・介護機関との情報共有を可能とするシステムを構築した点で画期的である。
このシステムは拠点病院のレベルアップに貢献するだけでなく、患者、救急隊、そして後方医療機関に的確な情報提供を行うことにより、早期受診による治療効果改善とリハビリ効果改善に貢献するものである。

公開日・更新日

公開日
2011-07-21
更新日
-

文献情報

文献番号
201021061B
報告書区分
総合
研究課題名
急性心筋梗塞、脳卒中の急性期医療におけるデータベースを用いた医療提供の在り方に関する研究
課題番号
H20-心筋・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小林 祥泰(島根大学 医学部附属病院 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 峰松一夫(独立行政法人国立循環器病研究センター)
  • 鈴木明文(地方独立行政法人秋田県立病院機構秋田県立脳血管研究センター)
  • 棚橋紀夫(埼玉医科大学国際医療センター)
  • 中川原譲二(中村記念病院・脳卒中センター)
  • 橋本洋一郎(熊本市立市民病院)
  • 山口修平(島根大学医学部)
  • 横山広行(独立行政法人国立循環器病研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳梗塞にt-PAが認可され超急性期対応が重要となった。初期治療効果を上げて医療費を削減するために有効な心・脳血管疾患拠点病院化計画策定に役立つ総合的な心・脳卒中データベース(DB)を作成するものである。全国に普及している脳卒中データバンクを病院前救護から地域連携パスまで連携可能なものに機能拡張し、データを継続的に蓄積可能とするために電子カルテ等からの自動取り込みを実用化する。
研究方法
1)脳梗塞でt-PA非投与群の問題点を検討する。2)脳卒中DBと連携可能な救急隊の病院前救護DBを作成し、実際に複数の地域で運用試行を行う。3)地域連携パス等との連携DBを開発し熊本で運用試行を行う。4)心疾患も含めて電子カルテからの自動取り込み汎用ソフトを開発する。5)DPCデータの取り込みの基礎実験を行う。
結果と考察
1)脳卒中データバンク登録総数は50000例から78000例と大幅に増加した。脳卒中DBにt-PA治療関連項目を追加し、2年間でt-PA投与1200例とt-PA不使用2990例の解析を行った。t-PA投与出来なかった最大の理由は発症―搬送時間で搬送時間短縮が課題である。2)病院前脳卒中救護スケール(IPAS)DBを開発し、出雲消防署と島大病院で検証を行い脳梗塞超急性期搬送倍増と高い正診率(63%)を認めた。倉敷消防署と川崎医大での検証で正診率の有意な向上を確認、大阪消防本部等と国立循環器病センターで救急隊教育の有用性を確認した。また秋田と島根県ではMCに採用された。3)回復期リハ、地域連携パス等との連携DBを開発し、熊本のK-STREAM研究で2600例を登録し有用性を確認した。4)心筋梗塞のDPCデータからの自動取り込みソフトを開発し多施設での診断精度の妥当性を確認した。電子カルテからの取り込みは3大メーカーで実用化し、入力省力化が実現した。5)脳卒中DBへの治療の詳細データ取り込み、医療経済解析に必要なDPCデータ取り込みも可能であることを確認した。
結論
実践的な内容と省力化された登録によるDB普及効果、病院前救護における救急隊との情報共有、さらに地域連携パスまで含めた後方医療・介護機関との情報共有を可能とするシステムを構築した点で画期的である。
このシステムは拠点病院のレベルアップに貢献するだけでなく、医療経済効果を通じて限られた医療資源の効率的利用に貢献するものである。

公開日・更新日

公開日
2011-07-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201021061C

収支報告書

文献番号
201021061Z