個人特性に応じた効果的な行動変容を促す手法に関する研究

文献情報

文献番号
201021057A
報告書区分
総括
研究課題名
個人特性に応じた効果的な行動変容を促す手法に関する研究
課題番号
H21-糖尿病等・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
永井 良三(東京大学大学院医学系研究科 循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科 生物統計学)
  • 丸山 千寿子(日本女子大学 家政学部 食物学科 )
  • 大橋 健(独立行政法人国立がん研究センター 総合内科)
  • 古井 祐司(東京大学大学院医学系研究科 企画情報運営部)
  • 満武 巨裕(財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会医療経済研究機構 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では個人の特性に応じた効果的な行動変容を促す手法を開発し、予防施策の立案および予防介入技術の向上に資することを目的とした。
研究方法
1研究基盤の整備
(1)16の医療保険者から構成される研究フィールドを構築した。
(2)IT、冊子、専門職など種々の媒体を用いて行動変容を促す内容・方法を標準化し、効果検証の円滑化を図った。
2行動変容モデルプログラムの構築
(1)データ取得の簡便性、継続性を考慮し、冠動脈疾患のリスクが既知であるBMI、腹囲、血液検
査値、喫煙、服薬状況に基づき個人特性の把握を行い、「健康分布」により可視化した。
なお、非肥満のリスク者を捉える視点で内臓脂肪の採用を検討する。食事、運動、ストレス、意識は介入後の効果分析に採用し、行動変容やリスク改善に与える可能性を検証した。
(2)心筋梗塞など重症疾患の発症者は保有リスク2個までで80%を占めたことから、「健康分布」でのセグメント分けは肥満・非肥満と冠動脈疾患リスクの大きさの2軸とした。
(3)介入プログラムは健診受診者を対象とし、①動機づけプログラム、②継続支援プログラム、
③重症化防止プログラムを作成した。
3行動変容モデルプログラムの実施
(1)保険者及び被保険者に趣旨の提示・同意を得る。
(2)①動機づけプログラム、②継続支援プログラム)、③重症化防止プログラム。
4評価及び課題解決の方向性の検討
(1)行動変容手法の有効性の検討
(2)課題の抽出及び解決策の検討。
結果と考察
1・2年度の結果では未治療群の低リスク層から重症疾患の3分の2が発症しており、未病段階から被保険者全体に介入する重要性が示された。また、冠動脈疾患リスクの改善効果は40代に限られており、動脈硬化が進行していない若年層から始めることが必要であり、高齢者に関しては特性に応じた保健事業の再構成が求められる。受診率が低い国保や職域保険の被扶養者の健診では、若年層で継続受診率をあげることが不可欠である。特定保健指導では、情報提供群からの悪化者が保健指導の改善者を打ち消している状況であり、自己改善を促し、悪化者を減らすことが、特定保健指導の効果を最大化することが示された。保険者・被保険者・医療機関の連携による重症化防止スキームでは医療機関との連携の重要性が示され、ドイツの疾病管理に関する調査から健診結果に基づく意識啓発および自己管理を定着させる保健事業の普及が重症化防止の効果を高める可能性が示唆された。
結論
個人特性を把握する手法を構築し、冠動脈疾患リスクに応じた行動変容プログラムの介入効果と課題を検証した。

公開日・更新日

公開日
2011-09-16
更新日
-

収支報告書

文献番号
201021057Z