地域における包括的糖尿病ケアシステムの構築とその医学的・経済学的評価に関する研究

文献情報

文献番号
201021056A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における包括的糖尿病ケアシステムの構築とその医学的・経済学的評価に関する研究
課題番号
H21-糖尿病等・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
福田 吉治(山口大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 守田 孝恵(山口大学大学院 医学系研究科)
  • 山崎 秀夫(山口大学大学院 医学系研究科)
  • 原田 唯成(山口大学 医学部 )
  • 檀原 三七子(山口大学大学院 医学系研究科)
  • 伊藤 悦子(山口県山口健康福祉センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域の多様な資源を連携させ有効活用した地域における包括的な糖尿病ケアの構築とその運営を行い、医学的・経済的評価が可能な地域糖尿病データベースによって短期評価を行う。
研究方法
(1)山口県内のモデル地域で糖尿病の包括的ケアシステムの構築を進めた。(2)全国全市町村(糖尿病関連保健事業担当保健師対象)に「糖尿病関連の地域連携に関する調査」を実施した。(3)健診・保健指導について、自治体でのベースの構築支援、全県でのデータベースの構築と分析を行った。(4)糖尿病外来通院中の患者を対象にグループインタビューを実施し、質的分析を行った。(5)県内保険者において使用している特定健診・保健指導関連資料をライブラリー化した。(6)健診受診率向上のためのポピュレーションアプローチを検討した。
結果と考察
(1)周南市において、行政、基幹病院、診療所、医師会等による協力関係を構築することができた。(2)糖尿病地域連携パスの取組みを把握していない市町村は89.7%であったが、地域連携パスの必要性は81.8%が感じていた。糖尿病患者が参加できる事業の実施は72.1%であったが、自主グループの育成は少なかった。(3)個別の自治体においてデータベース構築の支援を行った。全県国保のデータから、積極的支援も動機づけ支援の効果には大きな違いがなく、保健指導の純粋な効果は変化の半分程度であった。(4)患者が捉えた糖尿病地域連携システムの構築として、【病院・診療所の機能】【医療機関への不信感】【知識の提供】【食事療法のサポート】【教室の開催】【患者との交流】【患者が広げる地域の健康づくり】の7カテゴリーが抽出された。(5)12保険者より収集した資料をライブラリー化し、県内保険者に配布した。(6)健診の普及啓発のスタンプラリーカードとキャラクターを作成した。
結論
地域ケアの構築と推進にあたっては全体の調整役とキーパーソンとなる専門家の存在が重要であることが示唆された。また、地域全体で糖尿病対策を進めていく上での専門医との連携、治療・診断の標準化につながる地域連携パスの導入が必要と考えられた。また、保健所には、情報提供や基準の作成や地域組織・自主グループの育成支援が期待された。教材等のライブラリー化やポピュレーションアプローチにより、受診率向上、効果的な保健指導の実施が可能になると思われた。

公開日・更新日

公開日
2011-06-17
更新日
-

収支報告書

文献番号
201021056Z