歯科疾患予防のための日本人のフッ化物摂取基準とフッ化物応用プログラム

文献情報

文献番号
201021053A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科疾患予防のための日本人のフッ化物摂取基準とフッ化物応用プログラム
課題番号
H21-循環器等(歯)・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
荒川 浩久(神奈川歯科大学 歯学部・社会医歯学系 健康科学講座 口腔保健学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 眞木 吉信(東京歯科大学 社会歯科学研究室)
  • 西牟田 守(千葉県立保健医療大学 健康科学 栄養学)
  • 岡本 浩一(東洋英和女学院大学 人間科学部 人間科学科)
  • 小林 清吾(日本大学 社会口腔保健学講座)
  • 高橋 信博(東北大学大学院歯学研究科 口腔生物学講座 口腔生化学分野)
  • 古賀 寛(東京歯科大学 衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における口腔保健とQOLの向上のためにフッ化物応用を実践できるようにする。課題1は「フッ化物の食事摂取基準策定」、課題2は「フッ化物応用による齲蝕予防プログラムの策定」、課題3は「フッ化物応用の社会的普及・進展にかかわる保健政策におけるフッ化物応用のリスクコミュニケーションのあり方の検討」である。
研究方法
3課題について実験、調査、分析、文献調査から検討した。研究課題1では日本茶のフッ化物摂取よるう蝕のリスク低減、フッ化物応用の慢性、急性毒性を整理した。研究課題2ではコクラン・ライブラリーでのフッ化物応用のう蝕予防効果、乳幼児が利用できるフッ化物局所応用、ヒト歯肉上皮細胞とヒト由来の皮膚角化細胞株へのフッ化物曝露、フッ化物洗口後のプラーク中フッ化物の影響を検討し、フッ化物洗口集団応用の成果、フッ化物歯面塗布剤添付文書の内容を検証した。研究課題3ではフロリデーションの認知および小学校での集団フッ化物洗口実施後のフォローアップ調査、DVD「水道水フロリデーションに対する専門家の意見」の表現形式からの影響について検討した。
結果と考察
研究課題1では飲茶のう蝕予防効果が示され、現在のフッ化物応用の慢性および急性中毒の発現の可能性は認められない。研究課題2では現在においても各フッ化物応用のう蝕予防効果は認められ、低濃度フッ化物溶液磨きが1歳になる直前から利用できる。μMレベルNaFの長時間曝露では細胞増殖を促進するが、mMレベルNaFでは抑制する。添付文書の記載内容は現状と合わない点が多く見直しが必要である。低濃度フッ化物洗口によるプラーク細菌への影響などがう蝕予防効果を効率的に発揮している。保育園、幼稚園からフッ化物洗口を実施するとう蝕は明らかに減少する。研究課題3ではフロリデーション推進活動をとおし、住民のフロリデーションの認知度が向上し、多くの人がフロリデーションへの意欲を持っている。DVDはフロリデーション反対という科学的に脆弱な立場に聴視者を唱導するためのもので、不安・不信を増大せしめる。フッ化物洗口実施によって、歯磨き習慣などがおろそかになる、歯のフッ素症が生じるなどは認められない。
結論
現在のわが国におけるフッ化物応用の有効性、安全性は確保されているが、リスク指摘への対応や、見直しが必要なものも多く、研究の継続が必要である。

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201021053Z