虚血性心疾患の疾病管理プログラムとしての外来型心臓リハビリテーションの効果と普及方策に関する研究

文献情報

文献番号

201021044A

報告書区分

総括

研究課題名

虚血性心疾患の疾病管理プログラムとしての外来型心臓リハビリテーションの効果と普及方策に関する研究

課題番号

H22-循環器等（生習）・一般-007

研究年度

平成22(2010)年度

研究代表者(所属機関)

後藤　葉一(独立行政法人国立循環器病研究センター　心臓血管内科)

研究分担者(所属機関)

百村　伸一(自治医科大学附属さいたま医療センター総合医学第1)
野原　隆司((財)田附興風会医学研究所北野病院心臓センター)
代田　浩之(順天堂大学循環器内科)
増田　卓(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科)
上月　正博(東北大学医学系研究科機能医科学講座内部障害学分野)
牧田　茂(埼玉医科大学国際医療センター心臓リハビリテーション科)
上嶋　健治(京都大学大学院医学研究科EBM研究センター)
折口　秀樹(九州厚生年金病院内科)
安達　仁(群馬県立心臓血管センター循環器内科)
長山　雅俊((財)日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院循環器内科)
大宮　一人(聖マリアンナ医科大学循環器内科)
三河内　弘(独立行政法人国立病院機構岡山医療センター)
木村　穣(関西医科大学健康科学)
安　隆則(琉球大学大学院医学研究科循環器・腎臓・神経内科学)
鶴川　俊洋(独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター)

研究区分

厚生労働科学研究費補助金疾病・障害対策研究分野循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究

研究開始年度

平成22(2010)年度

研究終了予定年度

平成24(2012)年度

研究費

15,090,000円

研究者交替、所属機関変更

-

研究報告書（概要版）

研究目的

近年欧米では、再入院リスクの高い虚血性心疾患(CAD)・高齢慢性心不全(CHF)に対する疾病管理プログラムが注目されている。本研究は、CAD・CHF患者に対する多職種介入である外来型心臓リハビリテーション(リハ)の効果を多施設で検証するとともに、わが国において外来型心臓リハがCAD・CHF患者に対する疾病管理プログラムとして普及するための方策を明らかにすることを目的とする。

研究方法

初年度である平成22年度は、1)CADに対する外来型心臓リハの有効性に関する多施設前向き登録研究(J-REHAB)、2)冠動脈インターベンション(PCI)後外来心臓リハの効果に関する前向き無作為割り付け試験(J-REHAB PCI)、3)外来型心臓リハの効果に関する個別研究、を実施した。

結果と考察

1)外来型心臓リハの有効性に関する多施設前向き登録研究(J-REHAB)
　J-REHAB前向き症例登録を進めた結果、平成23年3月までに725例の症例が登録され、当初目標の800例に近接した。
2)PCI後外来心臓リハの効果に関する前向き無作為割り付け試験(J-REHAB PCI)
　J-REHAB PCIは、薬物溶出ステント留置後患者を外来心リハ実施群･非実施群に無作為割り付けし3年間にわたり追跡する。本年度は、試験プロトコールを確定し、倫理委員会承認を受けた後、症例組み込みを開始した。
3)外来型心臓リハの効果に関する個別研究
　(1)予後に関して低リスクと考えられる若年・再灌流成功・心機能良好の急性心筋梗塞(AMI)患者に対する退院後外来型心臓リハが、疾病管理プログラムとして有効であることを示した。(2)CAD患者に対する外来型心臓リハの運動耐容能およびQOL改善効果が1年後まで持続し、また認知機能低下を抑制することを明らかにした。(3)CHF患者に対する外来型心臓リハ継続が運動耐容能および血流依存性血管拡張反応を改善させ、1年半後までの心不全再入院率を低下させ、また在宅支援追加によりQOLが改善することを示した。(4)外来型心臓リハを組み込んだAMI地域連携パスを構築し、運用を開始した。

結論

本年度は、J-REHAB前向き症例登録を進め、J-REHAB PCI前向き無作為割り付け試験の症例組み込みを開始するとともに、外来心臓リハの有効性に関する個別研究を進めた。本研究は、外来型心臓リハという既存の多職種介入プログラムをCAD・CHF患者の退院後の疾病管理プログラムとして活用しその有効性を検証するという点で独創的であり、その成果の社会的インパクトは多大であると期待される。引き続き研究計画を推進する。