一過性脳虚血発作(TIA)の診断基準の再検討、ならびにわが国の医療環境に則した適切な診断・治療システムの確立に関する研究

文献情報

文献番号
201021037A
報告書区分
総括
研究課題名
一過性脳虚血発作(TIA)の診断基準の再検討、ならびにわが国の医療環境に則した適切な診断・治療システムの確立に関する研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-017
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
峰松 一夫(独立行政法人 国立循環器病研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 上原 敏志(独立行政法人 国立循環器病研究センター 脳血管内科)
  • 岡田 靖(国立病院機構九州医療センター 臨床研究センター)
  • 木村 和美(川崎医科大学 脳卒中医学)
  • 中川原 譲二(中村記念病院 脳神経外科)
  • 飯原 弘二(独立行政法人国立循環器病研究センター 脳神経外科)
  • 内山 真一郎(東京女子医科大学 神経内科学)
  • 小笠原 邦昭(岩手医科大学 脳神経外科)
  • 鈴木 明文(秋田県立脳血管研究センター 脳神経外科学研究部・脳卒中診療部)
  • 棚橋 紀夫(埼玉医科大学国際医療センター 神経内科)
  • 高木 繁治(東海大学医学部 神経内科)
  • 有井 一正(東京都保健医療公社荏原病院 総合脳卒中センター)
  • 永廣 信治(徳島大学 脳神経外科学)
  • 長谷川 康博(名古屋第二赤十字病院 神経内科)
  • 松本 昌泰(広島大学大学院病態探究医科学講座 脳神経内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
21,730,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
一過性脳虚血発作(TIA)の診断基準の再検討ならびにわが国の医療環境に則した適切な診断・治療システムの確立を目的とする。
研究方法
脳卒中専門施設に入院したTIA例の受診経路、臨床的特徴、診断・治療の内容、入院中の脳心血管イベント発症率およびその予測因子を明らかにすることを目的とした「多施設共同後ろ向き研究」を行った。対象は、2008年1月~2009年12月の2年間に、研究分担者所属施設に入院した発症後7日以内のTIA例とした。
また、TIA診療における開業医と脳卒中専門施設間の医療連携の現状、および開業医のTIAに関する認識を把握する目的で、大阪北摂地区の「一般開業医を対象としたTIAに関する意識・実態調査」を行った。
結果と考察
「多施設共同後ろ向き研究」では、脳卒中専門施設に入院した発症7日以内のTIA患者464例のうち99%にMRI検査が施行されており、発症から拡散強調画像 (DWI) 撮像までの時間が長い程DWI陽性率が有意に高いことが示された。入院中の脳梗塞発症+TIA再発は35例 (7.8%) に見られ、そのうちの6割はTIA発症後2日以内のイベントであった。そして、DWI陽性は脳梗塞発症+TIA再発に関する有意な予測因子であった。今回の後ろ向き研究の結果から、DWI検査は、TIA例における脳卒中発症リスクを評価する重要な手段であるが、その撮像時期を十分に考慮することが必要であると考えられた。
また、TIA例では最初に一般開業医を受診する場合も少なくないため、TIA診療における一般開業医と脳卒中専門施設との間の連携は極めて重要であるが、「一般開業医を対象としたTIAに関する意識・実態調査」により、TIA救急診療における一般開業医から脳卒中専門施設へのアクセスの難しさが明らかとなり、気軽に相談できるシステム構築の必要性が示された。
結論
今回の多施設共同後ろ向き研究により、わが国の脳卒中専門施設に入院したTIA例の入院中の脳心血管イベント発症率およびその予測因子や画像所見の特徴などが明らかとなった。また、一般開業医を対象とした実態調査により、開業医のTIAに対する認識や、開業医の立場からみた脳卒中専門施設との医療連携の問題点を把握することができた。

公開日・更新日

公開日
2011-09-08
更新日
-

収支報告書

文献番号
201021037Z