保健指導を中心とした地域における脳卒中及び心筋梗塞の再発予防システムとエビデンス構築に関する研究

文献情報

文献番号
201021034A
報告書区分
総括
研究課題名
保健指導を中心とした地域における脳卒中及び心筋梗塞の再発予防システムとエビデンス構築に関する研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-014
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
大森 豊緑(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科 医学教育・社会医学講座 医療健康政策科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 長束 一行(国立循環器病研究センター 脳神経内科)
  • 横田 千晶(国立循環器病研究センター 脳血管内科)
  • 坂本 知三郎(関西リハビリテーション病院)
  • 木村 穣(関西医科大学 健康科学センター)
  • 山田 和子(和歌山県立医科大学 保健看護学部)
  • 松本 昌泰(広島大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 森山 美知子(広島大学 大学院保健学研究科)
  • 百田 武司(日本赤十字広島看護大学)
  • 川越 雅弘(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障企画部)
  • 船橋 徹(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 牧本 清子(大阪大学 大学院医学系研究科 保健学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
心筋梗塞・脳卒中は、死亡率・再発率が高く重篤な後遺症を残すため、保健指導による生活習慣やリスク要因の管理が非常に重要である。本研究は脳卒中・心筋梗塞の再発・重症化予防のための効果的な保健指導の手法を開発するとともに、地域レベルでの保健指導システムの構築を目的とする。
研究方法
保健指導の有効性を検証するため、脳卒中・心筋梗塞を発症した急性期病院入院患者を保健指導実施群と対照群に無作為に分けて介入研究を実施した。また急性期病院を退院した脳卒中患者2,000名を対象に実施した質問紙調査結果を臨床データ等と結合し、予後の関連要因を後方視的に検証した。また在宅療養中の脳卒中・心筋梗塞患者に対する訪問看護ステーションの保健指導の状況を調査した。全国9施設の人間ドック健診受診者12,000名を対象に内蔵脂肪量とリスクとの関連を検討するとともに、再発予防のためのエビデンス情報の収集を行った。
結果と考察
脳卒中急性期病院を退院した脳卒中患者で同意を得た86名について介入群と対照群に分け、行動変容、危険因子、QOL等の変化を比較した結果、介入群では1ヶ月後・3ヶ月後で全ての指標が改善し、特に体重、収縮期血圧、喫煙の行動目標達成では有意であった。心筋梗塞後患者に対する介入1ヶ月後で、在宅センサー管理群で有意に体重、収縮期血圧の低下傾向が認められた。訪問看護ステーションの調査結果では、介護度が重度になるほど患者自身の意欲が低下する一方、家族のニーズが高まり、訪問回数や指導内容が増える傾向がみられた。内蔵脂肪量と動脈硬化性疾患危険因子との関連を検討した結果、男女とも年齢に関わらず内臓脂肪面積が大きいほど危険因子の保有数が直線的に増加した。 脳卒中・心筋梗塞の再発予防等に関連する国内外の文献をCochrane, CINAHL等で検索・収集した。
結論
脳卒中・心筋梗塞患者に対する保健指導や生体センサー管理により、行動変容や血圧、体重等に改善が認められたことから、今後対象者数を増やし、指導効果の検証を進める。脳卒中患者の後方視的調査では、病型や危険因子保有状況により再発率が異なっていたが、保健指導との関連は明らかでなく、様々なバイアスの影響が考えられる。訪問看護ステーションの調査結果から、介護度の高い者ほど保健指導の内容や指導時間が増す傾向が明らかになった。内臓脂肪面積が大きい者ほど動脈硬化性疾患危険因子保有数が多いことが明らかになった。脳卒中・心筋梗塞の再発予防介入研究は国際的にも少なく、エビデンスレベルの高い報告は限られていた。

公開日・更新日

公開日
2011-09-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201021034Z