口腔機能に応じた保健指導と肥満抑制やメタボリックシンドローム改善との関係についての研究

文献情報

文献番号
201021032A
報告書区分
総括
研究課題名
口腔機能に応じた保健指導と肥満抑制やメタボリックシンドローム改善との関係についての研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-012
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
安藤 雄一(国立保健医療科学院 口腔保健部)
研究分担者(所属機関)
  • 花田 信弘(鶴見大学歯学部 探索歯学講座)
  • 葭原 明弘(新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔健康科学講座予防歯科学分野)
  • 柳澤 繁孝(大分岡病院)
  • 三浦 宏子(国立保健医療科学院 口腔保健部)
  • 森田 学(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、一般集団に対して早食いと咀嚼機能低下の両面をカバーする保健指導を確立することを目的とし、そのための介入研究を行った。また、このために必要な基礎的研究や疫学調査も併せて行い、咀嚼回数と咀嚼機能と肥満・メタボリックシンドロームとの関連等について様々な分析を行った。
研究方法
 介入研究では、一般集団に対する咀嚼法の有用性を検討するために、2種類の介入研究を行った。介入研究①:特定健診・特定保健指導の場において早食い是正に関する行動目標を選んだ人とそうでない人を比較する研究に本年度着手し、そのプロセス評価を行った。介入研究②:全員に咀嚼の重要性を指導している自治体において、ゆっくりよく噛むという習慣の励行状況による体重減少効果を検討した。
 観察研究では、千葉県・大分県の特定健診受診者の大規模データによる早食いと特定健診の主要指標との関連の分析、咀嚼回数に関する疫学調査、高齢者の栄養摂取状態と咀嚼に関する諸指標との関連についての分析を行った。また、咀嚼回数測定器を用いた基礎研究も行った。
結果と考察
 介入研究①では、対象となった4市町の特定保健指導受診者の約4分の1が早食い是正関連の行動目標を選び、受け入れは比較的高いことが示された。今後は、体重減少効果の検討を行う予定である。介入研究②では、咀嚼回数が比較的多い群で、3ヶ月間の体重減少量が大きいことが示された。
観察研究では、特定健診受診者の大規模データを用いた分析により、早食いと肥満・メタボリックシンドロームの関連の強さが幅広い年齢層で確認された。また、咀嚼回数と肥満およびメタボリックシンドロームとの関連、栄養摂取と現在歯数の関連に自身が調理をするか否かが影響していること等、多くの知見が認められた。これらの知見を咀嚼機能が低下した人達への効果的な介入方法の検討に活かす必要がある。
 以上得られた知見・成果を今年度新たに作成した研究班のウェブサイトや関係者による会合などを通じて広く周知を図っていきたい。
結論
 咀嚼回数と肥満およびメタボリックシンドロームとの関連、栄養摂取と現在歯数の関連に自身「ゆっくりよく噛む」という生活習慣は特定保健指導の受診者にとって受け入れやすい行動目標であり、肥満・メタボリックシンドロームの予防に有効であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2011-06-16
更新日
-

収支報告書

文献番号
201021032Z