文献情報
文献番号
202509004A
報告書区分
総括
研究課題名
月経随伴症状に関連した健康課題の公衆衛生学的分析とその解決に向けた包括的研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24FB1001
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
平池 修(和田 修)(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 大須賀 穣(帝京大学 臨床研究センター)
- 小川 真里子(福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター)
- 武田 卓(東北大学 医学部)
- 田中 佐智子(滋賀医科大学社会医学講座医療統計部門)
- 谷口 文紀(鳥取大学医学部 産科婦人科学分野)
- 寺内 公一(国立大学法人東京科学大学 大学院医歯学総合研究科)
- 前田 恵理(北海道大学 大学院医学研究院)
- 松崎 政代(大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻)
- 森崎 菜穂(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 社会医学研究部)
- 内野 繭代(森 繭代)(都立駒込病院 婦人科)
- 江川 美保(京都大学 大学院医学研究科 婦人科学産科学)
- 高橋 まゆみ(當山 まゆみ)(京都大学 大学院医学研究科健康情報学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 女性の健康の包括的支援政策研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では月経随伴症状の種類と程度を明らかにするため、月経困難症、PMS/PMDDに加え、過多月経、異常子宮出血などの月経量や質に関連する疾患も含めて既存のエビデンスを整理し、月経随伴症状が日常生活に与える影響や生活の質に及ぼす影響を評価し、学業、職場でのパフォーマンス、社交的な活動などへの影響を明らかにすること、健康行動やライフスタイルの変化が症状に与える影響を調査することを目的とした。また、上記に関しては文献レビューをおこなうことで網羅的かつ体系的に整理し、社会へ発信するための資料を作成することとした。今回の論文レビューで得られた月経随伴症状に関するエビデンスの社会的浸透を図るため、関連学会や医療従事者、関連者を対象としこれら得られたエビデンスの認知度調査をおこなうこととした。
研究方法
月経随伴症状(月経困難症、PMS、異常子宮出血)がabsenteeism/presenteeism、QOL、経済損失に対し及ぼす影響についての英文・和文レビュー論文を作成し、2026年5月現在投稿中(BMC Womens Health誌)である。上記の内容を班員全員によるexpert reviewによりまとめ、「月経随伴症と上手に付き合う」と題したガイドブックを作成した。エビデンスを簡易にまとめ、一般の人々にも見やすい形にし、職場での配布も可能なように作成された。PDF形式にして、ヘルスケアラボ(https://w-health.jp)でもみられるようにした。
PMSと代表的かつ介入しやすい生活習慣病として高血圧、2型糖尿病、脂質異常症を取り上げ、これらとの関連解析をおこなった。PMS群とコントロール群を1対10でマッチングさせた後方視的ペアコホート研究の立て付けで、主要アウトカムとしてこれら生活習慣病の病名がついた頻度、複合アウトカム(いずれかの病名がついた場合)を調べ、データの健常性を確認するため健診データ異常や処方薬発行を用いた感度分析を併用した
月経随伴症状に関する知見のうち一般の方々にも知ってもらいたい7問を抽出し、認知度調査をおこなった。
PMSと代表的かつ介入しやすい生活習慣病として高血圧、2型糖尿病、脂質異常症を取り上げ、これらとの関連解析をおこなった。PMS群とコントロール群を1対10でマッチングさせた後方視的ペアコホート研究の立て付けで、主要アウトカムとしてこれら生活習慣病の病名がついた頻度、複合アウトカム(いずれかの病名がついた場合)を調べ、データの健常性を確認するため健診データ異常や処方薬発行を用いた感度分析を併用した
月経随伴症状に関する知見のうち一般の方々にも知ってもらいたい7問を抽出し、認知度調査をおこなった。
結果と考察
疾患を問わず、月経関連障害は一貫して、健康関連QOLの低下、心理的苦痛、および学業・職業機能の障害と関連していた。生産性の低下はあらゆる疾患で見られ、その主な要因は欠勤(absenteeism)ではなく、出社しながらも本来の能力を発揮できない状態(presenteeism)によるものであった。月経困難症およびPMS/PMDDは欠勤とpresenteeismの両方と関連していたのに対し、過多月経/異常子宮出血は、貧血関連の症状によってもたらされがちな業務遂行障害と強く関連していた。不安、抑うつ症状、感情調節障害、睡眠障害を含む心理的苦痛は、年齢層や地域を問わず、QOLの低下に対する主要な要因として浮上した。生活習慣要因は、症状の重症度や機能への影響を修飾する要因であるようであった。治療や受診によって症状が改善することは多かったものの、生産性の向上には一貫性がなかった。本レビューは、身体症状からメンタルヘルスおよび機能的転帰に至るまで、月経関連疾患がもたらす多面的な負担を浮き彫りにしている。presenteeismが優勢であることは、欠勤に基づく従来の指標では、真の社会的影響が過小評価されていることを示唆している。症状の改善と機能的回復との間に認められた乖離は、臨床的および心理社会的経路の両方に対処できる統合的なアプローチの必要性を強調している。
PMS群は高血圧、糖尿病、脂質異常症のリスクが有意に高く、複合アウトカムでは、ハザード比(HR)は1.49であり、生活習慣関連病が増える可能性が示唆された。健診値の異常を考慮に入れた感度分析では、高血圧との関連性が最終的に残ったことから、若年層からの介入の必要性が示唆された。
全体的に「知っている」と回答した割合は概ね60%程度であったが、月経困難症による経済損失(37.8%)、月経量と生活の質(44.7%)に関する知識に対しては「知っている」回答の割合が50%を下回っていた。回答者の背景と、「知っている」回答の関連をみた多変量解析では、男性であること、義務教育・高等学校の勤務者、各種医療関係資格を有していないことで有意な負の相関関係が見られた。月経随伴症状のある人が病院受診をしない理由の推定では「費用負担があるから」「忙しく病院へ行く時間がないから」が挙げられ、先行研究で未受診理由として患者から挙げられている理由とはギャップが見られた。
PMS群は高血圧、糖尿病、脂質異常症のリスクが有意に高く、複合アウトカムでは、ハザード比(HR)は1.49であり、生活習慣関連病が増える可能性が示唆された。健診値の異常を考慮に入れた感度分析では、高血圧との関連性が最終的に残ったことから、若年層からの介入の必要性が示唆された。
全体的に「知っている」と回答した割合は概ね60%程度であったが、月経困難症による経済損失(37.8%)、月経量と生活の質(44.7%)に関する知識に対しては「知っている」回答の割合が50%を下回っていた。回答者の背景と、「知っている」回答の関連をみた多変量解析では、男性であること、義務教育・高等学校の勤務者、各種医療関係資格を有していないことで有意な負の相関関係が見られた。月経随伴症状のある人が病院受診をしない理由の推定では「費用負担があるから」「忙しく病院へ行く時間がないから」が挙げられ、先行研究で未受診理由として患者から挙げられている理由とはギャップが見られた。
結論
本研究は、月経関連症状の早期把握と適切な受療支援を通じて、女性の生活の質、就労継続、社会参加を支える実践的基盤を示した点に意義がある。今後得られた成果を政策、職域支援、デジタルヘルス、臨床実装へと橋渡しする必要がある。
公開日・更新日
公開日
2026-09-11
更新日
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