温泉利用が健康増進に与える効果および安全性に関する研究

文献情報

文献番号
201021023A
報告書区分
総括
研究課題名
温泉利用が健康増進に与える効果および安全性に関する研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 佳典(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 龍太郎(東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所))
  • 新開 省二(東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所))
  • 荒木 厚(東京都健康長寿医療センター病院)
  • 西川 武志(北海道教育大学教育学部札幌校)
  • 吉田 裕人(東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所))
  • 金 憲経(東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所))
  • 齋藤 京子(東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所))
  • 内田 勇人(兵庫県立大学環境人間学部)
  • 渡辺 修一郎(桜美林大学老年学研究科)
  • 鈴木 克彦(早稲田大学スポーツ科学学術院)
  • 田中 千晶(桜美林大学老年学研究科)
  • 小林 和成(群馬パース大学)
  • 山田 敦弘((株)日本総合研究所)
  • 深谷 太郎(東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
温泉利用型健康増進施設を活用した健康づくりの可能性について、複合的な健康増進プログラムの開発とその評価をおこなう。その際に、(1)同プログラムが、負担なく継続しやすいか、(2)どうすれば入浴中や入浴施設内における運動中の事故の予防にむけた安全性の確保できるか、(3)温泉利用の実態・ニーズの把握と啓発にむけた要件の整理の3つの側面から検討する。
研究方法
介入プログラムとしては、埼玉県入間郡近郊在住の中高年者を対象に生活習慣病予防型(スリムアップ教室:以後S教室)と、介護予防型(元気アップ教室:以後G教室)の2群に割付けた。更に、各教室参加者を無作為に「運動・栄養指導+温泉入浴群」「運動・栄養指導群」「温泉入浴群」「対照群」に割付けた。運動・栄養指導は週2回3ヶ月間の複合プログラム [運動教室(16回)、栄養教室(5回)]、温泉入浴は週2回課した。
 それ以外に、3軸加速度計の携行、自主グループ化の働きかけ、運動や温泉入浴前後の血圧測定をお願いした。
結果と考察
G教室、S教室とも、運動+栄養介入群に運動機能の有意な改善が認められた。S教室の体重、BMI、体脂肪率に関しては運動・栄養指導+入浴群に特異的な改善が認められた。減量に対しては運動、栄養と温泉入浴の相乗作用が有効と推察される。他方、温泉入浴のみでは心身機能に有意な改善効果は認めなかった。また、G教室においては下肢の運動機能を中心に改善が見られた。
運動や入浴前後の血圧変動をみたところ、1)運動教室による短期的な血圧上昇の危険性はない 2)運動後の入浴による血圧変動は、入浴単独の場合より小さく、入浴後の起立性調節障害の予防の面では、入浴前の運動はむしろ有利に作用する3)運動教室の継続により、運動教室による短期的な血圧上昇がみられなくなった4)入浴習慣のみ継続群では、入浴による血圧低下の度合がむしろ大きくなった5)運動教室継続群では、運動後の入浴による血圧低下の度合がさらに小さくなった。
結論
介入プログラムの結果、運動+栄養介入群に運動機能の有意な改善が認められ、日常の身体活動量も上昇したが、温泉入浴のみの介入では健康増進効果は強く期待できないことが示唆された。
また、血圧に関しても、入浴単独の継続では入浴後の血圧低下を防げないが、運動および栄養療法を併用し継続した場合には血圧低下を防げる可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2011-06-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201021023Z