動脈硬化性疾患の危険因子の性差と予防に関するコホート研究

文献情報

文献番号
201021021A
報告書区分
総括
研究課題名
動脈硬化性疾患の危険因子の性差と予防に関するコホート研究
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-025
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
内藤 博昭(独立行政法人国立循環器病研究センター 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 友池 仁暢(独立行政法人国立循環器病研究センター.・ 榊原記念病院)
  • 後藤 葉一(独立行政法人国立循環器病研究センター 冠・血管部)
  • 宮本 恵宏(独立行政法人国立循環器病研究センター 臨床研究開発部・動脈硬化糖尿病内科)
  • 筒井 裕之(北海道大学大学院医学研究科 循環病態内科学)
  • 久保田 功(山形大学医学部 器官病態統御学講座 循環・呼吸・腎臓内科学)
  • 吉村 道博(東京慈恵会医科大学 循環器内科学)
  • 鄭 忠和(鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学)
  • 池田 智明(独立行政法人国立循環器病研究センター 周産期・婦人科)
  • 岡村 智教(独立行政法人国立循環器病研究センター 予防健診部 ・ 慶応義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学)
  • 河野 雄平(独立行政法人国立循環器病研究センター 生活習慣病部門)
  • 野口 輝夫(独立行政法人国立循環器病研究センター 心臓内科部門)
  • 斯波 真理子(独立行政法人国立循環器病研究センター 研究所 創薬基盤研究)
  • 東 将浩(独立行政法人国立循環器病研究センター 放射線部)
  • 嘉田 晃子(独立行政法人国立循環器病研究センター 研究開発基盤センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
13,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、冠動脈CT検査による冠動脈内腔狭窄・動脈壁性状指標(プラークの有無とサイズ、石灰化、含有脂質量等)を、男性を参照として女性の冠動脈内腔狭窄・動脈壁性状指標(プラークの有無とサイズ、石灰化、含有脂質量等)の関連因子を明らかにすることを主要目的としている。さらにそのコホートを追跡することにより冠動脈狭窄・冠動脈石灰化を有する女性の予後を明らかにする。
研究方法
冠動脈CT検査より冠動脈狭窄、冠動脈壁性状指標、石灰化スコア算出をする。臨床情報の他、血清エストロゲン、テストステロン、hsCRPを測定し、喫煙、飲酒、食生活、身体活動量、勤務形態、既往歴、家族歴、炎症関連病変の有無、妊娠・出産の有無・閉経の時期などアンケートにより調査する。6年後までイベントの追跡する。
結果と考察
本年度は冠動脈CTA画像からの冠動脈プラークの有無、石灰化、含有脂質量等の各指標の定量法を開発した。冠動脈の平均壁厚は、外部体積と冠動脈の長さから冠動脈を円柱と仮定して算出した平均血管外径と、同じく内腔容積と冠動脈の長さから算出した平均血管内径より求めた。33名で算出した右冠動脈、左主幹から前下行枝、左回旋枝の冠動脈壁厚の平均値はいずれも1mm強で、病理検査の従来の報告とほぼ一致していた。さらに、横断研究として、2008年12月から2010年11月 にCT検査を実施した1984名(女性627名)のデータを解析した。女性の冠動脈石灰化は50歳から狭窄の頻度は60歳代から年齢とともに高くなり、男性に近づくことがCTでも確認された。また、冠リスクの集積が石灰化や狭窄に寄与する割合は女性の方が男性より大きいことが明らかとなった。特に糖尿病や喫煙が強く影響し、その対策が必要であると考えられる。冠動脈の高度石灰化は男女ともに狭窄と強い関連を示しましたが、男女での関連の強さの違いは今後の検討課題とした。
結論
女性の冠動脈石灰化と狭窄の頻度は年齢とともに男性に近づいた。冠リスクの集積が石灰化や狭窄に寄与する割合は女性の方が男性より大きく、特に女性においては糖尿病や喫煙が強く影響し、女性の冠動脈疾患の予防としてその対策が必要であると考えられる。今後予後を追跡し冠動脈石灰化が心筋梗塞や脳卒中の予測因子となりえるかどうかを検証する。

公開日・更新日

公開日
2011-06-17
更新日
-

文献情報

文献番号
201021021B
報告書区分
総合
研究課題名
動脈硬化性疾患の危険因子の性差と予防に関するコホート研究
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-025
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
内藤 博昭(独立行政法人国立循環器病研究センター 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 友池 仁暢(独立行政法人国立循環器病研究センター ・ 榊原記念病院)
  • 後藤 葉一(独立行政法人国立循環器病研究センター 冠・血管部)
  • 宮本 恵宏(独立行政法人国立循環器病研究センター 臨床研究開発部・動脈硬化糖尿病内科)
  • 筒井 裕之(北海道大学大学院医学研究科 循環病態内科学)
  • 久保田 功(山形大学医学部 器官病態統御学講座 循環・呼吸・腎臓内科学)
  • 吉村 道博(東京慈恵会医科大学 循環器内科学)
  • 鄭 忠和(鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学)
  • 池田 智明(独立行政法人国立循環器病研究センター 周産期・婦人科)
  • 岡村 智教(独立行政法人国立循環器病研究センター ・ 慶応義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学)
  • 河野 雄平(独立行政法人国立循環器病研究センター 生活習慣病部門)
  • 野口 輝夫(独立行政法人国立循環器病研究センター 心臓内科部門 )
  • 斯波 真理子(独立行政法人国立循環器病研究センター 研究所 創薬基盤研究)
  • 東 将浩(独立行政法人国立循環器病研究センター  放射線部)
  • 嘉田 晃子(独立行政法人国立循環器病研究センター 研究開発基盤センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、冠動脈CT検査による冠動脈内腔狭窄・動脈壁性状指標(プラークの有無とサイズ、石灰化、含有脂質量等)を、男性を参照として女性の冠動脈内腔狭窄・動脈壁性状指標(プラークの有無とサイズ、石灰化、含有脂質量等)の関連因子を明らかにすることを主要目的としている。さらにそのコホートを追跡することにより冠動脈狭窄・冠動脈石灰化を有する女性の予後を明らかにする。
研究方法
冠動脈CT検査より冠動脈狭窄、冠動脈壁性状指標、石灰化スコア算出をする。臨床情報の他、血清エストロゲン、テストステロン、hsCRPを測定。喫煙、飲酒、食生活、身体活動量、勤務形態、既往歴、家族歴、炎症関連病変の有無、妊娠・出産の有無・閉経の時期などアンケートにより調査。6年後までイベントの追跡。さらに、冠動脈CTA画像からの冠動脈プラークの有無、石灰化、含有脂質量等の各指標の定量法を開発した。
結果と考察
冠動脈の平均壁厚は、外部体積と冠動脈の長さから冠動脈を円柱と仮定して算出した平均血管外径と、同じく内腔容積と冠動脈の長さから算出した平均血管内径より求めた。33名で算出した右冠動脈、左主幹から前下行枝、左回旋枝の冠動脈壁厚の平均値はいずれも1mm強で、病理検査の従来の報告とほぼ一致していた。横断研究として、2008年12月から2010年11月 にCT検査を実施した1984名(女性627名)のデータを解析した。女性の冠動脈石灰化は50歳から狭窄の頻度は60歳代から年齢とともに高くなり、男性に近づくことがCTでも確認された。また、冠リスクの集積が石灰化や狭窄に寄与する割合は女性の方が男性より大きいことが明らかとなった。特に糖尿病や喫煙が強く影響し、その対策が必要であると考えられる。冠動脈の高度石灰化は男女ともに狭窄と強い関連を示しましたが、男女での関連の強さの違いは今後の検討課題とした。心筋梗塞や脳卒中の発症との関連を調べる前向き追跡コホートの目標は1200名とし、700名(女性317名)を登録した。
結論
女性の冠動脈石灰化と狭窄の頻度は年齢とともに男性に近づいた。冠リスクの集積が石灰化や狭窄に寄与する割合は女性の方が男性より大きく、特に女性においては糖尿病や喫煙が強く影響し、女性の冠動脈疾患の予防としてその対策が必要であると考えられる。今後予後を追跡し冠動脈石灰化が心筋梗塞や脳卒中の予測因子となりえるかどうかを検証する。

公開日・更新日

公開日
2011-06-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201021021C

成果

専門的・学術的観点からの成果
女性の循環器疾患のエビデンスはほとんどないが、本研究により年齢毎の日本の女性と男性の冠動脈石灰化の相違点を検証することができた。冠リスクの性差についても検証することができ、特に女性に対する対策の根拠を示すことができた。本研究はこれまでなかった我が国における女性の循環器疾患コホート研究であり、女性の生活習慣病の診断・治療に役立つのみならず、循環器専門外来のなかで性を配慮した個別医療を推進する上で必要なエビデンスとなる。
臨床的観点からの成果
女性の冠動脈病変は非典型的であり冠動脈カテーテル検査をおこなうことが少なく、その実態は不明であった。冠動脈CT検査はカテーテル検査より低侵襲性の検査であり、陰性的中率が高いことから、特に閉経後の女性の検査として有用である。本研究により女性の冠動脈石灰化は50歳から狭窄は60歳代から年齢とともに高くなり男性に近づくことが確認された。また、冠リスク集積が石灰化や狭窄に寄与する割合は女性の方が男性より大きく、糖尿病や喫煙が強く、その対策が必要であることが示された。
ガイドライン等の開発
「循環器領域における性差医療に関するガイドライン」合同研究班(参加学会:日本循環器病学会、日本胸部外科学会、日本外科学会、日本高血圧学会、日本更年期学会、日本産科婦人科学会、日本循環器心身医学会、日本心エコー図学会、日本新血管インターベンション治療学会、日本心臓血管外科学会、日本心臓病学会、日本心不全学会、日本性差医学・医療学会、日本超音波医学会、日本動脈硬化学会、日本内科学会、日本薬学会、日本老年医学会)の班長(鄭 忠和)、班員(友池仁暢)、協力員(宮本恵宏)としてガイドライン作成に寄与した。
その他行政的観点からの成果
特になし。
その他のインパクト
メディカルトリビューン(2011年4月28日(VOL.44 NO.17) p.28)に“国立循環器病研究センター病院の内藤博昭病院長らは,冠動脈マルチスライスCT検査を行った男女1,984例の全国規模の横断研究(NADESICO研究)の結果,女性の冠動脈石灰化と狭窄の頻度は年齢とともに高くなり,男性よりも糖尿病や喫煙の影響が大きいことを報告した。女性では閉経後,動脈硬化性疾患のリスクが急激に高まることが指摘されているが,冠動脈CTによって定量的に確認したのは,これが初めて。”として掲載。

発表件数

原著論文(和文)
39件
原著論文(英文等)
126件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
なし
なし
なし

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201021021Z