文献情報
文献番号
201021018A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病患者における2Dスペックル・トラッキング運動負荷心エコー法と冠動脈CTを組み合わせた冠動脈疾患の非侵襲的早期診断法の確立と実態把握および治療介入効果の多施設共同前向き研究
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-021
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
石井 克尚(関西電力病院 循環器内科)
研究分担者(所属機関)
- 吉川 純一(大阪掖済会病院 病院長)
- 越山 裕行(北野病院 糖尿病内分泌内科)
- 黒瀬 健(関西電力病院 糖尿病・栄養内科)
- 赤阪 隆史(和歌山県立医科大学医学部 循環器内科)
- 岩倉 克臣(桜橋渡辺病院 循環器内科)
- 平野 豊(近畿大学医学部 循環器内科)
- 渡辺 弘之(榊原記念病院 循環器内科)
- 大門 雅夫(順天堂大学医学部 循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
申請者が新たに開発し、すでに実用化し臨床的に評価が定まっている2Dスペックル・トラッキング法を用いた負荷心エコー法により糖尿病患者の心筋虚血を診断し、冠動脈CTによる冠動脈病変とマッチングさせ正確な診断を行うことは非常に意義のある試みである。本法を用いる糖尿病での非侵襲的診断法は多くの患者の早期スクリーニングを可能とすると共に、血糖、代謝性因子および血圧管理の意義を解明することが可能となり、糖尿病患者における虚血性心疾患への内科的な治療介入の新たな指針(ガイドライン)が作成可能となる。
研究方法
大学病院、基幹病院にて治療を受けている30才以上の糖尿病患者とする。各施設100名、合計800名についてトレッドミル運動負荷前後で2Dスペックル・トラッキング心エコー法にて心筋虚血の診断と冠動脈CTを用いた冠動脈病変の診断を施行する。病年数、HbA1c、合併症の有無を評価し、胸痛、心電図ST-T変化、または冠動脈リスクを3個以上(糖尿病のほか、高血圧、喫煙、高脂血症、家族歴)を有する患者を対象とした。(細部方法は添付書類参照)
結果と考察
糖尿病患者657例(男性459名、女性198名)で、冠動脈CTと2Dスペックル・トラッキング心エコー法を併用した場合の有意狭窄病変を検出する感度、特異度は感度:88%、特異度:85%であった。冠動脈CTのみで有意狭窄病変を検出する感度、特異度は感度:72%、特異度:71%であった。一方2Dスペックル・トラッキング心エコー法のみで有意狭窄病変を検出する感度、特異度は感度:85%、特異度:80%であった。(詳細情報は添付書類参照)
結論
糖尿病での非侵襲的診断法は早期スクリーニングを可能とする。血糖、代謝性因子、血圧管理の意義を解明することが可能。虚血性心疾患への内科的な治療介入の新たな指針(ガイドライン)が作成可能。冠動脈疾患の早期非侵襲的診断法が確立できる。また糖尿病罹患期間における冠動脈病変の特徴が明らかとなり積極的な治療介入が必要な患者群を効率的に選択できる方法が開発される。さらに厳格な血糖、および血圧管理の意義が明らかとなり、インターベンションをはじめ内科的な治療介入の新たな指針(ガイドライン)が作成可能となる。このように冠動脈疾患発症のハイリスク患者の効率的な同定と有効な治療指針に基づいた効率的な管理が可能となる。さらに本研究計画は、糖尿病患者における冠動脈疾患の早期発見と予防的治療(及び早期治療)の導入による医療コスト削減を目指し、医療経済面においても大きく貢献できるものと考える。
公開日・更新日
公開日
2011-09-21
更新日
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