離島をモデルとした新しい対策型大腸がん検診システムの構築とその実現に向けた研究・新島STUDY

文献情報

文献番号
201020085A
報告書区分
総括
研究課題名
離島をモデルとした新しい対策型大腸がん検診システムの構築とその実現に向けた研究・新島STUDY
課題番号
H22-がん臨床・一般-038
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松田 尚久(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院 消化管内視鏡科)
研究分担者(所属機関)
  • 池松 弘朗(独立行政法人 国立がん研究センター東病院 消化管内視鏡科)
  • 角川 康夫(独立行政法人 国立がん研究センターがん予防検診研究センター 消化器内視鏡)
  • 九嶋 亮治(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院 病理科)
  • 小林 望(栃木県立がんセンター 画像診断部)
  • 寳澤 篤(山形大学大学院医学系研究科 公衆衛生学講座)
  • 堀田 欣一(佐久総合病院 胃腸科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
18,090,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は,日本における離島での理想的な地域大腸がん検診モデルの確立を目指し,科学的根拠に基づいた検診体制を構築するための臨床研究を策定することにある.本研究では,東京都新島村をモデルに「内視鏡検査による大腸がん検診受診率50%以上」を目標達成として計画する啓発活動の有効性評価と,検診非受検者に対して行う6か月ごとのリコール(反復受診勧告)による受診率向上効果を明らかにする.
研究方法
新島村住民で,平成23年度大腸がん検診の対象者中40-79歳の男女約1,400名に対して,検診としての全大腸内視鏡検査(TCS)の案内状を送付する.文書による本研究参加の応諾が得られた者に対して,全例TCSを計画する(80歳以上の方については,免疫学的便潜血検査:FOBTを推奨).また,上記いずれの検査も受検しなかった対象者に対しては,初回呼びかけ後6か月を利用して,検診の重要性とTCS及びFOBTのメリット・デメリット等について,パンフレット送付と地域での講演会を通じて普及啓発活動を行った後に案内状を再送付し,検診受診を再度呼びかける.また,住民すべてを対象としたアンケート調査(大腸がん検診受検・非受検理由および生活習慣・がん家族歴・既往歴・身体所見:BMI等の調査)を行う.
結果と考察
本年度は,研究実施計画書作成ならびに「平成23年度新島村大腸がん検診」の実施に向けての必要機器・物品の選定納入作業を進めた.現地,新島村では「さわやか健康センター」での大腸がん検診実施に向け,内視鏡機器および洗浄機,内視鏡ファイリングシステム,便潜血検査機器の搬入を開始した.併せて,島民に対する啓発活動に際に用いる各種「パンフレット」の作成が完了し印刷作業に入っている.来年度は,大腸がん検診対象者に対する啓発活動と検診希望調査を実施する.尚,本研究のプライマリー・エンドポイントを大腸がん検診受診率,セカンダリ・エンドポイントとして,リコールによる検診受診率向上効果,大腸内視鏡検診の安全性評価,アンケート調査結果,内視鏡介入群における大腸がん抑制効果と設定した.
結論
人口動態の把握が比較的容易なコミュニティを対象とするため,研究データの信憑性は高く,今後長期的な検討を行う上でも質の高い研究となる.また,地域における患者支援という視点で考えた場合,島を離れず一度の内視鏡検査で大腸がん検診を完遂できることは,受検者のみならず関係市町村にとっても大きなメリットとなると考えられる.

公開日・更新日

公開日
2015-05-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020085Z