造血幹細胞移植の有効性と安全性向上のための薬剤のエビデンスの確立に関する研究

文献情報

文献番号
201020073A
報告書区分
総括
研究課題名
造血幹細胞移植の有効性と安全性向上のための薬剤のエビデンスの確立に関する研究
課題番号
H22-がん臨床・一般-032
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
福田 隆浩(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科・造血幹細胞移植科)
研究分担者(所属機関)
  • 谷口 修一(国家公務員共済組合虎の門病院 血液内科)
  • 松井 利充(神戸大学大学院医学研究科 内科学講座)
  • 高見 昭良(金沢大学附属病院 輸血部)
  • 神田善伸(自治医科大学自治医科大学附属さいたま医療センター 血液科)
  • 鈴木 律朗(名古屋大学医学部 造血細胞移植情報管理学・生物統計学)
  • 豊嶋 崇徳(九州大学病院 遺伝子・細胞療法部)
  • 中前 博久(大阪市立大学 血液腫瘍制御学)
  • 池亀 和博(兵庫医科大学 内科学講座)
  • 山口 拓洋(東北大学大学院 医学系研究科)
  • 森 毅彦(慶應義塾大学医学部 血液内科)
  • 緒方 正男(大分大学医学部附属病院 輸血部/血液内科)
  • 金 成元(独立行政法人国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科・造血幹細胞移植科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
45,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
移植片対宿主病(GVHD)や感染症に対する治療薬の我が国における適応外使用の現状を全国調査により明らかにし、効能追加に直結する多施設共同臨床試験を行い、我が国独自のエビデンスを確立することにより適応拡大を目指す。
研究方法
抗ヒトTリンパ球ウサギ免疫グロブリン(ATG)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、ホスカルネットナトリウム水和物(FCN)などの薬剤の日本における適応外使用の現状および実際の用法・用量や安全性・有効性に関する情報を明らかにする。多施設共同臨床試験:「低用量ATGを用いた非血縁骨髄ミニ移植試験」、「GVHD発症患者における深在性真菌症発症予防試験」、「血縁および非血縁骨髄移植におけるMMF投与の急性GVHD予防試験」を行う。
結果と考察
MMF、FCNの使用状況全国調査の結果、血縁者間移植のみで300例以上と予想以上に多くの症例で適応外使用されていた。両薬剤とも有害事象は極めて軽微で、高い有効性と安全性が明らかになった。高齢者における臍帯血ミニ移植でMMFを併用することにより早期非再発死亡が減少し生着率が高くなることを明らかにした。上記の多施設共同臨床試験へ症例登録中である(平成23年3月現在:ATG 27例中24例、真菌症予防 66例中45例、血縁MMF 19例中10例、非血縁MMF 29例中8例)。また栄養・血糖管理に関する前向き試験は1試験が終了、3試験が症例登録中である。
造血幹細胞移植後のGVHDは人種による差があることが知られており、海外で標準的に用いられているMMF、ATGなどの薬剤も、日本人における有効性、安全性のエビデンスを確立することは重要である。
結論
本研究では、GVHDや感染症に対する治療薬の適応外使用が増加している現状を全国調査により明らかにし、効能追加に直結する臨床研究により我が国独自のエビデンスを確立し適応拡大を行う。FCNに関する本研究結果を基に平成22年6月に公知申請を行い、平成23年5月に造血幹細胞移植領域における適応拡大が承認された。本研究の過程で、オーファン領域における他の薬剤の適応拡大承認を促進する新たなモデルシステムを構築することは極めて重要である。

公開日・更新日

公開日
2015-05-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020073Z