成人T細胞性白血病(ATL)の根治を目指した細胞療法の確立およびそのHTLV-1抑制メカニズムの解明に関する研究

文献情報

文献番号
201020069A
報告書区分
総括
研究課題名
成人T細胞性白血病(ATL)の根治を目指した細胞療法の確立およびそのHTLV-1抑制メカニズムの解明に関する研究
課題番号
H22-がん臨床・一般-028
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
鵜池 直邦(独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター 血液内科)
研究分担者(所属機関)
  • 神奈木真理(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 宇都宮 與(財)慈愛会今村病院分院 血液内科)
  • 谷口 修一(虎の門病院 血液内科)
  • 重松 明男(北海道大学病院 検査輸血部 )
  • 山中 竹春(独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター 臨床研究部 )
  • 安永 純一朗(京都大学ウイルス研究 所 ウイルス制御研究領域)
  • 崔 日承(独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター 血液内科)
  • 末廣 陽子(独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター 血液内科)
  • 福島 卓也(長崎大学病院 血液内科)
  • 豊嶋 崇徳(九州大学医学部 遺伝子・細胞療法部)
  • 内丸 薫(東京大学医科学研究所 附属病院 内科)
  • 田野崎隆二(国立がん研究センター 中央病院 病理科・臨床検査科)
  • 岡村 純(独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター 臨床研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ATLに対して、RISTの前向き試験により、その治療成績の改善を目指すとともに、幹細胞源を非血縁臍帯血にまで拡大することによりそのチャンスを最大限に追求すること、ATLに対するRISTのHTLV-1排除機構を解明し、新たな免疫療法の開発に応用すること、ATL患者の臨床試験への参加促進を目的としたリクルートシステムを構築することである。
研究方法
①第2期試験と前処置を同一にした臨床試験(NST-3、第2相)を実施した。主要評価項目は、2年全生存率で予定症例数は35例である。
②すでに終了した第1期/2期試験(第1相)登録例について、その後の状況を解析した。
③骨髄バンクドナーを介した高齢者ATL患者に対するRISTの実施可能性を検討する第I相試験を開始した。生着をより確実にするために低線量放射線全身照射(TBI)2Gyを追加施行した。またGVHD予防については,タクロリムス+短期メソトレキセートを使用する。対象は、50歳以上70歳未満の急性型あるいはリンパ腫型で、血縁ドナーが存在しない患者とし、100日の生存と完全キメラ達成を主要評価項目、予定登録数は15症例とした。
④各HTLV-1関連臨床研究班による合同班会議を開催し、ATL患者が臨床研究に参加できる効率的なシステムの開発を行う。
結果と考察
①6例の移植が終了時点で、移植関連合併死亡3例、2年生存達成4例であり、合計6例が生存中である。
②29例中10例が生存中であり、5年生存率は34%、いずれもPSは良好である。
③14例移植終了時点で、TRMが1例、主要評価項目を達成したのが12例であり、10例が生存中である。
④2回の合同班会議を実施し、各HTLV-1関連研究班との連携を強化した。HTLV-1関連Webサイトの立ち上げ、および一般患者用の医療冊子の作製を行い、広報活動の一環とした。
臨床試験への患者リクルートの促進、細胞源を拡大、さらに免疫療法の導入でATLの根治を目指したい。
結論
本研究班によって、ATLに対する血縁者間RISTの安全性が確立された。今後、非血縁者骨髄を細胞源としたRISTの解析および細胞源を非血縁臍帯血にまで拡大した臨床試験を計画するとともに、患者のリクルート促進にも取り組む。HTLV-1抑制機構の原理に基づき、既治療に対する自家樹状細胞による免疫療法を開発中である。

公開日・更新日

公開日
2015-05-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020069Z