国内外科手術成績を基礎とした経口抗がん剤による治癒切除大腸癌術後補助療法の確立

文献情報

文献番号
201020068A
報告書区分
総括
研究課題名
国内外科手術成績を基礎とした経口抗がん剤による治癒切除大腸癌術後補助療法の確立
課題番号
H22-がん臨床・一般-027
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
森谷 宜皓(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院 消化管腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 敏彦(山形県立中央病院、 外科)
  • 長谷 和生(防衛医科大学校、消化器病・大腸外科)
  • 八岡 利昌(埼玉県立がんセンター、消化器外科)
  • 小西 文雄(自治医科大学附属 さいたま医療センター、消化器外科)
  • 齋藤 典男(独立行政法人国立がん研究センター東病院、消化管腫瘍科)
  • 滝口 伸浩(千葉県がんセンター、消化器外科)
  • 正木 忠彦(杏林大学消化器・一般外科、消化器外科学)
  • 青木 達哉(東京医科大学、肝胆膵外科、)
  • 高橋 慶一(東京都立駒込病院、大腸外科)
  • 長谷川 博俊(慶應義塾大学医学部、一般・消化器外科)
  • 杉原 健一(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科、腫瘍外科学分野大腸・肛門)
  • 斉田 芳久(東邦大学医療センター大橋病院、外科)
  • 赤池 信(神奈川県立がんセンター、消化器外科)
  • 渡邊 昌彦(北里大学、外科)
  • 工藤 進英(昭和大学横浜市北部病院消化器センター、消化器内視鏡)
  • 藤井 正一(横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター、下部消化管外科)
  • 瀧井 康公(新潟県立がんセンター新潟病院、大腸外科)
  • 伴登 宏行(石川県立中央病院、 消化器外科 )
  • 絹笠 祐介(静岡県立静岡がんセンター、大腸外科)
  • 平井 孝(愛知県がんセンター中央病院、消化器外科)
  • 金光 幸秀(愛知県がんセンター中央病院、消化器外科)
  • 山口 高史(独立行政法人国立病院機構京都医療センター、大腸外科)
  • 大植 雅之(独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター、消化器外科、大腸外科)
  • 三嶋 秀行(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター、外科、化学療法)
  • 福永 睦(市立堺病院、大腸外科)
  • 加藤 健志(箕面市立病院、下部消化管)
  • 村田 幸平(市立吹田市民病院、外科)
  • 木村 秀幸(岡山済生会総合 病院、外科)
  • 岡島 正純(国立大学法人広島大学大学院医歯薬学総合研究科内視鏡外科学講座)
  • 久保 義郎(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター、消化器外科)
  • 北野 正剛(国立大学法人大分大学医学部、外科第一)
  • 島田 安博(独立行政法人国立がん研究センター中央病院、消化器管腫瘍科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
患者数が急増している大腸癌に対する術後補助療法の確立を目指し、JCOG大腸がんグループ48専門施設による大規模臨床試験を実施する。優れた国内手術成績、経口抗がん剤の経験、術後補助療法を外科医が担当という国内医療環境を考慮した標準治療法を検証・確立する。
研究方法
JCOG0910ではStage 3の結腸・直腸癌の治癒切除患者を対象として、術後化学療法としてのS-1療法の有用性を、標準治療であるCapecitabine療法とランダム化比較して、無病生存割合において非劣性であることを検証する。副次評価項目は、全生存割合、有害事象発生割合とする。平成22年3月より登録開始し、3年間で1,550例を集積する。

結果と考察
平成23年4月末で455例登録が行われ、重篤な有害事象の報告はない。月間40例以上の登録を継続している。本試験により、経口抗がん剤による術後補助療法の推奨薬剤を選択することができる。有効性、有害事象、内服コンプライアンス、医療費などの総合的な視点から国内臨床環境に最適な薬剤を選択することによりがん治療の均てん化に貢献できる。試験群であるS-1は最も安価であり、対照群のCapecitabineとの非劣性が検証されれば、医療経済的にも優れた薬剤選択の科学的根拠を検証することができる。先行JCOG0205での3年無病生存割合は78%、5年全生存割合は88%と海外より約10%良好であり、国内での臨床評価が必要であることが示されている。JCOG0205の最終成績は2011年11月に報告予定である。
結論
JCOG0910は2010年3月から登録開始し、順調に症例登録が実施されている。JCOG0205の追跡調査では、海外試験成績より大幅に良好な成績が確認されている。本研究は多くのがん診療拠点病院が参加しており、結果をすぐに医療現場に還元することが可能である。海外の標準治療である静注療法5FU+l-LV、及び海外で同等性が検証されたUFT/LV、Capecitabineとの同等性の国内検証により、経口抗がん剤の術後補助療法での位置づけ、選択を明確にすることができる。JCOG0205の予備的解析において、無病生存割合や全生存割合が良好であることから、国内医療環境での臨床評価が重要であることが示されている。

公開日・更新日

公開日
2015-05-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020068Z