高悪性度筋層非浸潤癌に対する経尿道的膀胱腫瘍切除後の治療方針の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201020067A
報告書区分
総括
研究課題名
高悪性度筋層非浸潤癌に対する経尿道的膀胱腫瘍切除後の治療方針の確立に関する研究
課題番号
H22-がん臨床・一般-026
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
塚本 泰司(札幌医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 北村 寛(札幌医科大学 医学部)
  • 篠原 信雄(北海道大学 医学部)
  • 羽渕 友則(秋田大学 医学部)
  • 冨田 善彦(山形大学 医学部)
  • 北村 康男(新潟県立がんセンター 新潟病院)
  • 西澤 理(信州大学 医学部)
  • 川島 清隆(栃木県立がんセンター)
  • 藤元 博行(国立がん研究センター 中央病院)
  • 馬場 志郎(北里大学 医学部)
  • 武田 正之(山梨大学 医学部)
  • 庭川 要(静岡がんセンター)
  • 杉村 芳樹(三重大学 医学部)
  • 後藤 百万(名古屋大学 医学部)
  • 西村 和郎(大阪府立成人病センター)
  • 小川 修(京都大学 医学部)
  • 平尾 佳彦(奈良医科大学)
  • 筧 善行(香川大学医学部)
  • 橋根 勝義(四国がんセンター)
  • 荒井 陽一(東北大学 医学部)
  • 内藤 誠二(九州大学 医学部)
  • 江藤 正俊(熊本大学 医学部)
  • 松岡 啓(久留米大学 医学部)
  • 中川 昌之(鹿児島大学 医学部)
  • 大家 基嗣(慶応義塾大学 医学部)
  • 藤澤 正人(神戸大学 医学部)
  • 井川 幹夫(島根大学 医学部)
  • 寺井 章人(倉敷中央病院)
  • 大園 誠一郎(浜松医科大学)
  • 頴川 晋(東京慈恵会医科大学)
  • 堀江 重郎(帝京大学 医学部)
  • 山口 秋人(原三信病院)
  • 市川 智彦(千葉大学 医学部)
  • 谷川 俊貴(新潟大学 医学部)
  • 栃木 達夫(宮城県立がんセンター)
  • 大山 力(弘前大学 医学部)
  • 浅野 友彦(防衛医科大学校)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、組織学的悪性度がhigh grade (G3)で膀胱粘膜下まで浸潤するT1(HG-T1)の癌については、2nd TURを行うことが標準治療となっている。2 nd TURの結果、T0であった場合のその後の治療方針は明らかではない。2 nd TURでT0の症例は、T1筋層非浸潤癌の中でも予後良好な群と考えられる。このような症例に対して、副作用の比較的多いBCG膀注療法を避けることができれば、その利点は大きい。
研究方法
1)臨床試験プロトコール
本臨床研究は日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)泌尿器科腫瘍グループが実施する。
HG-T1筋層非浸潤癌患者を一次登録後、2nd TURを実施する。切除標本に癌が認められなかった(T0)患者を二次登録し補助治療としてBCG膀注を実施する群(BCG膀注群)と、無治療経過観察群(経過観察群)にランダム割付し、BCG膀注群に対して経過観察群が有効性において非劣性であることを検証する。Primary endpointは「T1以上の膀胱内再発および遠隔転移がない生存期間」とする。
2)HG-T1癌の臨床的検討
結果と考察
1)臨床試験プロトコール
本研究の臨床試験プロトコールをJCOG運営委員会へ承認申請を行った。
2)初回のTURで十分な筋層切除が可能であったHG-T1癌の臨床経過を検討した。42か月で47%に膀胱内再発が見られた。筋層浸潤への進展は7%にのみ認められた。初回TURで膀胱筋層を含めた十分な切除を行うことが重要であることが再確認された。
3)BCG膀胱内注入療法における維持療法の検討では、膀胱内非再発率は維持療法を行った群で高い傾向があった。また、これまでよりは少ない維持療法の回数で再発防止に寄与する可能性が示唆された。
4)5年間再発のなかった筋層非浸潤癌の晩期再発を検討した。5年および10年非再発率は82%、76%であった。高再発リスク群の一部の症例は筋層浸潤あるいは上部尿路再発、筋層浸潤癌へ進展する可能性も示唆された。したがって、5年以上にわたる経過観察の必要性が示唆された。
結論
1)ランダム化比較臨床試験のプロトコールをJCOG運営委員会へ承認申請した。
2)HG-T1癌の初回TURで膀胱筋層を含めた十分な切除が重要である。
3)BCG膀胱内注入療法では維持療法を行うことで再発率の低下が期待できる。
4)術後5年以上経過した後の再発、筋層浸潤進展の可能性は、これまで予想されていたよりは多い可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2015-05-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020067Z