文献情報
文献番号
202507024A
報告書区分
総括
研究課題名
がん相談支援の質の確保及び持続可能な体制の構築に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1025
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
高山 智子(静岡社会健康医学大学院大学 社会健康医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 東 尚弘(国立大学法人 東京大学 大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
- 内村 祐之(国立大学法人東京科学大学 病院医療情報部)
- 八巻 知香子(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 がん情報提供部)
- 近藤 まゆみ(北里大学病院 看護部)
- 森田 勝(独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター 消化器外科)
- 櫻井 裕幸(日本大学 医学部)
- 進士 明宏(諏訪赤十字病院 腫瘍内科)
- 齋藤 弓子(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所 がん情報提供部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
9,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、1)がん専門相談員(以下、相談員)の研修目標達成度評価の導入および個々の相談支援者の相談対応力向上に向けた育成方策を検討し、2)がん診療連携拠点病院(以下、拠点病院)内のスタッフ間の連携と役割分担に基づく持続可能な相談支援モデルの検討と実装可能性の検証を行うことを通じて、がん相談支援センター(以下、相談支援センター)の質の確保と持続可能な相談支援体制の構築に向けた提言を行うことを目的とした。
研究方法
研究開始3年目である2025年度は、1.相談員の研修目標達成度評価の導入と個々の相談員の育成方策・実施可能性の検証:相談支援センター相談員が「科学的根拠に基づくがん情報を提供すること」を促進する要因の検討、2.相談/対応内容の可視化と継続教育への教育還元方法の検討:(1)相談員の知識とスキルの可視化と達成度確認ツールの開発、(2)相談記入シートを用いた相談/対応内容の把握・可視化と還元方法の検討、(3)LLMファインチューニングを用いた相談対応支援ツールの開発、(4)がん相談支援センターの相談記録のAIによる自動分類に関する研究、3.拠点病院内の持続可能な相談対応モデルの検討と実装可能性の検証と周知:(1)大学病院、(2)総合病院、(3)がん専門病院での体制に関する検討および(4)オンライン講演会による持続可能な情報共有の取り組みに関する検討、(5)拠点病院の“病院をあげて行う相談支援”の実態把握と充実に関する研究を実施した。
結果と考察
目的1)について、相談員の「科学的根拠に基づく情報提供」の促進要因と特徴を明らかにする半構造化面接による検討を行った結果、個々の相談員の現場での実践が十分でない対応内容の特定や背景理由を特定することができた。また相談員の知識とスキルの達成度確認ツールの活用ガイドブックを作成した。これにより個々や集団での活用につながり易くなると考えられた。相談記入シートの可視化と還元方法の検討では、施設毎の院内がん登録件数を用いた指標により共通の軸での可視化につながり、地域内の複数施設等の相談対応状況を把握しやすくなると考えられた。さらに、LLMファインチューニングを用いた相談対応支援ツールの開発と相談記録のAIによる自動分類に関する検討では、一定の精度で関連情報の抽出ができ、情報検索の効率化や信頼性確保に寄与する可能性が示された。今後、相談対応の効率化や業務負荷の改善に向けた検討につながると考えられた。
目的2)では、各施設背景の異なる拠点病院で行った院内や院外への相談支援センターの周知の取り組みの検討の結果、周知の取り組みそのものが相談支援センターの持続可能な体制づくりにつながり、確実に相談支援センターの利用につながると考えられた。また拠点病院の医療スタッフの相談支援センターの利用経験がない者は4割以上と多く、「病院をあげて全人的な相談対応」は、現時点で十分ではないことが示された。院内スタッフに対するがん対策教育による相談支援センター利用の効果が示唆されたことから、医療関係者が接する機会が比較的多い意思決定や経済的支援、アピアランスケアなどの場面を想定した内容を教育内容に含めることで、「病院をあげて行う全人的な相談対応」の意識の醸成を効果的に進められるのではないかと考えられた。
目的2)では、各施設背景の異なる拠点病院で行った院内や院外への相談支援センターの周知の取り組みの検討の結果、周知の取り組みそのものが相談支援センターの持続可能な体制づくりにつながり、確実に相談支援センターの利用につながると考えられた。また拠点病院の医療スタッフの相談支援センターの利用経験がない者は4割以上と多く、「病院をあげて全人的な相談対応」は、現時点で十分ではないことが示された。院内スタッフに対するがん対策教育による相談支援センター利用の効果が示唆されたことから、医療関係者が接する機会が比較的多い意思決定や経済的支援、アピアランスケアなどの場面を想定した内容を教育内容に含めることで、「病院をあげて行う全人的な相談対応」の意識の醸成を効果的に進められるのではないかと考えられた。
結論
相談員に求められる知識やスキルの範囲は広い。確実に相談対応力を上げていくためには、自己達成確認ツールを用いることで自己の対応力を確認すること、さらに相談員が躓きやすい課題と背景を確認し、対応策や教育につなげることで、相談支援センターに求められている役割や機能を持続的に維持、向上することにつながると考えられた。そのためにも相談支援センターに求められる業務の効率化を進めることが重要である。生成AI導入を想定した情報検索や整理等の相談支援業務の効率化や業務負荷の改善に向けた環境整備の検討も引き続き重要であると考えられた。
院内や院外への相談支援センターの周知の取り組みそのものが相談支援センターの持続可能な体制づくりにつながり、確実に相談支援センターの利用につながっていた。またその中でも重要な取り組みは、院内スタッフへの教育であると考えられた。一方で、拠点病院の「病院をあげて行う全人的な相談対応」は現時点で十分ではなく、患者等とのやり取りの中で接する機会が比較的多い場面を想定した院内スタッフへの教育を効果的に行うことが、さらなる意識の醸成につながり、相談支援センターの利用にもつながると考えられた。
院内や院外への相談支援センターの周知の取り組みそのものが相談支援センターの持続可能な体制づくりにつながり、確実に相談支援センターの利用につながっていた。またその中でも重要な取り組みは、院内スタッフへの教育であると考えられた。一方で、拠点病院の「病院をあげて行う全人的な相談対応」は現時点で十分ではなく、患者等とのやり取りの中で接する機会が比較的多い場面を想定した院内スタッフへの教育を効果的に行うことが、さらなる意識の醸成につながり、相談支援センターの利用にもつながると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2026-08-24
更新日
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