地域における効率的・効果的な緩和ケア専門家へのコンサルテーション体制整備のための研究

文献情報

文献番号
202507019A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における効率的・効果的な緩和ケア専門家へのコンサルテーション体制整備のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1020
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
木澤 義之(筑波大学 医学医療系)
研究分担者(所属機関)
  • 荒尾 晴惠(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 秋月 伸哉(がん・感染症センター都立駒込病院)
  • 中澤 葉宇子(国立がん研究センター がん対策研究所)
  • 浜野 淳(国立大学法人 筑波大学 医学医療系)
  • 矢島 領(日本医科大学 日本医科大学付属病院 薬剤部)
  • 余谷 暢之(国立成育医療研究センター総合診療部緩和ケア科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
8,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、現在拠点病院以外に在籍するなど緩和ケア専門家に相談することが難しいがん診療を行う医療従事者等の緩和ケアに関する相談ニーズを把握した上で、がん患者の苦痛の緩和について、各地域の緩和ケアの専門家に相談できる実装可能な体制のモデルを作成し、その有効性の評価を行うことである。
研究方法
コンサルテーションモデルの運用
介入方法とその対象を①緩和ケアに関する継続的な学びの場所の確保とネットワーキング(都道府県レベルの緩和ケアに興味をもつ医療従事者を対象とする)、②専門・認定看護師の支援を取り入れた地域緩和ケアコンサルテーション(がん医療を提供し、緩和ケア専門医が勤務していない200床以上の病院に勤務する医療従事者を対象とする)、③全国規模のWebコンサルテーション(全国のがん医療に携わる医療従事者を対象とする)と定めた。
1)地域緩和ケアコンサルテーションモデルの開発(濵野、木澤):調査結果の解釈と専門家討議、前向き観察研究、2)全国レベルの緩和ケアコンサルテーションシステムの運用(木澤、秋月):専門家討議。

コンサルテーションニーズの把握と専門家がいない施設等での緩和ケアの実態調査
3)専門医・認定医が不在の施設に所属している認定看護師、専門看護師の緩和ケアに関するコンサルテーションニーズ(荒尾):横断調査、4)緩和ケア専門家がいない環境で勤務している医師の緩和ケアに関するコンサルテーションニーズに関する質問紙調査(中澤、石丸):横断調査、質的データ分析、5)緩和ケアに関するリソースが不足しているがん診療を行う小児医療機関の緩和ケアチームの活動実態把握のための研究(余谷):小児がん拠点病院および小児専門施設の緩和ケアチームの緩和ケア担当者を対象としたインタビュー調査、6) 緩和ケアにおける薬局薬剤師に対する相談ニーズに関する研究(矢島):半構造化インタビュー調査とその質的分析。

(倫理面への配慮)
1)〜6)の研究については、それぞれ代表・分担研究者の所属施設において研究計画を臨床倫理委員会に付議し、実施の承認を得た。

結果と考察
以下の3つのモデルを開発し、介入を行った。①緩和ケアに関する継続的な学びの場所の確保とネットワーキング(都道府県レベルの緩和ケアに興味をもつ医療従事者を対象とする)として、毎月第3金曜日に北海道地域緩和ケア研修会(どさんコロジー研修会)の開催を2025年1月から開始し、計16回の研修会が行われ、毎回150名程度、のべ1800名の医療介護従事者が参加した。また、ネットワーキングと情報交換を目的にどさんコロジーメーリングリストの運用を開始し、約200名の医療福祉従事者が参加している。②専門・認定看護師の支援を取り入れた地域緩和ケアコンサルテーション(がん医療を提供し、緩和ケア専門医が勤務していない200床以上の病院に勤務する医療従事者を対象とする)を帯広協会病院と苫小牧市立病院で実施した。コンサルテーションは、毎週行われるWebコンサルテーションと月1回のアウトリーチを組み合わせて行われ、コンサルテーション件数の増加、症状緩和モダリティの拡大などの効果が得られた。③全国規模のWebコンサルテーション(全国のがん医療に携わる医療従事者を対象とする)Compassion -connectの運用を79名の多職種コンサルタントの協力のもとで行い、その実施性が確認された。
結論
複数のニーズ調査に基づき、専門家のいない地域で緩和ケアの質をより向上させるために、先行研究と調査をもとに具体的な3つのモデル(①継続的な学びの場所の確保とネットワーキング、②専門・認定看護師の支援を取り入れた地域緩和ケアコンサルテーション(Web+アウトリーチ)、③全国規模の難治事例に対するWebコンサルテーション)の運用が開始され、その実施性が明らかとなった。今後、この地域緩和ケアコンサルテーションモデルを全国展開するにあたっては、介入モデルを各都道府県の事情に合わせてカスタマイズする必要があり、複数都道府県を対象として、モデルが「どのような文脈(Context)において、どのようなメカニズム(Mechanism)を起動させ、どのような結果(Outcome)をもたらすのか」を明らかにし、単なる有効性の検証ではなく、全国へ展開した際の成功要因と障壁を特定することが必要である。

公開日・更新日

公開日
2026-08-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-08-10
更新日
-

文献情報

文献番号
202507019B
報告書区分
総合
研究課題名
地域における効率的・効果的な緩和ケア専門家へのコンサルテーション体制整備のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1020
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
木澤 義之(筑波大学 医学医療系)
研究分担者(所属機関)
  • 荒尾 晴惠(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 吉内 一浩(東京大学 医学部附属病院)
  • 秋月 伸哉(がん・感染症センター都立駒込病院)
  • 中澤 葉宇子(国立がん研究センター がん対策研究所)
  • 浜野 淳(国立大学法人 筑波大学 医学医療系)
  • 矢島 領(日本医科大学 日本医科大学付属病院 薬剤部)
  • 余谷 暢之(国立成育医療研究センター総合診療部緩和ケア科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、現在拠点病院以外に在籍するなど緩和ケア専門家に相談することが難しいがん診療を行う医療従事者等の緩和ケアに関する相談ニーズを把握した上で、がん患者の苦痛の緩和について、各地域の緩和ケアの専門家に相談できる実装可能な体制のモデルを作成し、その有効性の評価を行うことである。
研究方法
令和5年度は、本課題に対する系統的文献レビューを行うこと、緩和ケア専門家に相談することが難しいがん診療を行う医療従事者等の緩和ケアに関する相談ニーズを把握した。令和6年度は前年度に行ったスコーピングレビュー、インタビュー調査、質問紙調査に基づいて、コンサルテーションモデルを作成した。令和7年度は、過年度に行ったスコーピングレビュー、インタビュー調査、質問紙調査に基づいて作成したコンサルテーションモデルを用いて、その実施性を検討した。
結果と考察
地域において質の高い緩和ケアを提供するための方略についてのスコーピングレビュー:「緩和ケア介入の標準化」、「ジェネラリストへの教育支援」、「コンサルテーション体制の整備」、「地域リソースの明確化と連携強化」、「専門的緩和ケアが必要な患者の同定支援」の5つの方略が明らかとなった。
拠点病院以外に勤務する医師の緩和ケア提供上の困難感:専門家がいない施設で、医師が、緩和ケア提供についてどのような困難を抱えているか、どのような支援を必要としているかについて半構造化インタビューを行いその内容を質的に分析した。医師の持つ緩和ケア提供の困難としては、以下の8つが挙げられた;「施設における緩和医療・ケア提供上の困難(緩和ケアの専門家へのタイムリーな相談ができない)」;「地域の医療体制が生み出すがん診療上の困難(地域にコンサルテーション可能な施設がない)」;「症状緩和における困難」;「心理的苦痛の強い患者とのコミュニケーションにおける困難」;「家族ケアにおける困難」;「ACPの困難」;「療養場所の調整における困難」;「医師個人の緩和ケア提供上の困難(マルチタスクと孤独)」。
拠点病院以外に勤務する医師の緩和ケアに関するコンサルテーションニーズ:以下の7つに集約された;「専門家の臨床知(薬剤選択の判断やコツなど)」;「複雑性の高い症例」;「倫理的課題」;「包括的ケアの提供(自施設の緩和ケア提供のあり方)」;「緩和ケアの提供体制」;「専門家からの保証・承認(自身が提供する緩和ケアへのフィードバック)」;「自己成長に繋がる知識提供」。
緩和ケア専門家がいない環境で勤務している医師の緩和ケアに関するコンサルテーションニーズに関する質問紙調査:日本プライマリ・ケア学会プライマリ・ケア専門医1125名、並びに、緩和ケア認定医・専門医が在籍していない病院を層別無作為抽出を行い、126施設、2284名の医師を抽出、合計3409名の医師を対象として実施した。回答者の半数以上が苦痛緩和に対する支援が得られないと回答し、専門家に相談したいこととして頻度の高いものは、薬剤選択や使用法、難治性症状の対応、神経ブロックや放射線の適応、AYA世代の患者への対応、が挙げられた。
緩和医療専門医不在の医療機関に所属する、緩和ケアを専門とする認定看護師およびがん看護専門看護師のがん緩和ケアに関する相談ニーズ:高度な実践能力を持つ看護師であっても、希少がんの終末期ケアや施設内の緩和ケア体制の最適化において、専門家による支援を求めている実態が明らかになった。特に、遠隔コンサルテーションシステムの有無や専門家による支援がチームに貢献するという認識の有無が、ニーズの強さと密接に関連していた。専門医不足の地域や施設において、看護師主導の緩和ケアを支えるための「看護師対看護師(N-to-N)」を含むコンサルテーションシステムの構築が急務であることが示唆された。
結論
地域緩和ケアコンサルテーションモデルが開発された。今後、がん診療拠点病院以外の緩和ケアの質を向上させるために、本研究で開発された地域緩和ケアコンサルテーションモデルを全国展開するにあたっては、介入モデルを各都道府県の事情に合わせてカスタマイズする必要があり、複数都道府県を対象として、モデルが「どのような文脈(Context)において、どのようなメカニズム(Mechanism)を起動させ、どのような結果(Outcome)をもたらすのか」を明らかにし、単なる有効性の検証ではなく、全国へ展開した際の成功要因と障壁を特定することが必要である。

公開日・更新日

公開日
2026-08-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202507019C

収支報告書

文献番号
202507019Z