切除不能進行・再発胃がんに対する個別化治療に関する研究

文献情報

文献番号
201020060A
報告書区分
総括
研究課題名
切除不能進行・再発胃がんに対する個別化治療に関する研究
課題番号
H22-がん臨床・一般-019
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
山田 康秀(独立行政法人国立がん研究センター中央病院)
研究分担者(所属機関)
  • 小泉 和三郎(北里大学医学部 消化器内科)
  • 山口 研成(埼玉県立がんセンター 消化器内科)
  • 瀧内 比呂也(大阪医科大学付属病院 化学療法センター)
  • 朴 成和(静岡県立がんセンター 消化器内科)
  • 仁科 智裕(四国がんセンター 消化器内科)
  • 澤木 明(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部)
  • 辻 晃仁(高知県・高知市病院企業団立高知医療センター 腫瘍内科)
  • 浜本 康夫(栃木県立がんセンター 化学療法部)
  • 奥野 達哉(神戸大学医学部付属病院 消化器内科)
  • 土井 俊彦(独立行政法人国立がん研究センター東病院 消化管腫瘍科)
  • 中島 貴子(聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座)
  • 鈴木 康之(山形県立中央病院 内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
18,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
切除不能・再発胃癌患者に対する初回治療の現在の標準治療はシスプラチン/S-1併用(CS)療法である。さらに延命効果を高めることを目的として、CS療法にドセタキセルを併用する多剤併用療法としてDCS療法が開発され、第II相試験で奏効率 82.5%、無増悪期間中央値 8.7か月、全生存期間中央値 18.0か月と有望な治療成績が報告された。本臨床試験では、1)クレアチニンクリアランス値に従って抗癌剤投与量を変更することにより、重篤な副作用を回避するための腎機能による治療の個別化、2)JCOG9912より得られた分子マーカーを含む予後不良因子による治療法の個別化の有用性を検証する
研究方法
切除不能進行再発胃癌患者を対象に、ドセタキセル+シスプラチン+S-1併用療法(DCS療法)を試験治療とし、標準治療であるS-1+シスプラチン(CS)療法に対する優越性をランダム化比較にて検証する。
原発巣切除標本または原発巣内視鏡生検標本よりmRNA発現量を測定し、抗癌剤に対する腫瘍反応を規定する因子を解析することにより腫瘍に即した個別化化学療法が可能になるとの考えから、同因子の腫瘍内におけるmRNA発現量をRT-PCR法により測定する。
結果と考察
2010年度に研究計画書の作成を行い、2011年度中にJCOG胃がんグループの臨床試験として登録を開始する。対照(CS)群の全生存期間中央値は12ヶ月と予想される。試験治療(DCS)群がこれを3ヶ月上回るか否かを検出する優越性臨床試験として計画した場合、症例集積期間4.5年、追跡期間1年6ヶ月、有意水準片側2.5%、検出力80%と仮定すると、この差に必要な症例数は742例となる。若干の不適格、除外症例を見込んで、1群375例、2群併せて750例の症例集積を目標とする。
結論
癌組織から得られた情報により治療を個別化する戦略を日常臨床で実用化するためには、現在の画一的な標準治療に対し、この治療戦略が生存期間の延長に寄与するか否かを証明するための比較試験が必要となる。高騰する総医療費の抑制も「癌治療の個別化」を実現することの一つの目的であるが、治療標的となる分子や抗癌剤の薬物代謝酵素の遺伝子多型などに関する情報が着実に蓄積されてきた現在、体表面積あたりに投与量を設定する画一的な薬物療法を行い続けていることは不自然であり、本研究は、患者の状態に応じた治療方法の選別の可能性に重要な情報をもたらす。

公開日・更新日

公開日
2015-05-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020060Z