文献情報
文献番号
202507009A
報告書区分
総括
研究課題名
がん対策の年齢調整死亡率・罹患率に与える影響と要因に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1009
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
片野田 耕太(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所データサイエンス研究部)
研究分担者(所属機関)
- 伊藤 ゆり(大阪医科薬科大学 総合医学研究センター医療統計室)
- 川合 紗世(愛知医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
- 福井 敬祐(関西大学 社会安全学部安全マネジメント学科)
- 秋田 智之(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
- 平林 万葉(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 予防研究部 )
- 堀 芽久美(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所 がん登録センター)
- 上田 豊(和歌山県立医科大学 医学部先進予防・健康医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究分担者 上田 豊 国立大学法人大阪大学・大学院医学系研究科産科学婦人科学(令和5年4月1日~令和7年8月31日) → 公立大学法人和歌山県立医科大学・医学部先進予防・健康医学講座(令和7年9月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
実効性の高いがん対策を実現するため、記述疫学分析とエビデンス収集、ロジックモデルによる効果推定により、がん対策の有効性・課題・地域差の要因を明らかにし、基本計画の見直しに資する施策を提案することを目的とした。
研究方法
(1)死亡率の国際比較から見た日本のがんの動向
IARCのGlobal Cancer Observatoryから、日本、韓国、欧米諸国を対象に、全がんおよび各がん種の年齢調整死亡率の年次推移データを入手し、分析を行った。
(2)都道府県におけるがん対策に活用するがん記述疫学分析
2020~2024年の人口動態統計を用い、75歳未満の年齢調整死亡率について、全がんおよび主要部位別に対数線形回帰を適用してAPCを算出し、2024年の水準と変化の状況を整理した。
(3)胃がん
2020年の日本人人口をベースラインに設定し、ピロリ菌感染状況別に、2040年までの20~85歳の年齢階級別胃がん罹患数および罹患率を男女別に推計した。
(4)大腸がん
我が国で開発された大腸がんマイクロシミュレーションを用い、30歳以上の日本人100万人を対象に各検診受診率シナリオで30年間シミュレートし、75歳年齢調整死亡率の推移を算出した。
(5)肝臓がん
年齢時代コホート(APC)モデルにより、47都道府県の肝臓がん死亡率を解析し、年齢・時代・コホート効果を推定した。
(6)膵臓がん
IARCのGLOBOCANデータベースを用い、欠損のない11か国について1990~2021年の膵臓がんASRを抽出し、Joinpoint回帰分析により長期的推移を解析した。
(7)乳がん
1993~2015年の乳がん罹患率とリスク因子データを用い、ARIMAXモデルにより40~60歳代女性の罹患推移への影響を推定するとともに、主要がんについて都道府県別の年齢調整死亡率の経時変化と全国との差を分析した。
(8)子宮頸がん
ARIMAXモデルを用い、罹患率・死亡率を従属変数、喫煙率・HPV感染率・検診受診率等を独立変数として、ベースラインの傾向を基に子宮頸がんの年齢調整罹患率・死亡率の変化を推計した。
IARCのGlobal Cancer Observatoryから、日本、韓国、欧米諸国を対象に、全がんおよび各がん種の年齢調整死亡率の年次推移データを入手し、分析を行った。
(2)都道府県におけるがん対策に活用するがん記述疫学分析
2020~2024年の人口動態統計を用い、75歳未満の年齢調整死亡率について、全がんおよび主要部位別に対数線形回帰を適用してAPCを算出し、2024年の水準と変化の状況を整理した。
(3)胃がん
2020年の日本人人口をベースラインに設定し、ピロリ菌感染状況別に、2040年までの20~85歳の年齢階級別胃がん罹患数および罹患率を男女別に推計した。
(4)大腸がん
我が国で開発された大腸がんマイクロシミュレーションを用い、30歳以上の日本人100万人を対象に各検診受診率シナリオで30年間シミュレートし、75歳年齢調整死亡率の推移を算出した。
(5)肝臓がん
年齢時代コホート(APC)モデルにより、47都道府県の肝臓がん死亡率を解析し、年齢・時代・コホート効果を推定した。
(6)膵臓がん
IARCのGLOBOCANデータベースを用い、欠損のない11か国について1990~2021年の膵臓がんASRを抽出し、Joinpoint回帰分析により長期的推移を解析した。
(7)乳がん
1993~2015年の乳がん罹患率とリスク因子データを用い、ARIMAXモデルにより40~60歳代女性の罹患推移への影響を推定するとともに、主要がんについて都道府県別の年齢調整死亡率の経時変化と全国との差を分析した。
(8)子宮頸がん
ARIMAXモデルを用い、罹患率・死亡率を従属変数、喫煙率・HPV感染率・検診受診率等を独立変数として、ベースラインの傾向を基に子宮頸がんの年齢調整罹患率・死亡率の変化を推計した。
結果と考察
(1)死亡率の国際比較から見た日本のがんの動向
全がん死亡率は各国で減少傾向にある一方、日本では胃がん・肝臓がんは減少し欧米に近づきつつあるが、大腸がんや膵臓がん、子宮頸がんは高水準または増加傾向など、がん種別に特徴的な動向がみられ、死亡率には社会経済格差も認められた。
(2)都道府県におけるがん対策に活用するがん記述疫学分析
2020~2024年の75歳未満の年齢調整死亡率では、男性は一部で高死亡率横ばいがみられる一方、都市部を中心に減少し、女性は有意な減少がなく改善は緩やかであった。罹患率は男性で多くの地域で減少、女性は全国と同等以下で推移し、部位別に地域差がみられた。今後は進展度別罹患率や生存率を含め、多様な要因と併せた分析が必要とされた。
(3)胃がん
ピロリ菌除菌率は増加傾向で、特に30歳代後半~40歳代前半で高く、感染状況は年代により異なると推計された。胃がんは2040年までに罹患数が大幅に減少すると推計されたが、コホート効果の影響が大きい一方、除菌効果の過大評価の可能性に留意が必要である。
(4)大腸がん
検診受診率向上により罹患率は一時的に増加後に低下し安定化し、大腸がんでは死亡率低下と進行例減少が示唆されたが、推計値には不確実性があり慎重な解釈が必要とされた。
(5)肝臓がん
年齢効果は高齢で上昇し、コホート効果は1930~1950年代出生でピーク後に低下、時代効果は緩やかに低下した。肝臓がん死亡率は地域差・世代差がみられ、改善が進む地域と限定的な地域があり、今後の改善が見込まれる一方で地域特性に応じた対策が必要とされた。
(6)膵臓がん
膵臓がんASRは11か国で増加・横ばい・減少と多様な推移を示し、日本では増加傾向で高水準にあり、今後の疾病負担増加の可能性が示唆された。
(7)乳がん
乳がん罹患は初出産年齢の寄与が大きく示唆され、がん死亡率のAPCには都道府県間の地域差とその変化がみられた。
(8)子宮頸がん
2025年度にARIMAXモデルにより子宮頸がん罹患率の予測を行い、リスク因子の変動に応じた変化を確認するとともに、結果は概ね合理的であるが一部は引き続き検討が必要とされた。
全がん死亡率は各国で減少傾向にある一方、日本では胃がん・肝臓がんは減少し欧米に近づきつつあるが、大腸がんや膵臓がん、子宮頸がんは高水準または増加傾向など、がん種別に特徴的な動向がみられ、死亡率には社会経済格差も認められた。
(2)都道府県におけるがん対策に活用するがん記述疫学分析
2020~2024年の75歳未満の年齢調整死亡率では、男性は一部で高死亡率横ばいがみられる一方、都市部を中心に減少し、女性は有意な減少がなく改善は緩やかであった。罹患率は男性で多くの地域で減少、女性は全国と同等以下で推移し、部位別に地域差がみられた。今後は進展度別罹患率や生存率を含め、多様な要因と併せた分析が必要とされた。
(3)胃がん
ピロリ菌除菌率は増加傾向で、特に30歳代後半~40歳代前半で高く、感染状況は年代により異なると推計された。胃がんは2040年までに罹患数が大幅に減少すると推計されたが、コホート効果の影響が大きい一方、除菌効果の過大評価の可能性に留意が必要である。
(4)大腸がん
検診受診率向上により罹患率は一時的に増加後に低下し安定化し、大腸がんでは死亡率低下と進行例減少が示唆されたが、推計値には不確実性があり慎重な解釈が必要とされた。
(5)肝臓がん
年齢効果は高齢で上昇し、コホート効果は1930~1950年代出生でピーク後に低下、時代効果は緩やかに低下した。肝臓がん死亡率は地域差・世代差がみられ、改善が進む地域と限定的な地域があり、今後の改善が見込まれる一方で地域特性に応じた対策が必要とされた。
(6)膵臓がん
膵臓がんASRは11か国で増加・横ばい・減少と多様な推移を示し、日本では増加傾向で高水準にあり、今後の疾病負担増加の可能性が示唆された。
(7)乳がん
乳がん罹患は初出産年齢の寄与が大きく示唆され、がん死亡率のAPCには都道府県間の地域差とその変化がみられた。
(8)子宮頸がん
2025年度にARIMAXモデルにより子宮頸がん罹患率の予測を行い、リスク因子の変動に応じた変化を確認するとともに、結果は概ね合理的であるが一部は引き続き検討が必要とされた。
結論
がん死亡率は国際的に減少しているが、日本では高死亡率の中心が胃・肝臓から肺・大腸・乳・子宮頸がんへ移行しており、一次・二次予防の強化と地域特性に応じた対策の重要性が示された。
公開日・更新日
公開日
2026-07-29
更新日
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