進行・再発肝細胞癌に対する動注化学療法と分子標的薬併用による新規治療法の確立を目指した臨床試験(PhaseⅢ)ならびに効果を予測するbiomarkerの探索研究

文献情報

文献番号
201020056A
報告書区分
総括
研究課題名
進行・再発肝細胞癌に対する動注化学療法と分子標的薬併用による新規治療法の確立を目指した臨床試験(PhaseⅢ)ならびに効果を予測するbiomarkerの探索研究
課題番号
H22-がん臨床・一般-015
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
工藤 正俊(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 西尾 和人(近畿大学 医学部)
  • 赤澤 宏平(新潟大学医歯学総合病院 医療情報部)
  • 奥坂 拓志(国立がんセンター中央病院 肝胆膵内科)
  • 熊田 卓(大垣市民病院 消化器科)
  • 古瀬 純司(杏林大学 医学部)
  • 池田 公史(国立がんセンター東病院 肝胆膵内科)
  • 荒井 保明(国立がんセンター中央病院 放射線診断部)
  • 永野 浩昭(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 波多野 悦朗(京都大学 医学部)
  • 佐々木 裕(熊本大学 医学部)
  • 相方 浩(広島大学 医学部)
  • 坂井田 功(山口大学大学院医学系研究科)
  • 田中 正俊(久留米大学医療センター)
  • 金井 文彦(千葉大学 医学部)
  • 泉 並木(武蔵野赤十字病院 消化器内科)
  • 大崎 往夫(大阪赤十字病院 消化器科)
  • 小尾 俊太郎(佐々木研究所附属杏雲堂病院 肝臓科)
  • 山本 和秀(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
37,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
経口分子標的薬であるSorafenibと低用量シスプラチン/フルオロウラシル肝動注療法(Low-doseFP)の有効性を証明し、標準治療として位置づけることと、Low-doseFP療法の上乗せ効果を客観的に証明することである。
研究方法
外科的切除、局所壊死療法および肝動脈化学塞栓療法が適応とならない進行肝細胞癌患者を対象としたSorafenibとLow-doseFPによる肝動注化学療法の併用療法のSorafenib単独治療に対する優越性を確認するため、前向き、無作為化、非盲検、多施設共同、並行群間、第III相、比較臨床試験を計画した。本年度は初年度であり、まず班員施設におけるLow-dose FP療法およびSorafenib治療の実態調査を行った。各施設におけるLow-dose FP療法の奏効率はおおむね40%前後と一定であった。またSorafenibについても、副作用対策などが十分であり、本試験の実行性については問題がないことが確認された。本試験のプロトコールは十分に討議され、各施設の倫理委員会に諮られた。
結果と考察
平成22年9月30日に近畿大学医学部倫理委員会の承認を得て、平成22年10月1日より登録を開始した。第1例目の登録は近畿大学にて行われ、平成22年11月18日より治療が開始された。参加施設は班員15施設、班長協力施設14施設の計29施設であり、多くの施設で平成23年2月中にIRBを通過している。平成23年3月30日現在、登録数は12例(6.8%)である。
Sorafenibは生存期間の延長効果が明確に証明されている。一方Low-doseFP療法においては、明確なエビデンスは存在せず、世界的には標準治療ではないが、約40%の奏効率が得られる治療方法である。これらの併用により、前者の生存期間延長と、後者の奏効率上昇が期待される。また、Low-doseFP療法の上乗せ効果が証明された場合、これまで前向き比較試験として検証されてこなかった本療法の有用性も客観的に評価されることになり、世界に向けてエビデンスを日本から発信することができる。
結論
本研究で得られた結果は、エビデンスレベルの高い結果として臨床現場にフィードバックされ、肝細胞癌患者の治療に貢献し、予後改善につながることが予想される。

公開日・更新日

公開日
2015-05-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-02-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020056Z