職域における科学的根拠に基づくがん検診の社会実装に関する研究

文献情報

文献番号
202507003A
報告書区分
総括
研究課題名
職域における科学的根拠に基づくがん検診の社会実装に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1003
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
立道 昌幸(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 宏和(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所検診研究部検診実施管理研究室)
  • 佐川 元保(東北医科薬科大学 医学部)
  • 青木 大輔(慶應義塾大学 医学部)
  • 笠原 善郎(福井県済生会病院 乳腺外科)
  • 中山 富雄(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 検診研究部)
  • 加藤 勝章(宮城県対がん協会がん検診センター)
  • 小川 俊夫(学校法人常翔学園 摂南大学 農学部食品栄養学科公衆衛生学教室)
  • 齊藤 英子(国際医療福祉大学三田病院予防医学センタ-)
  • 森定 徹(慶應義塾大学 医学部)
  • 泉 陽子(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
  • 島津 太一(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 行動科学研究部)
  • 須賀 万智(東京慈恵会医科大学 医学部 環境保健医学講座)
  • 南谷 優成(東京大学 大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座)
  • 森 晃爾(産業医科大学 産業生態科学研究所産業保健経営学研究室)
  • 五十嵐 侑(産業医科大学 災害産業保健センター)
  • 財津 將嘉(産業医科大学 高年齢労働者産業保健研究センター)
  • 深井 航太(東海大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
20,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、保険者や事業主ががん検診を任意で実施する際に、「職域におけるがん検診に関するマニュアル」を参照して適正ながん検診の実施に導くため、5つのがん検診における検診内容と精度管理の普及啓発を図った動画資材を作成することである。そして、作成した動画資材を用いて、保険者や事業主、産業医等を対象に、職域におけるがん検診に関する研修会を実施することである。
研究方法
「精度管理」に関する動画を作成するとともに、職域用のチェックリストを作成した。さらに、R5,R6 にて作成した資料を活用して、産業医・健保組合への研修会を順次実施した。また、指針に基づくがん検診の普及においては企画者のみならず従業員への普及も必要であるとの調査結果から、社員向け動画を 3 種類作成し効果検証を実施した。さらに各ステークホルダーへ理解を深める目的でシナリオベースの e-learning サイトも作成した。精度管理に関しては、「レセプトを用いた精度管理システム」を用いて数健保にて社会実装のための実証研究を行った。また、職域のがん検診に関与する各ステークホルダーに関する課題を調査し、その対応策を整理した。これらの動画と課題に関する詳細の解説を含んだ職域がん検診に関する全ての情報を集約したホームページ「はたらく人のがん検診ガイド」を作成し、確保した普及ルートを用いてHPの URL を全国的に配信した。効果検証は全国のパネル調査を用いて実施した。
結果と考察
HP公開後、短期間で職域のがん検診に関わる担当者に対し、既存の類似HP よりも広く認知され、啓発動画も情報提供の手段として有用であることが示された。一方で、理解や認知についてはHPや動画で得られるものの、実際の行動変容に繋げるには直接研修会を行った方が効果は大きいことから、これらの動画を用いて広く普及啓発して関心を高め、研修会の機会を作り啓発活動を行うことで科学的根拠に基づくがん検診の社会実装に寄与する可能性が示された。
結論
本研究班が開設した「はたらく人のがん検診ガイド」は、公開後短期間で職域のがん検診に関わる担当者に一定程度認知され、啓発動画も情報提供の手段として有用である可能性が示された。一方で、がん検診に関わる担当者であっても、指針で推奨されているがん検診の対象がん種、推奨年齢、推奨間隔に関する知識は十分とはいえず、若年層への検診や毎年の検診が広く推奨されていると認識している回答者も少なくなかった。精度管理については、受診率や要精検率の把握は改善傾向にあったものの、精検受診率やがん発見率の把握には依然として課題が残っていた。以上により、職域におけるがん検診の質を高めるためには、ウェブサイトや動画教材を継続的に活用し、担当者と受診者の双方に対して、利益と不利益を含めた正確な情報を届ける必要がある。今後は、指針に基づくがん検診の理解をさらに深めるとともに、精密検査受診状況やがん発見率を把握できる実務的な仕組みを整備し、職域におけるがん検診を科学的根拠に基づいて運用・評価できる体制を構築していくことが求められる。

公開日・更新日

公開日
2026-08-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2026-08-24
更新日
-

文献情報

文献番号
202507003B
報告書区分
総合
研究課題名
職域における科学的根拠に基づくがん検診の社会実装に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1003
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
立道 昌幸(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 宏和(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所検診研究部検診実施管理研究室)
  • 佐川 元保(東北医科薬科大学 医学部)
  • 青木 大輔(慶應義塾大学 医学部)
  • 松田 一夫(公益財団法人福井県健康管理協会)
  • 笠原 善郎(福井県済生会病院 乳腺外科)
  • 中山 富雄(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 検診研究部)
  • 加藤 勝章(宮城県対がん協会がん検診センター)
  • 小川 俊夫(学校法人常翔学園 摂南大学 農学部食品栄養学科公衆衛生学教室)
  • 齊藤 英子(国際医療福祉大学三田病院予防医学センタ-)
  • 森定 徹(慶應義塾大学 医学部)
  • 泉 陽子(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
  • 島津 太一(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 行動科学研究部)
  • 須賀 万智(東京慈恵会医科大学 医学部 環境保健医学講座)
  • 南谷 優成(東京大学 大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座)
  • 森 晃爾(産業医科大学 産業生態科学研究所産業保健経営学研究室)
  • 五十嵐 侑(産業医科大学 災害産業保健センター)
  • 財津 將嘉(産業医科大学 高年齢労働者産業保健研究センター)
  • 深井 航太(東海大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、保険者や事業主ががん検診を任意で実施する際に、「職域におけるがん検診に関するマニュアル」を参照して適正ながん検診の実施に導くため、5つのがん検診における検診内容と精度管理の普及啓発を図った動画資材を作成することである。そして、作成した動画資材を用いて、保険者や事業主、産業医等を対象に、職域におけるがん検診に関する研修会を実施することである。
研究方法
5 種類のがん検診に関する指針に基づく検診内容および精度管理について普及啓発を図る動画資材を作成した。さらに、これらの動画資材を活用し、保険者、事業主、産業医等を対象として、「科学的根拠に基づくがん検診」の実施および精度管理に関する研修会を実施した。
また、職域におけるがん検診は、多数のステークホルダーがそれぞれ異なる利害関係のもとで関与していることから、それぞれの制度運営上の課題を整理・抽出するとともに、その解決策についても検討を行った。検診担当者にはシナリオベースのe-learningの作製も行い、理解を深める資材を作製した。職域では健康情報取扱が重要であることからその点も動画として解説した。一連の調査の中で受診者側すなわち労働者側の意識調査も同時に実施して、普及啓発の対象は企画担当者のみならず、受診する労働者自身も対象とする必要があることが明らかとなったことから、労働者向け啓発動画も3種類作成し、それぞれについて効果検証を実施した。
職域では「精度管理」という用語自体を含め理解が十分でないこと、また既存マニュアルが自治体を対象として作成されており、職域特有の環境が十分考慮されていないことで、本研究では職域に則したチェックリストを新たに作成するとともに、理解と実践を容易にすることを目的として、先行する厚生労働科学研究(祖父江班)において開発された「レセプトを用いた保険者向け精度管理システム(仮称)」の社会実装に関する検証も実施した。
これらの作成した動画資材およびその解説を体系的に整理したホームページ「はたらく人のがん検診ガイド」を構築した。本ホームページには、職域におけるがん検診に関する情報を包括的に掲載し、関係者が必要な情報へ容易にアクセスできる環境を整備した。さらに、普及経路の確保を図り、ホームページ URL の一斉配信を行うことで広範な周知活動を実施した。
結果と考察
本研究全体の最終的な効果については、3 種類のパネル調査を用いて検証を行った。その結果、健保担当者やがん検診企画担当者の47.5%が当該ホームページおよび動画を視聴していたことが確認された。効果として、マニュアルの存在や精度管理の必要性に関する普及啓発という当初の目的については概ね(80%以上)達成されたものの、より詳細な理解や実際の行動変容を促すためには、研修会によるインテンシブな介入が有効であることが示唆された。以上により、本研究で構築したホームページおよび動画資材によって関係者の関心喚起を図ることができ、それに研修会を組み合わせることにより、「科学的根拠に基づくがん検診」の社会実装に寄与する可能性が示唆された。
結論
本研究では、職域にて実施されているがん検診について、その現状と課題を整理し、「職域におけるがん検診に関するマニュアル」を普及するために、3種類の説明動画と各がん検診の詳細な内容、精度管理に関する内容、精度管理に関する問題点やプロセス指標を算出する方法等についての内容を盛り込んだ動画を作成、その補完としてホームページ「職域がん検診ガイド」を作成して普及啓発を図った。このHPについては、普及ルートを確保して配信した結果検診企画担当者の約50%にはリーチでき、他のどのサイトよりも認知されている結果となった。しかし、一方で内容の正確な理解については、動画やHPのみでは限界があり、研修会が非常に効果的であった。しかし理解が行動変容に繋がったか?については、当研究班での限界であることから今後の研究課題である。
当研究班では、現状での課題を整理し、全ての職域に関するがん検診を企画する上での情報をこのHPに集約した。当HPの評価が高いことから、今後このHPを順次updateしながら普及啓発に活用することが望ましいと考えられた。ただし、特に精度管理については現状の事業主や健保組合の自助努力のみでは達成しえないことから、行政的の政策的支援が必要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2026-08-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

総合研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2026-08-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202507003C

収支報告書

文献番号
202507003Z