がん患者のQOLに繋がる在宅医療推進に向けた、総合的がん専門医療職のがん治療認定医、がん専門薬剤師と協働するナース・プラクティショナーに関する研究

文献情報

文献番号
201020044A
報告書区分
総括
研究課題名
がん患者のQOLに繋がる在宅医療推進に向けた、総合的がん専門医療職のがん治療認定医、がん専門薬剤師と協働するナース・プラクティショナーに関する研究
課題番号
H22-がん臨床・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
森 美智子(日本赤十字秋田看護大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 畑尾 正彦(日本赤十字秋田看護大学 看護学部)
  • 石田 也寸志(聖路加国際病院 聖ルカ・ライフサイエンス研究所)
  • 白畑 範子(岩手県立大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 急性増悪の判断、合併症の判断、救命の対応等に、医学知識が必要である。在宅患者や外来・入院患者に、医療に精通したナース・プラクティショナー(NP:診療看護師)が、的確な病態判断を伴ったケアができれば、後遺症は少なく、最短の治癒経過となる。併せて心理的なサポートやよいコーディネートが可能である。
 本研究は、日本と米国・台湾のNP教育内容に関する認識から、NPの必要性と役割・機能および教育到達目標を比較分析し、NPのニーズと看護の責務、教育方略を検討する。
研究方法
 対象は、研究に同意した日本のCNS・がん化学療法認定看護師(202名)、台湾NP(101名)、米国NPで、進行中の暫定数である。研究代表施設で倫理審査の承認を得た。
 CNS看護教育は方略策定に使用し、調査項目は、医学教育の視点からのNP 教育に関する研究と合体させた。
結果と考察
1.一般的な傷病に対応する基本的能力に必要な知識・技術の中、①診断(診察、検査)では、日本の平均は68.0%、台湾の平均は85.5%で、台湾のNPの方が高かった。②緊急を要する症状・病態判断について、日本の平均は61.0%、台湾の平均は87.1%で、台湾のNPの方が高かった。③判断が求められる疾患・病態判断について、日本の平均は55.1%、台湾の平均は71.3%で、台湾のNPの方が高かった。
2.治療、面接・管理等の医療行為で、NP が独自に行う場合、医師の指示が必要な場合を含め、日本(82.5%)と台湾(93.7&)は、項目により差はあるが、いずれも業務拡大指向が強いといえる。「看護業務実態調査?看護師が行う医行為の範囲に関する研究」(2010,有賀)の速報値と傾向は類似していた。
3.がんに特化して必要な知識・技術について、日本の平均は81.7%、台湾の平均は53.0%で、台湾のNPにがん専門はなく、台湾のNPの方が低かった。ちなみに、日本のがんCNSの平均は86.5%、がん化学療法認定看護師の平均81.9%であった。
4.役割・業務、日本の平均は72.8%、台湾の平均は73.2%で、日本と台湾は同じであった。
結論
 一般的な傷病に対応する基本的能力に必要な知識・技術、治療(処置.薬物)・面接・管理(サマリー等)、がんに特化して必要な知識・技術に関して、教育の到達目標のレベルは日本の研修医や、がん専門医の基本的能力に近く、また、患者のために医療行為を行う場合に必要な知識・技術に対する責任感は強く、看護師の専門意識は高い。NPに関する役割と業務、およびがんに特化した内容や貢献についても看護師の専門意識は高い。

公開日・更新日

公開日
2015-05-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-02-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020044Z