センチネルリンパ節理論による頭頸部癌微小転移の解明と個別的治療法の開発

文献情報

文献番号
201020037A
報告書区分
総括
研究課題名
センチネルリンパ節理論による頭頸部癌微小転移の解明と個別的治療法の開発
課題番号
H21-がん臨床・一般-016
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 泰久(愛知県がんセンター 頭頸部外科部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉本 世一(国立がん研究センター中央病院 頭頸部腫瘍科・形成外科)
  • 松塚 崇(福島県立医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 甲能 直幸(杏林大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 本間 明宏(北海道大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 塩谷 彰浩(防衛医科大学校 耳鼻咽喉科)
  • 横山 純吉(順天堂大学 耳鼻咽喉科頭頸科)
  • 大倉 康男(杏林大学 病理学)
  • 小須田 茂(防衛医科大学校 放射線医学講座)
  • 古屋 信彦(群馬大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 吉田 知之(東京医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 永藤 裕(杏林大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 吉崎 智一(金沢大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 上村 裕和(大阪府立成人病センター 耳鼻咽喉科)
  • 三浦 弘規(国際医療福祉大学三田病院 頭頸部腫瘍センター)
  • 菅澤 正(埼玉医科大学国際医療センター 頭頸部腫瘍科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
頭頸部癌において、センチネルリンパ節(SN)理論によるリンパ節微小転移機構の解明と個別的低侵襲治療法の開発を目指す。
研究方法
1)頭頸部癌SN生検術手法のガイドラインの提案、2)口腔癌に対するSN生検術の研究、3)中下咽頭癌に対するSN生検術の研究、4)分子生物学的手法によるSN微小転移検出とその臨床応用、5)放射性同位元素を用いない画像診断法の開発、6)SN標的薬物療法。
結果と考察
1)調査研究にて構築されつつあるSN生検術データベースから頭頸部癌SN生検法の実情を詳細に検討し、本邦における標準手技を明らかにした。
2)それに基づく前向き試験を多施設共同で計画し、口腔癌ではSN領域郭清術の妥当性を検証する臨床試験の登録を初年度後半より開始した。
3)咽喉頭癌では経口的切除例を対象としたSNナビゲーション手術の適応を検討した。
4)これまでの研究で術中凍結診断法とSPECT-CTの信頼性が確認されたが、SN生検の結果に基づいて安全な頸部リンパ節転移に対する縮小手術を実用化するためには、より精度の高い画像診断法と術中リンパ節転移検出技術を開発することが必要である。迅速転移検査法としてサイトケラチン(CK19)をマーカーとするOSNA(直接遺伝子増幅)法で、その精度を検証する試験を進めた。
5)被曝のないより安全な、さらに空間分解能の良いSN検出法として、磁性体造影剤を用いたMRとインドシアニングリーン(ICG)蛍光法によるSN生検法の開発の研究を進めた。
6)転移の可能性のあるSNに対する手術療法以外の治療法として、リンパ移行性の高い抗癌剤封入粒子をSNに集積させる薬物療法が新規の転移抑制治療となる可能性がある。この薬剤と投与法の基礎研究を進めるとともに、抗癌剤動注療法の検討で、原発に動注したシスプラチンがSNにより多く移行することが示唆された。
結論
本研究は頭頸部癌に対して個別的かつ低侵襲な革新的外科治療法を実現する可能性がある。そこで、過剰侵襲のない最適な外科治療と機能障害の軽減を目的として、選択的頸部郭清に対するSNナビゲーション頸部郭清術の非劣性を確認する無作為化比較試験を計画立案した。より安全かつ正確な画像および分子生物学的診断法の研究では、OSNA法とICG蛍光法が頭頸部癌SNナビゲーション手術法の進歩に、飛躍的な展開をもたらすと考えられる。医療従事者および被験者の被曝や施設の制限、さらに手続きの煩雑さなどが解消され、医療の均てん化と低コスト化が期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-05-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020037Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
23,100,000円
(2)補助金確定額
23,101,337円
差引額 [(1)-(2)]
-1,337円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-05-15
更新日
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