がん医療に関するメディア報道が国民に与える影響の分析研究及び適正な医療報道のあり方の研究

文献情報

文献番号
201020030A
報告書区分
総括
研究課題名
がん医療に関するメディア報道が国民に与える影響の分析研究及び適正な医療報道のあり方の研究
課題番号
H21-がん臨床・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松村 有子(東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム 社会連携研究部門)
研究分担者(所属機関)
  • 宮野 悟(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターDNA情報解析分野)
  • 堀江 重郎(帝京大学医学部泌尿器科学)
  • 中村 利仁(北海道大学大学院医学研究科医療システム学分野)
  • 湯地 晃一郎(東京大学医科学研究所附属病院内科)
  • 山口 拓洋(東北大学大学院医学系研究科医学統計学分野)
  • 小松 恒彦(帝京大学医学部第三内科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
12,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)がんについてメディア報道が国民に与える影響、特に患者や家族の認識や受療行動に与える影響を分析研究で明らかにする。(2)医療提供者、患者・市民、報道関係者それぞれが望む情報提供について、調査分析を行い明らかにする。(3)国民ががん医療に適切に関わることができ、がん患者が自分に必要な情報を適切に利用していくことができるよう、「医療報道のあり方」について検討し提言する。
研究方法
1)がん医療報道と実際のがん医療との際に関する分析研究
新聞、雑誌、テレビ報道で取り扱われる、がんや医療に関する報道内容を収集する。
①報道内容の医学的検証と分析、②報道内容の医療制度面からの検証分析、③報道担当者のインタビュー調査を実施し、企画立案からの施行経路に関する分析研究
2)がん医療報道の在り方の研究
①医療提供側、患者家族、③市民、がそれぞれ求めるがん医療報道、がんに関する認知について調査を行う

結果と考察
がん医療報道として、新聞(主要6紙)、雑誌(主要6誌)、テレビ番組(がんを主題に扱った番組、啓蒙番組)を分析対象とした。また、今年度は新たに漫画における医療の扱い、また子宮頸がんワクチンを対象にウェブにおけるがん情報の検証なども実施した。
それぞれの報道内容を分類し、内容について医療専門家の立場から検証を行った。報道担当者の思考経路・情報収集経路に関するインタビュー調査を行った。がん医療報道と実際のがん医療との差異についての分析研究を行った。
結論
報道内容とがん医療の実態に差が生じる原因の調査検討を踏まえ、医療提供者、報道関係者、患者国民それぞれの立場が連携し、望ましいがん報道のあり方について具体的な提言が可能となる成果をメディアにも還元することで、報道者の意識が向上し、がん医療を国民にどのように伝えるのか、正確な認識に基づいた医療報道の実現が可能となる。また、間接的に期待される社会的成果として、がんに関する国民の理解が向上することにより、がんに対する過度の恐怖感や、がん医療に対する過度な期待が解消され、自分自身や家族ががん医療を受ける際に、自らの判断で納得できる選択が容易となり、さらにがん患者を周囲の人や社会が適切に支援することが可能となるといった成果が期待される。また、国立がんセンター等、医療機関などが提供しているがん情報の存在や、ケア、支援の情報、相談窓口が存在することが、マスメディア報道を通じて国民に伝わることで、良質な医療情報の普及を推進するという社会的成果も得られる。

公開日・更新日

公開日
2015-05-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020030Z