がん患者に対する緩和ケアの提供体制を踏まえた在宅療養への移行に関するバリアの分析とその解決策に関する研究

文献情報

文献番号
201020028A
報告書区分
総括
研究課題名
がん患者に対する緩和ケアの提供体制を踏まえた在宅療養への移行に関するバリアの分析とその解決策に関する研究
課題番号
H21-がん臨床・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 敏(千葉県がんセンター 緩和医療科)
研究分担者(所属機関)
  • 木下 寛也(国立がん研究センター東病院 緩和医療科・精神腫瘍科)
  • 久保 秀一(千葉県市川健康福祉センター 所長)
  • 沖田 伸也(黒砂台診療所)
  • 木村 秀幸(岡山済生会総合病院 副院長)
  • 柴田 岳三(緩和ケアクリニック・恵庭)
  • 大木 信子(国保匝瑳市民病院 看護部)
  • 河野 秀一(渋谷区医師会渋谷区ひがし健康プラザ地域包括支援センター)
  • 藤田 敦子(NPO法人千葉・在宅ケア市民ネットワークピュア)
  • 野本 靖史(船橋市立医療センター緩和ケア内科 )
  • 関根 龍一(亀田総合病院 疼痛・緩和ケア科)
  • 浜野 公明(千葉県がんセンター 泌尿器科)
  • 秋月 伸哉(千葉県がんセンター 精神腫瘍科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
6,635,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん終末期の療養形態を勘案するに、在宅での緩和ケアは入院ケアよりも優れている点が多いとされており、その充実化・普遍化を推進する意義は大きい。よって適切な緩和ケアの提供体制を踏まえた在宅療養への移行に関するバリアの分析とその解決策に関しての研究が企画された。
研究方法
上記「バリア」を以下3点の未熟性とし、これらの解決への方策を追求するための研究が計画された。3点とは、(1)がん治療遂行途上からの緩和医療学的介入の具体化、(2)在宅緩和ケアの易遂行性、(3)在宅療養による緩和ケアの優位性についての一般市民への広報的活動の必要性、である。
結果と考察
千葉県がんセンターにおいて平成21年4月から発足した「サポーティブケアセンター」は、それに含まれる緩和ケアチームを外来診療へと拡大させ、トリアージ機能を有する看護外来や在宅支援部をも包含して外来時点から十分な緩和ケアの供給可能な体制に進化させた。これによりチーム介入事例数が飛躍的に増多した。在宅診療の易遂行性の追求に関して、在宅緩和医療担当医の底辺拡大への一助として、平成22年度より在宅緩和医療を専門としない在宅医をもサポートするための対策として、在宅緩和ケア地域連携パスの運用を市医師会と協働して開始した。また必要時の入院病床(バックベッド)確保の態勢も不可欠であり、上記パスに組み込まれた。在宅療養による緩和ケアの優位性についての一般市民への啓蒙活動に関しては、公開講座開催、リーフレット作成など引き続き計画していく。
結論
本研究は、がん対策基本法の「医療の均てん化」、「緩和医療の推進」という構想に沿った研究である。本研究遂行ののち、研究概要・研究計画に記した3つの「バリア」の解決に進めば、より良質な在宅緩和ケアの具体化、その普遍化が結果される。早期からの緩和医療の提供の重要性については、がん治療遂行途上から緩和医療学的介入態勢の存在が望ましく、またそのがん治療が外来主体に変化しつつある現在、外来における緩和医療提供のシステム構築が重要である。上述した「サポーティブケアセンター」構想がこの部分の先駆的役割を果たすことになる。

公開日・更新日

公開日
2015-05-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020028Z