バーチャルスライドシステムを用いたがんの病理診断支援のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201020027A
報告書区分
総括
研究課題名
バーチャルスライドシステムを用いたがんの病理診断支援のあり方に関する研究
課題番号
H21-がん臨床・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松野 吉宏(北海道大学 北海道大学病院)
研究分担者(所属機関)
  • 澤井 高志(岩手医科大学 医学部)
  • 飯嶋 達生(茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター)
  • 山城 勝重(独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター)
  • 長谷部 孝裕(独立行政法人国立がん研究センター 多施設臨床試験・診療支援部病理診断コンサルテーション推進室)
  • 白石 泰三(三重大学 医学部)
  • 有廣 光司(広島大学 大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
11,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全国のがん患者それぞれに最適で質の高いがん医療を提供するためには、各診療施設の病理医を効率よく迅速に支援することにより、高い水準の病理診断を均てん化する必要がある。がん医療水準の均てん化の推進に資する遠隔診断、なかでもバーチャルスライド(VS)技術を用いた遠隔診断支援は、有効性が大いに期待されるところであり、近年積極的に導入が図られてきている。しかしながらすべての地域や拠点病院において十分に有効利用されていない。本研究は、VSの特性を生かした病理診断支援のあり方を多角的に検討し、実際に運用可能な診断支援網の構築を目指す。
研究方法
がん診療の質的向上と均てん化の観点からVSをどのように役立てていくことができるか、施設や地域における取り組みの実例を集積し、発展性や問題点を検討してきた。あわせて、各自治体や各医療圏、地域などの枠組みの中で行われている病理診断体制の実情を勘案し、どのような病理診断支援拠点網を、どのような手順で構築し運用していくべきか検討してきた。
結果と考察
本年度は、昨年度までの研究を継続・展開する方針で下記の研究を行った。
1)簡便なコンサルテーションシステムの開発と診断実験
2)地域内における教育的画像共有の簡便システム運用の検討
3)国立がん研究センターがん対策情報センターを介する拠点病院と専門家によるコンサルテーション運用のさらなる効率化
4)VSを用いた免疫組織化学染色等基盤技術の集約化と精度管理体制の構築
VSを用いた系統的診断支援網は欧米でも例が少なく、世界的に注目される試みである。本研究によって全国のがん診療施設の病理診断を効率よく支援するために最適なVSの運用を実現することができれば、全国のがん患者が上質で標準的な診療を享受することが可能になるとともに、医療資源を有効利用する社会的基盤の構築や人材育成にもつながるものと期待される。
結論
がんの病理診断支援においては技術応用やハード環境の整備とともに地域や各施設での業務態勢やソフト面での課題を継続的に解決していくことにより、VSが極めて有効に用いることが可能であることを示してきた。数年から10年後を見据えたVS診断支援網の実現を目指した基盤整備の方策や見通しを含め、今後の進め方について議論が深まることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-05-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020027Z