安全な無痛分娩実施のための体制構築のための研究

文献情報

文献番号
202506014A
報告書区分
総括
研究課題名
安全な無痛分娩実施のための体制構築のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25CA2014
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
海野 信也(北里大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 石渡 勇(石渡産婦人科病院)
  • 照井 克生(埼玉医科大学 医学部)
  • 亀井 良政(埼玉医科大学 埼玉医科大学病院 産婦人科)
  • 奥田 泰久(獨協医科大学)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
3,348,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現状の無痛分娩の提供における課題を把握・整理し、現在の取組内容の改善案等も含め、無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)と連携して改めて産婦人科、麻酔科を含む関係学会等のコンセンサスを得た提言としてまとめることを目的とした。
研究方法
 わが国の無痛分娩の状況を把握する目的で実態調査として以下の3調査を実施した。①統計資料等のマクロデータの収集・分析を通じて、最新のわが国の無痛分娩の実施状況を明らかにする。②分娩取扱施設の無痛分娩への対応の現状を、神奈川県県央北相ブロックをモデルとした地域研究を通じて明らかにする。③ 有害事象の発生状況をマクロデータとhigh volume centerにおける施設調査結果の分析から明らかにする。
 実態調査に基づいて、わが国の安全な無痛分娩提供体制の課題を抽出し、先行研究で示されている「安全な無痛分娩実施のための体制構築に関する提言」の全面的見直しを行い、研究協力者であるJALA及び無痛分娩関連の専門学会・団体のコンセンサスにもとづいて、「安全な無痛分娩実施のための体制構築に関する提言(新提言)」を作成した。
結果と考察
実態調査の結果、2018年以降、わが国で無痛分娩が急速に増加しており、その実施率は2018年の5.0%から2024年には16.2%に増加していること、無痛分娩需要の拡大に対応して、分娩取扱施設では、病院、診療所の双方で、新たに無痛分娩に取り組む施設が増加していること、有害事象の分析を通じて、無痛分娩の現場の合併症発生時の緊急の対応能力向上の必要性が示された。
 実態調査に基づいて、無痛分娩の安全性向上のために必要と考えられる取組の内容を実現可能な形で「新提言」としてまとめた。
結論
わが国の安全な無痛分娩提供体制の構築のための方策について総合的に検討し、以下のような結論を得られた。この結論に基づいて新提言を作成した。
・将来的には、すべての無痛分娩取扱医療機関が無痛分娩の現場に麻酔の有資格者及び無痛分娩診療に関する訓練を受けた医療従事者によって構成され、緊急時に適切な対応が可能な「無痛分娩診療・ケア担当チーム」を配置される「望ましい診療体制」を整備すること。
・「望ましい診療体制」が整備されるまでの「過渡期」には、各無痛分娩取扱医療機関は診療体制の情報公開を推進すること。無痛分娩を検討している妊産婦等は各医療機関が公開する情報を十分に検討した上で、自らの分娩様式、分娩施設等の選択を行う。
・過渡期に麻酔担当医となる産婦人科医は、今後、関係学会・団体等が開発する緊急時の気道確保、全身管理能力向上を目的とした研修を可能な限り受講すること。
・無痛分娩に関わる医師、助産師、看護師は、研修の受講等を通じて、無痛分娩の診療上の特性を十分に理解した上で、無痛分娩診療・ケアに従事すること。

公開日・更新日

公開日
2026-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-06-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202506014C

成果

専門的・学術的観点からの成果
(1) 研究成果:わが国の無痛分娩提供体制の特徴と安全性確保上の課題を明らかにし、今後の安全性向上策について、無痛分娩の現場における緊急時対応能力を有する医師の配置の重要性を指摘し、その実現のための専門家のコンセンサスに基づいた方策を提案した。
(2) 研究成果の学術的・国際的・社会的意義:無痛分娩の安全性向上のために、専門学会・団体及び実施医療機関で取り組むべき課題を明らかにすることを通じて、それぞれの立場における今後の体制整備に向けた取組の方向性が明示された。
臨床的観点からの成果
(1)研究成果:わが国の無痛分娩の現状と、安全性向上のための課題を明らかにした。関係学会・団体のコンセンサスに基づいて中期的到達目標、長期的到達目標を明示的に示すことを通じて、今後の安全性向上のための取組の方向性を明らかにした。
(2)研究成果の臨床的・国際的・社会的意義:急速に拡大している無痛分娩需要に応えて安全な無痛分娩提供体制を整備する方策を明確にすることにより、現在、そして将来の妊産婦に安心して自分が希望する分娩様式を選択できる環境を提供する基盤の形成が可能になった。
ガイドライン等の開発
近年のわが国の無痛分娩の急速な普及拡大に対応するため、わが国の安全な無痛分娩提供体制確保の基盤となっている平成29年度厚生労働科学特別研究「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究」の「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言(提言)」の見直しを行い、「安全な無痛分娩実施のための体制構築に関する提言(新提言)」を作成した。2026年度以降、この提言に基づいてJALAを中心に関係学会・団体等の協力の下、無痛分娩の安全な提供体制整備の取組が進められることとなった。
その他行政的観点からの成果
本研究の成果を、2026年2月19日に開催された厚生労働省第4回 小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループにおいて「安全な無痛分娩の提供体制について」として報告し、今後のわが国の無痛分娩の安全対策の効果的な推進に貢献した。 
その他のインパクト
2025年11月22日日本産科麻酔学会第129回学術講演会指定講演「JALAの現状と課題と今後」、11月29 日日本麻酔科医会連合 第18回学術 政策勉強会講演「安全な無痛分娩提供体制構築を目指して:JALAの取組」、2026年2月14日第5回日本周産期麻酔科学会講演「少子化社会における無痛分娩」、4月19日JCIMELS Conference 2026 TOKYO「明日の産婦人科のために」講演「集約化のゆくえ開業医施設継続の要件」を行い研究班の検討状況を報告し医療従事者への啓発活動を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
2026年2月19日開催の厚生労働省第4回 小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループにおいて研究成果を「安全な無痛分娩の提供体制について」として報告
その他成果(普及・啓発活動)
1件
2026年4月19日JCIMELS Conference 2026 TOKYO「明日の産婦人科のために」で講演「集約化のゆくえ 開業医施設継続の要件」を行い、研究班の検討状況を報告し、無痛分娩関連医療

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
海野信也
無痛分娩の未来 産婦人科の未来予想図-これから必要な技術、資格について 各論 
産婦人科の実際 , 74 (9) , 859-869  (2025)
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003508
原著論文2
海野信也
産科:時代に合った無痛分娩の提供体制
周産期医学 , 55 (11) , 1318-1327  (2025)
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002353
原著論文3
海野信也
安全な無痛分娩を行うための考え方と施策
臨床婦人科産科 , 79 (12) , 1084-1094  (2025)

公開日・更新日

公開日
2026-06-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
202506014Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,352,000円
(2)補助金確定額
4,352,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 797,793円
人件費・謝金 2,206,301円
旅費 169,070円
その他 174,836円
間接経費 1,004,000円
合計 4,352,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2026-06-01
更新日
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