PCAPSを用いたがん診療の質構造知識モデルと質評価指標の開発および計測システムの設計

文献情報

文献番号
201020026A
報告書区分
総括
研究課題名
PCAPSを用いたがん診療の質構造知識モデルと質評価指標の開発および計測システムの設計
課題番号
H21-がん臨床・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
飯塚 悦功(東京大学 大学院工学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 水流 聡子(東京大学 大学院工学系研究科)
  • 棟近 雅彦(早稲田大学 理工学術院)
  • 新海 哲(四国がんセンター)
  • 蒲生 真紀夫(大崎市民病院)
  • 矢野 真(武蔵野赤十字病院)
  • 吉井 慎一(株式会社日立製作所 ひたちなか総合病院)
  • 吉岡 慎一(兵庫県立西宮病院)
  • 成田 淳(長野中央病院)
  • 青儀 健二郎(四国がんセンター)
  • 乾 由明(兵庫県立西宮病院)
  • 名取 良弘(株式会社麻生 飯塚病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
14,733,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では,わが国のがん診療の質を評価するための指標を開発する.がん診療の質構造知識モデルにもとづき、がん診療の質向上にとって意味のある本質的な質評価指標の開発を行い、指標改善も可能とする計測システムを設計する.
研究方法
臨床知識構造化手法PCAPSによる構造的な臨床プロセス設計を行う技術を有しており,かつ臨床エキスパートである医師をがん種別の代表とし,品質管理工学研究者3名を統括とする研究班12名からなる研究班を準備し,質評価指標設定モデルの構築作業をすすめた.
多様な医療介入が提供されるがん医療の質を評価し,改善に繋げる指標を導出するためには,質評価の対象を網羅的に把握できるような医療介入の構造的な整理と,適切な質評価の観点の設定が必要である.平成22年度は,(1)がん診療構造図の構築,(2)質評価の観点と質評価モデルの構築,(3)質評価指標設定モデルの構築 (4)質評価指標導出表の作成とがん腫毎の質評価指標の初期導出作業をおこなった.
異なる方法で設定された指標群との比較分析を行った.
結果と考察
がん種毎の診療構造図・質評価指標導出表を作成した.これをもとに,乳がんを素材として,乳がんの質評価指標の初期導出作業を行うことができた.
各診療科の専門医の協力の下,乳がん以外にも大腸がん,肺がん,脳腫瘍,薬物療法についても表を変換して質評価項目を挙げることができた.よって,複数のがんの種類や治療法に適用可能な方法論であると言える.
本モデルでは,質評価対象の医療介入や,“標準”との乖離を計る観点を定めたため,設定した指標を適切に解釈して改善に繋げることが可能となる.ただし指標を用いる際にはガイドラインの確立度や地域差など,その乖離に影響する要因についての考慮が必要である.
異なる方法で設定された指標群との比較分析を通して,本モデルによって,診療フェーズ毎に意味のある指標を網羅的に設定できる可能性があることを確認した.
結論
本研究では,質評価指標設定モデルの枠組みを定め,その構成要素として「がん診療構造図」と「医療の質評価の観点」という概念を整理,定義した.そして乳がんを事例として,レトロスペクティブに計測すべき指標を設定した.最後に異なる方法で設定された指標群との比較分析を通して,本モデルによって意味のある指標を網羅的に設定できる可能性があることを確認した.

公開日・更新日

公開日
2015-05-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020026Z