かかりつけ医機能が発揮される制度の円滑な施行に向けた地域の協議に資するデータブックに必要な指標の策定のための研究

文献情報

文献番号
202506012A
報告書区分
総括
研究課題名
かかりつけ医機能が発揮される制度の円滑な施行に向けた地域の協議に資するデータブックに必要な指標の策定のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25CA2012
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
西岡 祐一(奈良県立医科大学 公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
  • 山﨑 一幸(奈良県立医科大学 医学部公衆衛生学講座)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
4,159,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和5年5月に「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」が成立・公布され、医療法改正によりかかりつけ医機能が発揮される制度整備が行われ、令和7年4月に施行された。複数の慢性疾患や医療と介護の複合ニーズを有する高齢者の更なる増加と生産年齢人口の急減が見込まれる中、地域によって大きく異なる人口構造の変化に対応し、「治す医療」から「治し、支える医療」を実現していくため、これまでの地域医療構想や地域包括ケアの取組に加え、かかりつけ医機能が発揮される制度整備が進められている。本制度においては、国民・患者がそのニーズに応じてかかりつけ医機能を有する医療機関を適切に選択できるための情報提供の強化、地域の実情に応じた各医療機関の連携と機能強化が求められる。都道府県は地域における機能の充足状況を確認した上で、地域の協議の場で不足する機能を強化する具体的方策を検討・公表することとされている。本研究は、医療法に基づき都道府県が策定する医療計画における指標作成の議論や過程も踏まえつつ、都道府県が開催する「地域における協議の場」における実効的な協議等に資するデータブックの作成にあたっての課題を抽出すること、および指標例を作成することを目的とした。
研究方法
かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会報告書(令和6年7月31日)に沿って、機能を①1号機能(継続的な医療を要する者に対する発生頻度が高い疾患に係る診療その他の日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能)、②2号機能(イ)通常の診療時間外の診療、③2号機能(ロ)入退院時の支援、④2号機能(ハ)在宅医療の提供、⑤2号機能(ニ)介護サービス等と連携した医療提供、の5つに分類した。指標例の作成にあたっては、全国で比較可能な数字であること、情報源の明確化と更新頻度の把握、割合算出指標における分母・分子の妥当性、既に計画策定に着手している自治体への影響、の各観点に留意し批判的に吟味した。また、医療計画や地域医療構想との整合性を検討して必要に応じ定義を修正し、今後の指標例のあり方について提案した。
結果と考察
令和7年度において、研究代表者・研究分担者・研究協力者および厚生労働省原課担当者・事務局による班会議をWEB形式で計11回開催した。6月25日に総論的指標の算出方針を策定し、医療機関の報告内容に基づく「自動判定項目」を活用する方針を検討した。7月9日に発生頻度の高い40疾患を慢性・急性・感覚器等で類型化する作業を開始し、薬剤総合評価調整加算等の指標を入退院支援の各フェーズに位置づけて整理した。7月24日には令和6年度改定で新設された「協力対象施設入所者入院加算」「介護保険施設等連携往診加算」について施設基準・要件を整理した。8月25日に認定看護師A課程(21分野)・B課程(19分野)の表示方法を検討し、ICD分類紐づけ作業状況を共有した。9月24日には圏域外受診率(NDBを用いた患者住所と医療機関住所の一致・不一致から算出)、平均在院日数、在宅復帰率の集計定義案を提示した。10月8日に患者住所特定郵便番号を利用する方針とし、「長期入院患者割合」を指標とすることを検討した。11月7日に施設・在宅復帰率について病床機能報告と病院報告の数値を比較検証し、全国値で約4%未満の誤差はあるものの傾向把握には活用可能と判断した。12月10日にNDB市区町村単位データの表間秘匿に関する検討を行い、居宅介護支援事業所数・薬局数の集計定義を整理した。令和8年1月22日には病床区分ごとに最適な階級の日数区分を設定する案を検討し、3月に指標一覧表、指標集計定義、検証結果を最終的にとりまとめた。本研究で提案した指標例は、医療機関の連携や自らのかかりつけ医機能の内容を俯瞰的に把握することに資するものであり、令和8年から開始される「かかりつけ医機能報告」制度および「地域における協議の場」の実効性確保に寄与する。一方で、「かかりつけ医機能報告」におけるより妥当な調査項目・活用方法の検討、データブックの改善策の検討、「地域における協議の場」の実効性を確保するための課題抽出とより適切な指標策定の3点については、引き続きの検討・研究を要すると考えられた。
結論
本研究の実施により、「地域における協議の場」において実効的な協議等を実施していくために必要な指標例を策定した。本研究により抽出された指標作成過程における課題は、かかりつけ医機能が発揮される制度をより具体化・深化させていく上で必要不可欠なものであり、これらを継続的に解決していくことで制度の基盤がより強固なものとなり、複数の慢性疾患や医療と介護の複合ニーズを有することが多い高齢者の更なる増加と生産年齢人口の急減等の地域の課題解決に結びつくと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2026-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-05-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202506012C

収支報告書

文献番号
202506012Z